少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

69話 王都へと続く道。

町に帰り橋の完成をさらりとパーティメンバーに告げる。


「やったー!!これであの特訓ともおさらばだ!」
「ほほ。ナイト?」
「ん?どうしたクロイ!」
「わたくしが入れば、場所はどこでも良いんですよ?」
「まじか!?じゃーこれから先ずっとか!?」
「ほほ。ナイトが側にいるうちは、やろうと思います。わたくし自身の勉強も兼ねてですがね。」
「じゃ〜ずっとじゃん。悪魔は人間より長生きだからな。」
「わたくしが死ぬまで特訓ですか。それもいいですね。」
「いやいや、よくないから。」


ナイトにとってあの特訓は、相当きつかったんだな。
橋が回復してあのマーマン倒す日々も終わる予定だけど。
クロイの言う通り、魔法を教えるなら別にマーマンでなくてもいいだろう。
そしてクロイより長生きなナイトはずっと続くのかとげんなりしている。
今僕らは10代だから、今からそんな先の話は想像もできないけど。


「まぁ特訓はいいとして。橋も完成したし出発は明日にする?」
「ソラヤに任せるよ〜見たいお店もないし。」


橋は完成したが、流通が回復して商品が店に並び出すのはもう少し先のはず。
僕らは明日出発を決めた。






「もう少しゆっくりしていかれても。」
「いえ、結構ゆっくりしてましたよ。」
「この後も色々大変な事あるでしょうが、頑張って下さい。」
「はい、頑張ります。ソラヤさん達には、何から何までお世話になりました。」


ノウフさんと簡単に挨拶をして、僕達はギルドを後にする。
アオに馬車を引いてもらい、橋の前にたどり着く。


「「「ソラヤさーん!!お気をつけて」」」
「これからも町の護衛頑張って!」
「「「はいっす!!」」」


「おー見つけた。嬢ちゃんコレ持ってきな。」
「おわ?なにこれ〜?」
「クッキーや飴だよ。道中食べてくれ。」
「うわぁ!こんなにありがとう!!」


大きい袋にはクッキーと飴が入った瓶があった。
これは…始めの屋台で見たお菓子か。




橋には鍛え上げたギルドの面々、橋を作り上げた職人達が見送りに来てくれていた。
馬車の左右にギルドの兵士達が構えている。向こう岸まで守ってくれるらしい。
危険察知は反応して無いから、とりあえずここを渡るまで大丈夫だろう。






反対側に到着。


「ここから王都までは、まっすぐ道なりに行けばいけますので。」
「この道ですか。迷わなくていいですね。」
「迷いはしませんが、魔物はこの辺りより強く好戦的になるので気をつけて下さい。」
「そっか。楽しみにしておくよ。」
「楽しみですか。さすがは冒険者ですね。」


この辺りより強くて好戦的か。
それを聞いてシーやナイトはやる気満々。
お母さんやお父さんは動じず、ローゼとクロイがそれぞれ二人に突撃したりしないよう注意をする。


さて、僕は馬車の上に移動。
スキルと銃のスコープを覗いて、魔物がいないか探し始める。


「ソラヤ!言っておくが『聖魔弾』は撃つなよ。」
「分かってるよ、ローゼ。あまり使うと無くなりそうだから。」
「ソラヤは言わねば撃つからなぁ。言っても心配だがな。」
「はは。否定はできない。」
「そこは否定してほしい。」


いつものやり取りを終わった後、また魔物を探す。
後ろは僕らが通った道、川があって僕らの後ろを着いてくる馬車が一台。王都に行くのかな?
右に道はない。草原の先に森が見えるけど、道がないから馬車では通れそうもない。
左はただただ真っ直ぐな草原が広がるだけ。少しずつだけど登ってるのかも、向こうは山か何かあるのかね。


「ソラヤ〜何か面白いものある?」
「今のところは何もかもが無いね。」
「そっか〜。ねー上行ってもいい?」
「どうぞ。」


シーが馬車の上に上がってきた。
馬車の中でじっとしてるのが、飽きたのかな。


「……。」
「どうしたシー?」
「んーん。やっと王都に行けるんだって思って。」
「…ここまで時間かかったね。」
「そんな事ないよ。4ヶ月くらいで、Lvもギルドランクも上がって、こんなに早く城下町に入れるくらいになるなんて思ってもみなかった。」
「そっか。シーと出会ってそれくらいか。」
「うん。ハーピー・イーグルに捕まった時、私はこれで終わりって思ってたのにね。」
「はは、そんな事あったね。」
「あの事があったから、私はやりたい事をやって後悔の無いように生きようって思ったんだ。」
「そっか。その手伝いは任せて。やりたい事は出来る限り叶えるよ。」
「ソラヤが言うと、なんでも出来そうな気がする。よろしくね。」


王都に近づくに連れて、シーの中で思う事があるらしい。
Lvあげたり、ギルドランクが必要だったりと色んな条件もクリアしてきた。
橋が壊れたのも1ヶ月で直した。
ここ最近ゆっくりしていたけど、旅は順調なんだと思う。おそらく。




シーが僕の方に頭を乗せてきた。
少し顔を見たけど、その目はまっすぐ前を向いていた。
そのまま僕は黙って肩を貸す。


地図を見る限り平坦な道だし、何も無ければ明日にはつけるだろう。
シーと一緒に王都の方向を眺める。
これから先はどんな事が待っているんだろう。





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