少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

93話 まさかの第2ラウンド。

闇の魔法により、空に飛び上がれない魔物。
雷の魔法も容赦なく攻撃が続く。


「見てるこっちが可哀想になるよね。」
「うんうん。私も受けたら勝てる気がしないもん。」
「ほほ。人にはやりませんよ……おそらく。」
「クロイダメだからね?」
「ほほ。冗談ですってローゼ。そんな怖い顔しないで下さいよ。」


クロイなりの和ませる為に言った冗談だったが。
内容が冗談に聞こえなかったか、ローゼの目が少し光った気がした。


「お母さん、今ってどう言う状況?」
「HPはモリモリ減っていくね。このままだと数分持つかだね。」
「えぐいな。」
「ほほ。たまたま相手にはまっただけです。それに何があるか分かりませんし、油断はいけませんよ。」
「そんな、フラグ立てるような事言わない……。」


―ピィーゥ…。


こ鳴き声は、ゴールデン・イーグル。
クロイが相手にしている方では無い。


「まさか…。」


大きな影が下から空へと通過して行く。


―ピィーゥ!!!!!


「もう1羽いたね。ちょっと怒っているのかな?」
「後ろの子の仲間なんでしょう。それよりブルーム。下がりなさい、食べられちゃうわよ。」
「うん。さてと、ソラヤどうしよう?」
「う〜ん。クロイは手一杯だよね?」
「そうですね。魔法を解けばいけますが。」


下手に解いて、自由にされても困るな。
きっと谷底まで逃げるだろうな。
そうなると、あいつは僕らでなんとかするしかない。


「銃で牽制するよ。飛べないくらい羽を攻撃すれば落ちるかな。」
「この距離じゃ、ソラヤしか攻撃届かないからな。私はいつでも動けるように構えておく。」
「分かったローゼ。クロイは魔法継続。お父さんとお母さんはクロイのフォローよろしく。」


皆んなに指示を出し、僕は銃を構える。
空高く飛び上がった魔物の狙いは…。


―ピィーゥ!!


流石に馬鹿出しはないか。
魔物はクロイに向かって、急降下してくる。


「だけど、それは読んでたよ。」


―ズゥゥン…ズド。


『ピィ、グッ。』


羽に当たりバランスを崩す魔物。


「そうなったら、次は…。」


急降下を止めて、空に再び昇ろうとする。


―ズゥゥン…ズド。


『ピィグゥ!?』
「慌てちゃいけない。それだけ相手に読まれる……。」


―ガチャ、ズゥゥン…ズド。ガチャ、ズゥゥン…ズド。


読み通り動くゴールデン・イーグルに、僕は撃ち込み続ける。
4発目の後、滞空を意地でも気なくなった魔物が落ちてくる。


「ローゼ!その後シーとナイト頼むよ!」
「あ、あぁ。任せろ!」
「きついのいっくよぉ〜。」
「ふふ。私も負けないわよブルーム。」


―ヒュルゥゥ…スパン!ビュゥ……ズシーン!!


落ちてくる魔物を鞭で捉えて、地面に引きずり落とす。
起き上がりに2人の拳が、魔物を挟みぶつかり合う。


『ピィ…ピィグゥ…。』
「ごめんね。そんな痛めつけるつもりはないから。」


―ガチャ、ズゥゥン、ドス。


頭に銃口をくっつけて、額に1発。




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《ゴールデン・イーグル Lv56を倒した。200(1,400)の経験値を得た。》
《ゴールデン・イーグル Lv56を倒した。200(1,400)の経験値を得た。》




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僕が留めを指した時。クロイの方の魔物も力尽きた。


「終わったー!!帰ろう!」
「今回は相性が良くて、早く終わったわね。」
「相性の問題か?我々のパーティだからな気もしなくもないが。」


シーが帰ろうと叫んで、ナイトとローゼも話に加わる。


「皆んな怪我してないかな?うん、よし。」
「栄理は大丈夫か?」
「私は豪が守るから大丈夫よ。」
「そうか。これからも頑張らないとな。」


頭を撫でるお父さんに、されるがままのお母さん。


「ほほ。仲良しだな。さて、帰るかの。」
「そうだね、帰ろう。シー?これ2つ持てそう?」
「ん〜…あ、大丈夫そう。」


2羽の魔物を回収して、僕らはそそくさと岩山を降りて行く。
多分だけど、あの崖にまだ何羽かいる気がしてならない。
だけど今回は、数は指定されてないし2羽もいるんだ十分だろう。




魔物がいなかった道中だから、帰りは少し早めに走った。
王都にさえ入れば、戦う事はないだろう。




そして、門番に挨拶してから3時間。
僕らは再び戻ってきた。


「おや?皆様どうしました?何か忘れものですか?」
「忘れ物?あー確かに色々あった方がいいものはあったね。」
「やっぱりですか。いや、魔物退治に出て、数泊はするには手ぶら過ぎると思ってたんですよ。」
「門番さん…そう言うのは行く前に言って欲しいです。」
「す、すいません!」
「いや、こっちも日帰り気分だったからさ。次は何かあれば教えてくれると助かります。」
「は、はい!了解しました、十番様!」


しっかりした敬礼で返してくる門番の人。
それより引っかかる………十番様?これって…。
自分の仮面を取り、数字を確認する。


「十ってこれか……。」
「あ…若い?」
「ん?」
「いえ、なんでもありません!」


何に驚いたのか分からない。
んー仮面を取ったことか?何か問題があるのか?
そう言えば、クランの噂を聞いて回る話もあったな。


「どうかされました?準備に必要なものがあれば、場所などお教えしますよ。」
「場所?あー、それはまた依頼貰った時に聞くよ。今は終わったし、すぐ帰るとするよ。」
「そうでしたか!終わったのですか……終わった?因みに魔物は?」
「倒したよ。まさか2羽出るとは思ってなかったよ。」
「……えぇぇぇ!!!!????」


門番の叫びが響く。
おや?僕らはまた何かやってしまったのか?


まぁいいか。とにかく、初依頼は無事に終わって帰ってこれました。

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