少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

102話 そんな自由で良いのか?

「おや?ソラヤにブルーム。お帰りなさい。」
「「ただいま、クロイ。」」
「ほほ。元気そうで何より。」


「ナイトあれをどう見る。」
「嫌がってないから有りでしょう。」
「!!ちょっとナイト!?ローゼも〜!」


シーはナイトとローゼを端っこに追いやる。
何か言ったか今?


「まぁいいや。少しトラブルあったけど、ピースさんとエッジのお陰でなんとかなったよ。」
「私が行かなくとも、ソラヤ君なら大丈夫そうでしたが。」
「俺は何もしてないっすよ。師匠のお力ですよ。」
「いえ。とにかく助かりました。ありがとうどざいます。」


2人にお礼を言ってなかった気がしたから言う。


それでギルドが待ち合わせで、何をしようかな。


「そうだ。ソラヤ。報酬受け取りましたぞ。確認します?」
「ん?いいよ。クロイがしてるならそれで。クロイ持てる?」
「私では持ちきれないので、ローゼに持たせていますよ。」
「了解。」
「ソラヤ……でした。」
「またおかしな金額だね。」


こっそりクロイが耳打ちで金額を教えてくれる。
武器と服を買った分が可愛く見えるくらいに。
なんでもレア度Aという段階で高い点。
一時的かもしれないが、脅威を2羽取り除いた報酬も上乗せしているとの事。


「いいのかな?」
「貰えるものは貰いましょう。収入が次いつあるか分かりませんし。」
「そうだね。今度また困った依頼あったら受けるようにすればいいか。」


クロイの言う通り、少し動きづらい状況だし。
前みたいに気軽に外に行けないかもだし、貰える報酬は貰っておこう。
そう言ってて、さっきも大臣に会ってしまった訳だし。


「では、そろそろ戻りますよ。」
「はい、ピースさん。シー、ナイト、ローゼ帰るよ。」
「ほら!帰るって行こ行こ!」
「逃げるつもり〜?」
「良いではないか。私達は寝泊まりする場所一緒な訳だし。」
「そうだった!?」


女の子同士で何か楽しそうに話していたけど、何だったんだろうか?
ま、続きはクランで話して貰えば良いか。




そして皆んなでクランの屋敷まで帰る。


「おや?この馬車は…。」
「綺麗な馬車ですね。」
「王家の物だからな。誰かお客様が来ているのかも知れませんね。」


屋敷の庭に立派な馬車が一台。
周りに馬が4頭繋がれている。
その横に馬をブラッシングするおじさんが1人。
ピースさんの話では、王都の馬車と言っていたけど…さっきの騒動の事かな?
僕らはその人に挨拶をして、屋敷に入る。


屋敷の扉を開けると、メイドのココさんが玄関で掃除をしていた。


「皆様、お帰りなさいませ。」
「えぇ。ただ今。」
「皆様のお部屋も掃除済みです。案内しますか?」
「それより外に馬車があったが、お客様ですか?」
「馬車?………あ。皆様がお戻りになったら、案内する様に言われていました。」
「…頼むよココ。まずはそこに案内してくれるかな?」
「はい!ピース様。行きましょう。」
「んー…まぁいいか。」


何かを言いたそうなピースさんだったが、言葉を飲み込み着いてく事にしたみたいだ。
僕らも一緒にその後に着いて行く。


―コンコン。


「ココだよ。皆様がお帰ってきました。お連れしましたが、良いですか〜?」
「……。」


―ガチャ。


扉が開くと少し睨みを効かせたヤヤさん。


「ココ、お客様の前ですよ?言葉遣いをですね。」
「あ、そっか。ごめんお姉ちゃん。」
「だから…。」
「はっはっは。良い良い。私も友人として遊びに来てるんだ。ココちゃんはそのままで良い。」
「寛大な心に感謝致します。」
「ヤヤちゃんはもっと崩しても良いんだがな。」
「ご検討させて頂きます。」
「うむ。前向きな検討を頼むぞ。」


中から陽気なおじさんとヤヤさんが、話しているのが聞こえてきた。
そして扉を開けて中に入ると、煌びやかな服を着たおじさんが椅子に腰掛けている。
その横には全身鎧の兵士が4人。


「むむ!君達が新しく加入した者らか!?」
「そうです。皆様、こちらにいらして下さい。」


おじさんの後ろにいたレイランさんが僕らを呼ぶ。
心なしかピースさんもエッジが緊張している様に感じる。


「さっき言った新しく迎えた者達だ。先程いた2人と合わせて7人増えた。」
「そうか、そうか。確かに十と十一と書いてあるな。」


あ、そう言えば仮面つけたままだな。
外すタイミングがない…。


「ソラヤ、ブルーム。屋敷では仮面を取ってもいいんだぞ。」
「???」


言われて僕とシーは仮面を外した。
ナイト屋敷に入る時に、既に外していた。


「っし!!」


すると煌びやかなおじさんの後ろにいた人の1人が、声を上げ反応する。


「ん?どうかしたかノイン?」
「いえ、失礼致しました。」
「ふむ?」


「改めて紹介しよう。左から、ソラヤ、ブルーム、ナイト、ローゼ、クロイだ。」
「うむうむ。中々に若い戦士だな。」


紹介されたので、皆んな頭を下げて挨拶をする。


「そんなに畏まらなくても良いぞ。先程も言ったが、私も友人の家に遊びに来ているのだ。」
「王。我々も名乗るべきかと。」
「そうだったな!私はアン・ファング。ファングと呼んでくれ。」
「私は王都軍王国騎士団、1番隊隊長。アインツ。」
「次は私ね。王都軍王国騎士団、4番隊隊長のフィーア。」
「……僕先?王都軍王国騎士団、8番隊隊長。アハト。」
「王都軍王国騎士団、9番隊隊長。ノイン。」


「ん?」
「どうしたのシー?」
「んー気のせいかな?…何でもない。」


首をひねり、うーんって唸っているシー。


「しかし、遊びに来るのに護衛に隊長4人も引っ張るのか。」
「そうなんだ、立場上これくらいしないと、外にすら出れんのだよ。」
「まぁ一国の王が、1クランの屋敷に来ること自体おかしいからな。」
「1クランでは無いぞ。ボックスは我が友だ。友の家に遊びに行くだけなのだ。」


「ん?一国の王?」
「そうだぞ。我が友でもあり、ここツェントルム王国国王アン・ファング。そう言えばソラヤ達は王都は初めてだったか。」
「「「えぇぇぇ!!!!」」」
「ほっほ。これは驚きました。」
「王様か〜むしろこの人数でよく外に出られたわね。」


さらっとおじさんが、とてつもない事を言う。
僕とシーとローゼは驚きの声を隠しせなかった。
クロイは驚いたと言っているが、そんな風には見えない。
ナイトに至っては、冷静に突っ込んでいるし。


「私の国だしな。行くと言えば行くだけだ。」
「とは言え。現状城にいた隊長が同行していますので。」
「アインツさんも大変なのですね。」
「いえ、これも公務なので。レイランさん程ではありませんよ。」


2人とも似た立場にいるのか、何か通じるものがあるのかもしれない。
自由に動く王様に、暴走するクランのマスター。
類は友を呼ぶってことわざは、実際こう言う事なんだな。


「はっはっは。いつもすまんな、アインツ!」
「でしたらもっと自重を…。」
「それは出来ん相談だな。」
「分かっています。なのでせめて、私含め最低4人がはお連れ下さい。」
「アインツは硬いの〜。」


この会話からしても、アインツさんの日頃の苦労が見える様だ。


頑張れ2人とも。





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