少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

81話 7対7の模擬戦②

突撃してきたエッジとダブルさんを倒して5対7の現状。


綺麗に思惑にはまったエッジには、後で色々と説明しておこう。
そして僕って言っているから、男の子だと思っていた双剣のダブルさん。
0距離空弾で撃ったら女の子っぽい反応をした。
仮面が外れて顔を見たけど、女の子だったのでお言う事実があった。


そんなこんなで、2人を安全な馬車近くに移動させて戦闘再開。


「はっはっは!2人が瞬殺とは驚いた。」
「死んでませんし、笑い事ではありませんよ。このままでは王都のクランとしての沽券に関わります。」
「こっけ?まぁ良いじゃないか。ソラヤ達は強い!」
「そうですね。少し迂闊でした。私も前に出ますよ。」
「うむ。俺が必要な時は言ってくれ。」
「今お願いします。」


おじさんはおっきい声だな。
『聞き耳』スキルを使わなくても聞こえてくる。


「私を守って下さい。詠唱します。ピース、ピィアス、スタンは魔法に合わせて前に。」
「私の出番ですね。2人とも準備を。」
「いつでもいけるわよ。」
「…頑張る。」


どうやら動き出すみたいだ。
詠唱って言っているし、杖もあるから何か魔法が来るんだろう。


「皆んな、魔法が来るよ。それと同時に3人来るから、気をつけて。」
「分かった。皆んな念の為、俺の後ろに。」
「クロイ。魔法で防御か迎撃出来る?」
「どんな魔法か分からないから、防御は土で何とか。迎撃は出来たらするよ。」


僕らがお父さんの後ろに隠れる。
クロイにも防御と迎撃を頼んだ。
さて、どんな魔法が来るのか。


「水神、風神!天で生まれる命の水、神の息吹に身を任せ、強固に強く育ちなさい!神の泪は絶対零度の宝石!」


「なんか随分な詠唱だね。」
「ふむ。だいたい何が来るか予想がつきますね。」


僕は詠唱が聞こえても何かはわからない。
分かるとすればあの人が、水と風を使えるくらい。
クロイは何か分かってるみたいだけど、それでも動きを見せない。


「いきなさい!ヘイルストーン!」


晴れていた草原も、このあたりだけ黒い雲がある。
雲を突き抜け目に見えるくらいの粒が落ちる。


「あれなヒョウとかアラレってやつ?」
「空ちゃん、よく分かるね。」
「いや、お母さん。学校で習うし。」
「そっか、私もやったのかな。でも見るのは初めてだ。」


お母さんは見上げて初めて見るヒョウを観察する。
冷静なところ悪いけど、危ないと思うんだけど?


「クロイ、あれ危なく無いの?」
「距離もあるのに目視できますからね。向こうも動かない所をみるに、このままでは危ないかと。」
「だよね?どうしよう。お父さんの盾に全員入らないし、全員で敵陣突っ込む?」
「ほほ。それはダメかと思いますよ。成る程、隙が大きい魔法ですが、どっちに転んでもいいと…。」


そんなに悠長に構えてもいられないんだけど。
この魔法結構考えているらしい。


まず、発動後は射程外に逃げると言う選択肢が一つ。
ただし、範囲が広く逃げ切れるか謎である。


1番可能性があるとすれば、相手の陣地。
自分達の真上には、落ちてこないはずなので全員でそこに突っ込む。
ヒョウは避けられても、あのおじさんが待ってる訳で。
下手に大剣振り回して、ヒョウの中に戻る可能性だってある。


そもそもの詠唱を止めればいいんだけど、それもあのおじさんをなんとかするしかない。


そして最期の選択肢は…。


「水と風の神様が向こうに力を貸しているので、わたくしは別の方の力を借りる訳ですが…。」
「何かある?てか、無いと困るんだけど。」
「ほほ。策もなくここに立ち尽くしませんよ。」


僕らはだろ1人慌てる事はしない。
お母さんなんて、完全に楽しんでいる。
そして、考え出したクロイの答えは。


「皆さま。前を向き、消して上を見てはいけませんよ。それと少し暑くなります。」
「見たらどうなる?」
「目が潰れるかと?」
「物騒だな。よし、クロイに任せて皆んな前を向こう!」
「では、参りましょう。イメージはこんな感じで…皆様お願いします。ヒート・プラネット。」


―キラ…ゴゴゴ、ボボボ…ゴォン!!


