少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

99話 どこへ行ってもトラブルはあるもの。

シーと店員さんが選んだ来た服を着てみる。
白いTシャツ、スリムタイプのズボンに靴は同じ黒色。
明るい服を上に、暗い色を下に。
ズボンと靴は色を合わせる。




「こんな普通の服売ってるんだね。」
「お二人ともよくお似合いです。」
「そう?どうかなシー?」
「か、カッコいい!」
「そう?じゃ、コレでいいか。」


適当に選んでもらったものも、サイズはピッタリだし、派手すぎない格好。
特に好みがある訳じゃないけど、悪くないセンスだと思う。


「一着でいいのですか?」
「うん。今日はこれでいいよ。」
「そうですか。ではお会計しますね〜。」
「あれ?意外だな。もっとあれこれ勧めてくる思ったけど。」
「今日はこれでいいよ。っとお客様が言いましたので。」
「よく聞いてるね。」
「押せばいいものでもなのですよ。引くのも手法の一つです。」
「僕に言っちゃうの?」
「なぜでしょうね。お客様には隠せないというか、つい言っちゃいます。」


一着でいいか聞かれるけど、それでいいと答える。
仲間もいるし、僕らばかり買う訳にはいかない。
最後はがっつかず引く店員さん。
これがプロか、また来たくなる雰囲気づくりも上手だ。
まぁ引くのも手法だと、最後言っちゃったけどさ。




また来ます、と言って服屋を後にする。




「さて、また歩きますか。」
「あ、ソラヤ。仮面しないと。」
「そうか。さっきシーのも預かってたっけ。」


手を出して仮面を貰おうとするシー。
買ったばかりの白のワンピース、合わせた日傘は腕にかけて広げてない。


「んー。勿体無いな。傘広げてみてよ。」
「これ?いいけど。」


不思議そうに日傘を広げて、首をかしげる。


「どうかな?」
「うん。可愛いね。やっぱこれはいいか。」


この服装に仮面合わない。
元は素性を隠す訳だし、一般人を一人一人見たりはしてないだろう。


「ソラヤどうしたの?」
「よし、決めた。手を出して、シー。」
「え?えぇぇぇ!!」


せっかくだし 着たまま王都を歩く、仮面は合わないし傘もあるから大丈夫!
仮面を受け取るつもりで手を出したシーの手を取り街を再び歩き出す。


服を見たり、道具屋さんを見たりした。
お菓子を売っているところはなかった。
甘い匂いがするんだけどねー


「あそこから甘い匂いがする。」
「するね。」


甘い匂いに誘われて、僕とシーは有るお店に入る。
外にテーブルがあって、お洒落なケーキを食べている人が見えた。


街の様子が見えるテーブルにシーを待たせて、適当にケーキと紅茶を買ってくる。


「おまたせ。」
「んーん。美味しそうだね。」
「とりあえず、2種類買ってきたから。一緒に食べようか。」
「うん!」


一つは白いクリームに赤い果物が乗ったケーキ。
ショートケーキの様な見た目だけど。


「ソラヤこれ甘いよ!このクリームもフワフワしてて美味しい!」
「はは。それは良かった。」


僕はもう一つのケーキに手をつける。
茶色いケーキにフォークを刺すと、しっとりした感覚でそのまま口に運ぶ。


「見た目通りだ。これチョコレートだね。」
「美味しい?」
「美味しいよ。ほら、食べてごらん。」


一口サイズに切り分けて、シーの口まで運ぶ。


「あ…あーん。んぐ!?こっちも美味しい!」


甘い物にシーはニコニコ。
頬を抑えて満足そうに微笑んでいる。


「わ、私のも食べてみて……。」
「あーん。ん、美味しい。」


シーが切り分けてくれた物を味わう。
見た目通り、ショートケーキの味かな。


ケーキをゆっくり味わっていると、視線を感じたのでちらっとその方向を見る。
目が合うと慌てて目をそらす人がいた。


「どうしたのソラヤ?」
「いや、視線を感じたから気になって。仮面も無いから、目立つようなことは無いと思うんだけど。」
「何でだろうね。」
「まぁ見たら視線そらしてたから、何かあるわけじゃないと思うけどね。」


視線が殆ど男だったから、シーを見ていたのかな。
甘い物に夢中なシーは、僕からみても可愛いし、つい見ていたくなる。






そんな穏やかな時間も一つの悲鳴で終わる。


「キャァァァ!!」
「ん?なんだ?」
「ソラヤ、あそこ。」


声のした方を向くと、男が3人、倒れた人とそれを庇う様に立つ女の人。


「ぶつかっておいて、ただで済むと思うなよ!」
「貴方達が余所見して、ぶつかってきたんじゃない!」


いがみ合う人達。
王都だし、騒ぎを聞きつけて兵士も来るだろう。


「シーここは待機だよ。それにここは王都だ。騒ぎを聞きつけて兵士も来るとは思う。」
「そうだけど。」
「今はいい。武器を出す様であれば、ほっておかないから。一応戦闘体制、仮面は着けておこうか。」


僕は今にも飛び出しそうなシーを止めて様子を見る。
もしもの事を考えて、動きやすい服装着替えて、仮面をシーに渡しておく。
そう思ったのは、あの腰に下げた剣を見たから。
聞こえて来る内容は、ぶつかっただけのくだらない内容。
そんな事で剣を抜く様な事態には、ならないと思いたい。


「うるさいやつだな。お前らやっていいよ。ワシが許す。」
「は!大臣様。」


よりにもよって、あの大臣かよ。
どこかで見た事あるとは思ってたけど。


「行くよ、シー。でも指示出すまで殴っちゃダメだよ?」
「分かった!早くあの人達助けよう!」


どこにいても厄介ごとは無くならないなぁ。
下手に対応して、おじさんに迷惑をかける訳にもいかないし。


「まぁまぁ、大臣様。ここは公の場ですので、寛大な心で見逃す方が宜しいかと。」
「なんだ貴様は。」


さて、この言葉とクラン名前でどうなるか。
ここはうまく引いてくれればいいんだけど…。


淡い期待を胸に僕とシーはテラスから飛び出した。



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