少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

109話 2人の強者。

出だしは色々あったけど、道中何事もなくこの前の谷に到着。


そーっと谷を覗く。


「どうだソラヤ。何か見えるか?」
「深過ぎて見えないし、気配もよく分からないんだよね。」
「このまま進むか、一応確認するかどうするか。」


前回は2匹出て来たし、別の戦闘中に乱入されても困るから。
可能な限り安全確認をしたい。


「ローゼ、僕が谷底に聖魔弾撃ち込むっていうのは?」
「却下だ。谷が崩れて、私達まで巻き込まれる危険性がある。」
「それなら、わたくしが魔法を。」
「同じ結果にならないか?」
「大丈夫ですよ。光の魔法で閃光のみにしますから。」
「ふむ。びっくりして現れるか...。一応それならいいか。」


許可を得たクロイが魔法を放つ準備をする。
閃光って言ってたなぁ。目は瞑っておくように皆んなに言っておく。


「では参ります。眩し過ぎて飛び出して来るくらいでお願いします。眩輝グレア!」


―ピカーーーーー!!!


「っぐ!」
「キャ!」


後ろの方で何か声がしたが…。
何をするか知らない人達に被害が出ている。


まぁそのうち回復するだろう。
一応見えないであろう時まで、気配で様子は観るとしよう。


「もう開けて大丈夫?」
「…もう大丈夫ですか?はい、ありがとうございました。いいそうです。」


精霊に確認したクロイの合図で皆んな目を開ける。
しばらく谷からの気配を探る。


「んー………。」
「ソラヤどう?」
「大丈…じゃないな。1、2、3…6。多いな。」


谷底に意識を集中していると、別の方向から近づく気配。
何かが6体近づいて来る。


「この作戦…いや、今は言うのはやめよう。」
「ほほ。いらないものまで呼んだ感じですな。」
「言わないようにしたのに。」
「ほらほら、戦闘準備するわよ。」
「はーい。」


ローゼが過去の反省をしようとしてすぐに切り替えようとしている。
クロイはローゼが言いたかった事を代わりに言う。
そんな2人をナイトが戦闘準備をさせて、横にはやる気満々なシー。


「ローゼとクロイ、シーとナイト、お父さんとお母さんにエッジ。僕は後ろについて来てた人のフォローしてくる。」
「後ろに?あーあの2人ですか。」
「街から着いて来ていましたね。」
「エッジもクロイも気づいていた?」
「俺はさっの光魔法の時に。」
「わたくしは始めから。無害そうなので放っておきましたが。」


街から着いて来てたんだ…まぁ後で話を聞けばいいか。


「じゃ、お母さん情報待って戦闘開始で。」
「「「「「「了解。」」」」」」


皆んなが揃って返事をする。
さて…どんな魔物が来るのか。


「見えた!ドッグ・イーグル!レア度CのLv35!」
「さっきのペアで!僕は一人で行けるから。じゃ行ってくる!」
「ソラヤ、気をつけて!」
「シーも気をつけて、頼んだよナイト。」
「お姉さんに任せなさい。」


遠くに見えたドッグ・イーグルに気がついていない2人。
しょうがないか、あの閃光で目をやられているっぽいし。


「そこの2人!伏せて!」
「え?」


全身鎧の人がキョロキョロする。
いいから伏せて欲しい…。


「隊長失礼します!」
「きゃ!」


隣にいた人が無理やり伏せさせる。


―ガチャ、ズゥゥン!


『ピィ!?』
「1羽命中。後のは、散っちゃったな。」


2人に向かって、まっすぐ飛んできた1羽は命中させた。
それを見た5羽は一気に散開した。


「意外に頭いいのか。でも、この距離は射程内…。」


―ガチャ、ズゥゥン!


『ピィ!?』
「2羽目も命中っと。これ以上は引っ張れないな。後は皆んなに任せよう。」


遠距離攻撃で当てた2羽以外は、僕から離れて行く。
そのまま谷に帰ってくれてもいいんだけど……一度谷に下降してシー達の方に向かっている。
そうしている間に、命中させた2羽はようすをみながら旋回している。


「流石に35ともなると、一撃とはいかないか。」
「ちょっと…いつまで抑えているのよ!」
「あ、すいません隊長。」


伏せた2人も今のところ無事そう。
1人は男の人で、全身鎧の人は女の人の声がする。


「2人とも大丈夫ですか?」
「あなたは、伏せてと言ってくれた声の方。」
「目の前が真っ白だよ〜この鎧視覚保護してくれないのか。うぅ〜。」
「現状は何が?」


目を閉じている男の人は切り替えが早い。
鎧の人は目の部分を擦っている……鎧の上からやって意味あるのか?
状況をきかれたので、さっと答える。


「ドッグ・イーグルが2羽、上空で旋回しています。」
「っぐ。我々はどうすれば?」
「動かずそのままで。なんとかします。」
「何も出来ず、申し訳ありません。」
「いえいえ。こちらこそ。」


目を閉じている男性が、申し訳なさそうに謝ってくる。
元を正せばクロイ お魔法が原因な訳だし。


「ん〜確かに頭上10メートルに魔物の気配がするわね。」


鎧の人は立ち上がると、上を見ずに腰の剣を抜く。


「見えているんですか?」
「見えないけど?目の前真っ白よ。」
「隊長…見えないならしゃがんでいて下さい。」
「ふん。視覚が無いくらいでどうにかならないわよ。見てなさい…。」


―チャキ……


剣を下に向け、体を捻る鎧の人。


「1体降りてくるわね。」


上を見ると1羽だけ降りてくる。


「少年。1体貰うわよ。」
「え?あ、はい。」
「ありがとう…射程……内!光波ライトウェーブ!」


―ボワ……ギギ…ビュン!


剣が少しだけ淡く光っていた。
鎧の擦れた音がした後、剣が空を斬る。


その光だけ剣から離れていき…。


『ピッ……』
「うわ、まじか。」


その剣から離れた光は、そのままドッグ・イーグルを過ぎた。
短い鳴き声をあげた後、空中で真っ二つになる。


「まずまずかしら?1体反応が無くなったわね。もう1体反応が遠ざかるわね。流石に射程外だわ。」
「っは!つい見ちゃってた。このまま向こうに向かわれても面倒だ…。」


―ガチャ。


僕は風魔弾を装填する。
遠距離がどれだけ行くかぶっつけ本番になるけど。
MPも一度0になったけど、クロイが持っていた魔法の回復役を飲んでいる。
MP50なら大丈夫だろう。


―ビュゥン…。


『ぴぎ……。』


氷の魔弾と一緒で、目標に当たった時に変化した。
ドッグ・イーグルの周りに突然風が吹き荒れる。


「MP50に抑えたのにな…。」
「もう一つの反応も無くなったわね。」


「この2人…とんでもないな。」


反応は無事無くなった。さて、向こうに行くか。
1人でも大丈夫そうだし、一応話しておくか。



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