少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

121話 巡り合わせ。

僕のステータスみて驚く2人だった。


「でも、前にヤヤさんは見ているんじゃ?」
「私のはスキルや称号を見る事ができるだけで。Lvやステータスは見えないんです。」
「そうなんですか。まぁそんな訳で、僕達は一緒に動いているんです。」
「役割特化したパーティと言うのは分かったよ。そしてソラヤさん達が異常なのも。」
「そんな事は…ないと思う?」


ここまで驚かれて、異常と言われて否定もできない。
自分でもどこかおかしいと思ってるからかな。


「ところで、何でこんな話になったんだっけ?」
「ほほ。山籠りの成果はどうだったと言う話です。」
「あー。そんな話でしたね。何か聞きたい事ありますか?」
「正直、何を聞いていいかも分からないわ。とりあえず明日の予定だけ聞こうかしら。」
「ギルドに素材を売りに行って、武器やアイテムの補充ですかね。」
「そうか。何日も開ける場合は、あらかじめ教えてくれると助かるわ。」
「次からそうします。」


ちょっとそこまでの感覚だったけど、流石に何週間も帰らないのは心配されると言う事が分かった。
前まではそんな気にしてくれる人もいなかったし。
お世話になってる訳だし、今度から気をつけよう。









「ふぅ〜…。」
「レイラン様、どうぞ。」
「あぁ、ありがとうヤヤ。」


自室に戻り椅子に座り、深い息を吐く。
すかさずヤヤがお茶を入れてくれる。
本当にできる子だわ。


「今考えればあの模擬戦で分かっていたのかもしれないわ。」
「模擬戦ですか?そんな凄い事にが?」
「1人は小さな太陽を出して。」
「クロイ様ですね。」
「マスターの剣を素手で折ったり。」
「ブルーム様ですね。」
「エッジの剣技を全て躱すとか普通できるものじゃないもの。」
「ソラヤ様ですね。」
「それに龍神と一対一で生き残るなんて…。」
「本人は運が良いからと言ってましたね。」


そこなのよ。
いくらLUKが200だとしても、運だけでどうにかなる問題でもない。
魔物と出会う確率も、仲間の巡り合わせも運で片付ける話ではない。
武器を使いこなす技量、状況を判断し切り替える頭脳。
彼にはきっと何かがある。
私達には分からない、女神様のみぞ知る何かが……。


「どうかされましたか?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事よ。」
「いえ、それなら。」
「私達との出会いも女神様の導き……。」
「……何が起こるのでしょうか。」
「考えてもしょうがないわ。神のみぞ知るですもの。」


聞いた話は全て嘘のような本当の話。
考えすぎも良くないと思い、仕事に戻る事にした。


この胸騒ぎがなんでもない事を祈る…。







翌日ギルドに素材を売りに行く。
大量のイーグル種の羽は、そんなに重量ないからかなり持ってきた。


「おはようございます。ギルドマスター。買取お願いします。」


シーに持って貰っていたイーグル達の羽を出した。


「またえらく……。」
「これでも1/3くらいなんだけど。」
「……あの噂は本物なのか。」
「噂?」
「いや、気にしないでくれ。それよりだ、もっと小まめに持ってこれないのか?」
「往復するの面倒じゃないですか。」


そう。僕らはこの前まで谷にこもって狩りをしていた。
最初は素材がいっぱいになったら帰ろうとした。


だけど鳥の羽は軽い。
もうすぐいっぱいになるかなってタイミングで、シーのLvアップも大きい。
そして何より、弾丸を使えば使うだけ持ち物がなくなる。


「面倒かも知れんが、水や食料だって……。」
「食事は現地調達するし、水はクロイが出せるし。」


話を聞いていたクロイが、宙に小さな水の球を作る。


「魔導師を便利に使いすぎだな。もっと魔力温存しないと、戦闘で苦しむぞ?」
「ほほ。お気遣いありがとうございます。気をつけます。」
「その水の球そこらに捨てるなよ?」
「ふむ。」
「はい。クロイ。」


後ろから水筒を取り出すお母さん。準備がいい。


「ありがとう。」
「……あんたらの心配する方が野暮か?」
「そんな事はございませんよ。」
「まぁいいわ。後は裏で頼む。」


ギルドマスターに着いて行き、訓練所にやって来た。
毎度素材を渡す時はここに来るけど、ここは訓練する場所だよね?
お肉は少し食べたけど、食べきれない分は買ってもらった。
やっぱり、量を見て驚いていた。




「さてと。僕は武器屋に行って、銃弾補充に行きたいんだけど。」
「わたくしはこの街の魔導書を探してきます。」
「それなら私もクロイに着いてくわ。火と闇以外も覚えられるかまた試したいし。」
「私の魔法も何かあるかな〜?そろそろ攻撃もしたい。」
「ほほ、では一緒に行きましょう。」


クロイ、ナイト、お母さんは魔法屋を探すらしい。
このパーティだと魔法を使う3人だしちょうどいいのか。


「俺は栄理の方へ行こう。」
「豪も魔法使いたいの?」
「別にそんな事は思っていないが?栄理が行くなら俺も行くだけだ。」
「!!」


顔を赤くするお母さん。
今日は暑かったか?


「私はソラヤと行く〜。ローザも一緒に武器屋行く?」
「ん?まぁ行くなら魔法より武器だが……シーよ。」


シーを呼んで耳打ちするローゼ。


「(私が一緒では邪魔でないか?)」
「え?どうして?」
「(いや、デートのチャンスだろう?)」
「へぇぁ!?そ、それはいつでも行けるから。じゃない!いいの行くよ!
「何がいつでも行けるの?」
「な、な、な、なんでもないよ!」
「そ、そう。」


凄い勢いでなんでもないと言われたら、ここは引くべきだと深く突っ込まないようにした。
ローゼが耳打ちで何か言ったんだろう。


「じゃ、それぞれ好きに買い物して、用が終わったら屋敷に帰ろうか。」


僕らは二手に分かれ、買い物に行く事になった。
またすぐ会うだろうと、軽く手を振って別れる。


















…その日僕らは屋敷で会う事は無かった。







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