少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

100話 急がなきゃいけない理由が出来た。

シーと二人でケーキを食べていたかったんだけど。
始めは悲鳴が聞こえたけど、その様子を見守っているつもりだった。


ただ聞こえてしまった。
大臣と言う言葉を。


きっとほっておいたら、あの人達殺されちゃうな。


「貴様!無礼だぞ!」
「おい、待て。こいつの仮面…。」
「またあのクランか。関わるとロクなことがないな。」


それはこっちのセリフだ。
大臣がいるところ厄介ごと有り。みたいになったとないか?


「ふん。あの護衛も出来ない奴がいたクランか。」
「セブンですが、生きていますよ。それに貴方は生きてますよ?最低の護衛は出来ているのかと。」
「全く、私は仕事で街に行かねばならなかったのだ。それが出来ずに何が護衛か。」
「む。少しイラっとする。やっていい?」
「「ヒィ!?」」
「待機だよ。」
「しょうがない…。」


仮面越しだけど、一瞬殺気を放ったシーにビビる護衛。
大臣が偉い人なら、もっとマシな護衛をつければいいのに。
それともそんな偉くないから、木の人達なのか。


「それで。考え直して頂けますか?」
「うるさい!ワシに逆らうなら、どいつも王家の敵だ!やれ!」


―シャキッ、シャキッ。


二人の護衛が剣を抜く。
街中で兵士が、市民にいちゃもんつけて、剣を抜くんだ。
ゲームだからか、想像の王都とはかけ離れている。
むしろリアルはこんなもんなのかな?


「どうする?」
「ちょっとこいつを試したいから。見ててもらっていい?」
「分かった。」


腰に隠して装備しておいた銃を取り出す。
なんて言ったっけか…ニラ……なんとかゾン?


…ダイヤモンドの次に硬いと言うのはどれほどか。


「なんだ?そんな小さな武器で戦うのか?舐められたものだ。」
「ちょっと買ったばかりでさ。せっかくだから、試しに使ってみたくて。」
「ふん、怪我をしてからじゃ遅いぞ!」


剣を振りかぶり向かってくる護衛の人。


「でりゃ!!」


―ギン!


「ぐっ。受け止めてみたけど。ギリギリだな。」
「ふん。たまたま受けたからって調子にのるな!」


もう一度上に振りかぶり剣を、


―ドゴ。


「ぐほぉ!?」


がら空きの腹に蹴りを入れた。
予想していなかったのか、大きく息を吐き出し、後ろにお腹を抱えて後退していく。


「……馬鹿なの?」
「ゲホゲホ…き、貴様!!」
「敵目の前にあんながら空きに体差し出して、怒鳴られるいわれはない。」
「武器はどう?」


近くに寄ってきたシーが聞いてくる。
そうか、間抜けな護衛の人のせいで目的が飛んでた。


「んー傷もないね。剣を受けるくらい問題ないね。あるとすると僕のSTR。」
「あー、受け止めるのギリギリだったね。ちょっと冷ってした。」
「ごめん。僕はこいつで流す方がいいね。気をつけるよ。」


「何話してやがる!くそ!あいつの敵!」
「いやいや、その人死んでないけどね。」


―ギン、ギン。


今度は受けずに流す。
しかし、何と言うか…。


「剣のスキル低い?下手すぎない?」
「っくそ!生意気な!!」
「あ、ごめんなさい。もっと訓練した方がいいって事で。」
「舐めやがって!!」


怒り出してしまった。
剣も力まかせに振り回して、型も何もあったもんじゃない。
後ろにいる大臣もニヤニヤしている。
まぁ見た感じ僕は攻撃を流しているだけだし、相手はもの凄い勢いで剣を振る。


「……。」
「くそ、なんで…当たらないんだ。」


―ギン、ギン、ギン。


勢いも無くなってきた、あれだけ剣を振れば疲れるか。


「いてて…。」
「気がついた!大丈夫!?」
「いったい俺は…。」
「私があの人達にぶつかって、殴られそうなのをあなたがカバってくれたの。」
「そうか!君は怪我はないのか!」
「えぇ。この人達が守ってくれたので。」


後ろから声がする。
どうやら、倒れていた人が目を覚ましたかな。


「し……イレブン。回復薬を彼に。」
「…………イレブンって私か!分かった。」


「動けようになったら、一つお願いをしても良いでしょうか?」
「ごくごく…凄い、これが回復薬の力なのか。」
「ありがとう、仮面の人。それで私達にお願いってなんでしょうか?」
「ギルドにいる仮面の2人を呼んできて欲しいです。」
「ギルドね。分かりましたわ。」


動ける様になった2人は、ギルドに向かって走り出した。


「おい、あの無礼者達も逃すな。」
「は!!」


もう1人の護衛が追いかけようとする。


「ストップ。ここは通してあげないよ。」
「十一?仮面の知らん番号だな。ひよっこか真似事か。遊んでいる暇は無いんだが。」
「こっちも遊びじゃ無いよ?真似事でも無いし。」
「ふん。大臣の命令なんだ。押し通らせてもらう。」
「そ……テン、どうする?」
「死なない程度にしてあげてね。」
「手加減か〜出来るかな〜?」


もの凄い心配だ。
僕も武器の試して遊んでられないな。
もう1人もいつ動くか分からないし。


「ごめんね。イレブンが手加減間違う前に何とかしたいから終わるね。」
「な、何を!?」


―ギン、ヒュン…ガキン!バリィィン。


「な!剣が折れた!」
「確かにこのじゅうは硬いね。よく分かったよ。」


鉄の剣を勢いと反発するように、勢いよく振った。
出来ると思ってやったけど、本当に折れちゃうとは。


さて、これはあまり使いたくなかったんだけど。


―ガチャ、ズゥゥン!


「かは………。」
「そ、それは…あの時の銃使い?」


アイテムから取り出した、いつもの銃を空砲で相手の意識を奪う。
やっぱり気がついたかな?


それより、早くシーを何とかしないと。


相手ボコボコだよぉ…。



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