少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

65話 裏路地は危険がいっぱい?

僕のスキル【危機察知】に反応はない。
そもそも危険ではないのか、Lv差で危険じゃないから出ないのか…。


けど気配で囲まれているのは分かる。
とりあえず、戦闘準備はする。
敵であっても、人間ならダメージを与えすぎないよう慎重にね。


そして龍眼発動中の、お母さんの目を警戒するのは暗黙の了解である。


ある程度進んだ所で、前後に人が近づいて来た。


「へへ。見たところここのルール知らないみたいだな。」
「我々は昨日ここに来たのでな。ルールとやらは知らない。もし良ければ教えて頂けますか?」


お父さんが代表して、現れた男に語りかける。
こういう時に子供や女の子を喋らせるのもどうかと思って、事前に打ち合わせしていた。
しかしルールねぇ…友好的な関係は気づけそうにないな。


「へへ。話は簡単だ。1人金貨1枚置いていけ。」
「それは何故ですか?」
「通行料だよ。ここを無事に通る為のな。」
「もし、払わなければ?」
「おい!」


出るは出るは、ガラの悪い人達が。
全部で10人出て来た。
後は前後の道に2人ずついるのは、出て来そうにない。
きっと逃げ出した時、捕まえる為に残しているんだろう。


「申し訳ないが、支払う貨幣は持ってはいません。」


実際払えなくは無いが、この人達に払う物はないって事でお父さんが返事をする。


「はっ。なら女を置いていけ。男はここで俺らと遊ぼうぜ。」
「ふぅ…一つだけいいですか?」
「あぁ?」
「逃げるなら今のうちですよ?」
「っけ。言ってくれるね。兄ちゃん。お前ら…」


お父さんが忠告をした。
逃げた方がいいと…それよりに対して、やり合う気満々な男達。
さて、そろそろ…。


「ソラヤ〜もう良いよね?」
「あ?何がだ?」
「後でノウフさんに引き渡すんで、手加減してくださいよ?」
「何ごちゃごちゃ言ってやがる!」
「あはは!じゃ、私達と…遊びましょう!!」
「なっ!?」


―ボゴッ……ズガァーン!


「あれ?軽く殴ったんだけど。」
「この野郎!お前ら!」
「ナイトだけずるい!とぉ!」


―ドゴッ、ズガァーン!


「ぐふぅ…。」
「2人とも出すぎるな!一度戻れ!」
「っち。逃すか!」


あっという間に2人をやられ、腰に手を回して何かを取り出す。


―シュルゥ…パン!


「いてえ!」
「それくらい大した事無いだろう。それに比べればな。」


ローゼが鞭で男の手からナイフを弾く。
手に鞭が当たって痛そうであるが、ナイフよりはマシだろう。


「なんだこいつら、ごふぅ…。」
「余所見はいけないわ。」
「なんだって、がふぁ!?」
「余所見はダメって聞いてなかったの〜?」


気を散らせた隙に、ナイトとシーが1人ずつ沈める。
今回は吹き飛ばなかったが、しっかり意識を奪うあたり強烈だなぁ〜
なんて他人事の様に見ている僕がいる。


「「うわぁ、ガブ!?」」
「ほほ。隠れているのは、バレバレですよ。」
「な!ガキが魔法だと!」


クロイは隠れていた2人を、水魔法で包み込みあぶり出す。
あれ、何分持つかな〜…そう考えている時に。


―バチィ…バリバリ!!


「「ガバババ……。」」
「これで良しと。」
「クロイは、なかなかにエグい事するね。」
「そうか?ソラヤが何かするよりは、無事な気がするけどな。」
「僕だってやればできるよ!」


水魔法で捕らえられた2人は、水から出ようと必死にもがく。
浮力も何もない魔法の水だから、クロイ曰くあらから逃れるには自力では無理との事。
そんな中、その水に向かって、雷魔法を放つクロイ。
水は電気をよく通すって理科で習ったな…。
息を吐き意識がなくなったところで、魔法を解除したクロイ。
これ雷魔法だけでいけたんじゃ……まぁいいだろう。


そして僕のターン。
まずは銃は使わない。弾薬を脅しで使うのは勿体無いし。
そして活躍するのが【手加減】のスキルだ。
手頃な石を手に取り…ある程度はスキルがなんとかするだろう。


―ビュン…ゴス。


「っが…。」
「な、どうした!」


うん。僕もやれば出来るじゃん。
音も無くスキル任せの石投げ。


「ちょっと!空ちゃん何したの?あの人死んじゃうよ、治癒ヒール!!」
「え?回復魔法?」
「別にあなた達の為にやったんじゃないから。」
「え、あ。はい。」
「はいはーい。エイリママに見惚れなーい。それ!」
「っが!?……。」