一瞬目の前が眩しくなった。
と思ったら少しの浮遊感。
そして、爆発音とともに…


「「「「「「暑ぅ!!」」」」」」


上を見るなと言われたから、見ないけど尋常じゃない暑さだ。
てか、前を向いていても少し眩しいけど、始めに眩しいと感じたものより遥かに…。


「な!なんですかそれは!」
「ほほ。自信作です。」
「そんな…。」


レイランさんが驚き座り込む。
そうか、あっちからは何が起こっているか見えるのか。


「眩しっ!?てか目を開けられないし!」
「どうする?あれに突っ込むの?」
「…無理。」


魔法後に突撃を言われていた3人も、こちらに近づいてこない。
話を聞く限りだと来れないかもしれない無いけど。


「ほほ。流石に暑いですね。もう少し上に上げますかね。」


―ゴゴゴ…ジュ、ジュ、ジュ。


何かとてつもない物が空に上がっていく?
何かジュって音が聞こえるが、ヒョウがどうにかなったのかな?
気になる…一体上に何が……。


「ねークロイ。この後どうすればいい?ヒョウどうなった?」
「そうですね…後ろを振り向かなければ、突撃しても良いかと。」
「「行ってくる!」」


クロイの話を聞き一目散に飛び出していくシーとナイト。


「2人とも!?っく、私も出る!」
「ローゼ。おじさんが動いたら止めて。」
「構わんが。あの御仁…私に止められるか?」
「シーとナイトに目がいかなきゃそれでいい。」
「シー!ナイト!3人の方を!」
「「了解!」」


少し遅れてローゼが前に出て、僕も着いて行く。
流石にあの2人におじさんが向かえば良くない気がしたから、3人の方を任せた。
ローゼにはおじさんの攻撃を少しでも送らせて貰えば…。


「「たぁぁぁ、とりゃ!」」
「何が、がふ!!」
「…あぅ〜。」


「どうした!?2人とも何が起こっ、げふぅ!?」


見えていないのか、一瞬で3人に一撃を食らわせる。
最後の1人は、剣のピースさんか…シーとナイトの攻撃をモロに食らってるけど、大丈夫なんだろうか?


「ぬぅ!見えん。レイランどこにおる!」
「後ろに居ます。」
「ならば、前の気配は違うんだな…。」


―ブゥゥン!ブゥゥン!


接近する僕らの気配を探り、前に剣を振るおじさん。
目の前で剣を振るうので、僕とローゼは止まり距離を取る。


この段階で向こうは2人で、こっちは7人。
おじさんのスキルにダメージを与えられるのは、ナイトかクロイだな。
ナイトを近づけるのはまずいし、ここはやっぱりクロイに任せたい。


「クロイ!この上なくにある、何か危ないやつなんとか出来る?」
「分かりました。ではあちらに落としますか。誰もおりませんし。ほい。」


―ゴゴゴ…………ド、ドガァァァン!!


「な!?何この地響き、何したの!?」
「何と?消すのも難しそうなので、誰も居ないところに落としただけだが?」


眩しさが無くなったので、落としたと思われる方向を見る。


「………。確実にあそこに丸い何かが落ちたね。」
「ふむ。これも封印コースですな。」


とんでも無い事をした事だけは分かる。


「全くクロイは…」
「ソラヤ!」


―ブゥゥン!


ローゼの声に僕は前を向いた。
目の前におじさんが居て剣を振るったのが見えた。



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