僕の石が命中した奴が倒れ、そこにすかさずお母さんの回復。
死んじゃうって?おかしい…スキルは発動していたのに。


その倒れた奴を支えて、回復に気を取られていた…あれはお母さんにか?
シーが殴って意識を奪う。


「空ちゃん。石も銃も禁止だよ。相手のHP1しかなかったから。」
「あー…一応1はある訳だし。」
「何やっても死んじゃう様なのは、手加減とは違うからね?」
「むむむ。分かったよ。」
「うん。大人しく指示に手してね。」
「分かった。」
「うん。いい子。」


これでも戦闘中なので、頭を撫でるのはやめて欲しい。


さてこれでナイトとクロイが2人ずつ、シーが3人で僕が1人。
始めは隠れていたの入れて、14人だから…6人かな。


その後、隠れていた奴が逃げようとして、クロイに捕まり水と雷の組み合わせで倒される。
お父さんが2にんを捌いていた、駆けつけたナイトとシーが1人ずつ倒す。


あと2人…


「ローゼ、そこの階段にいる1人。」
「任せろ。せい!!」


―シュルゥ、パシ。


「ぐぇ。」
「仲間を捨てて、逃げるとは許せんな。」
「お、おち、る…。」
「大丈夫だ。この高さからなら、頭から落ちなければ死なない。」


ローゼの鞭が逃げようとした男を捕まえる。
足を踏み外し、腕だけで捕まっている。
さてローゼが引っ張り落とすのが先か、自分で落ちるのが先か。


「ぐぐぅ…。」
「頑張るな、クロイ準備してくれ。」
「いつでもいいですよ。」
「はあ!」
「うわぁぁ!」


―ザボォーン、ブクブク


「ごふぅ!」
「解除しておきますので、後はローゼに任せます。」
「あぁ。その根性叩き直してやる。」
「ゴホゴホ、す、すいませ……」


―シュルゥ、パシン。


「げふ、すいま、いてぇ。」
「謝罪の言葉はいらない。」
「ひぃぃぃぃぃ!!!」


ローゼ怖いなぁ〜怒らせない様に僕も気をつけよう。
さて、これで後1人な訳だけど。


「どうする?逃げるのは無理だと思うけど。」
「っけ。女、子供と舐めてたツケがきただけだ。だが、俺にはこいつがある!」
「お?」


懐から取り出したのは、ハンドガン。
銃口は僕に向けられている。


「ソラヤ!」
「シー、止まって。」
「そうだぜ。動くとこの坊やに風穴が空いちゃうぜ。」
「この…!」


慌てて駆け込もうとしたシーを止める。
だって、シーに向けられたら大変だし。
それにしても、あの銃持っているなら、そこそこお金あるはずだろう。
なんでこんなお金巻き上げる事を…。


「ねーおじさん。」
「おじ!?俺はまだ21だ!」
「………意外に若いんですね。」


若かった〜
見た目ボロボロだし、お父さんより全然上に見えた。


「あーじゃなくて、銃持ってるならそこそこお金ありますよね?」
「それがなんだって言うんだ。」
「なんでこんな悪い事してるのかなって。」
「はっ。そんなの稼げるからにきまってるだろ。」
「ギルドの人は何もしないのかな?」
「あいつらに捕まる様なヘマはしねーよ。」
「僕らには捕まりそうだけどね。」
「な!」


相手と話してみたけど、反省する気も、悪いとも思ってなさそうだ。
そんな話をしている間も銃口が僕に向けられている。
皆んなは一応動かない様にしている。
そろそろ、終わろうかな。


「あ、最後に一つ。その銃どこで手に入れたの?」
「オメェには関係ないだろ!このガキが舐めやがって…撃つぞ!」
「どうぞ。弾が勿体無くなければ。」
「っく!ガキがぁぁぁ!!!」
「ソラヤ!!??」


―ドン。


散々話してやっと撃ってきた。
皆んなには心配されたかもしれないけど、一度銃を避けられるか試したかったんだよね。
後で、シーには怒られそうだな。


「よっと……こんなもんか、ふーん。」
「は?避け?バカな!銃だぞ!?」
「そうだね。だから避けてみた。」
「っく!うわぁぁぁ!!」


―ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、カチ、カチ。


全部で6発なんだね、それ。
て言うか、こんな子供に銃撃ち込むとかどうなのよ?


「な、弾切れ!?くっそ。」
「あー弾をリロードさせると思う?」


―ガチッ


「へ?」
「弾はそんな安くないよね。僕もコイツを扱うから知ってるんだ。」
「それは…スナイパーライフル?」
「正解だよ。でも見て良かったの?」
「な、何が?」
「これに撃たれるとか、僕なら知りたくないなぁって。じゃ、さようなら。」
「ちょ、ま、待ってくれ!!」
「バァン!!」


―コン!どさ…。


脅しただけで、気を失ってしまった。
大人なのにだらしないなぁ。
僕が撃つ訳ないのに。あんな0距離で撃ったら、いくらスキルあっても死んじゃうじゃん。


ローゼの方は……まだやってる。




裏路地ツアーの問題もこうして踏み倒して、僕らは進んで………行けないよな。


僕達が進む先、問題が起こる気がする。
さてどうするか、考えるとしよう。



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