少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

64話 冒険と危険は隣り合わせ

宿に戻り早速地図を広げた。


「ここが入り口で、住宅街から入って来て…広場があって……住宅街…おや?」
「ソラヤどう?何か面白そうなとこある?」
「こらこら、ブルームが覗き込んだら何も見えんだろう。」


僕が地図を入口から辿って行くと、お店の少なさに疑問を持つ。
シーが地図を覗き込んだのを、ローゼがもとの位置に座らせる。
寝不足になるくらい、違う町の散策を楽しみにしていたローゼだから。
シーが覗き込んだのをやりたい気持ちを抑えているのが見受けられる。


「ん〜住宅街が多いね。お店は広場周辺しかなさそう。」
「もしかしたら、個人でやってる店もあるかもしれないないぞ。」
「そう言えば、ローゼの村でも地図に表示のないお店があったね。」
「描き込みすぎると、地図が見づらいからな。ギルドと基本装備屋と薬屋や道具屋しか書かれないこともある。」
「そうなんだ。ならここで地図と睨めっこしてもしょうがないか。自分達の足で探しに行こう。」
「わーい。いくいく!」
「あぁ。早く行こう!」


シーはじっとしてられるないからだろうけど、ローゼが乗り気なのは…やっぱり楽しみだったのかな。
料理教室していたお母さんを呼び、全員で町に出る。




「とりあえず中央エリアの露店見てみよう。」
「うん。じゃ、あそこから!」
「ブルーム、走ると危ないぞ。全く困ったもんだ。」


1番目のお店に駆け出すシー。
困ったと言っているが、人をうまくすり抜けてローゼも小走りで追いかける。
その後を僕ら5人は歩いて向かう。


「「ん〜…。」」
「2人とも唸ってどうしたの?」
「あ、ソラヤ。なんて言うのかな〜お菓子なんだけどさ。」
「ん?シーの好きなクッキーじゃん。後は飴かな?へーこう見ると品数は多いんだね。」


始めの露店に並んでいたのは、お菓子類だった。
2人とも甘い物は好きなはず。
なのに浮かない顔なのは何でだろう?


「そうなんだけど〜これが普通なのかな?」
「私もあの村から出た事ないから、ブルームと同じ意見なんだが。」
「「高い?」」
「ん?クッキー一袋10枚入りで銅貨5枚…飴玉は一つ銅貨1枚……微妙。」
「すまないねぇ〜本当はもっと安くしたいんだけどね。」
「あ、すいません。つい…。」
「はは。構わないよ。どこも同じだし、状況が状況だからねぇ…。」


店の前で言う話じゃなかったな。
しかし屋台の人は気にしない様子だった。
話を聞いたら、ここ最近魔物が橋を壊してからこうなったみたいだ。
定期的に来ていた商人達が来れず、物価が上がってしまったからとの事。


この街では商人とのやり取りのみで、食材や日用品を買い揃えている人が多数。
一部では、自身で育てた食材で調理や販売しているところもあるから、全部のお店がそうではないらしい。


「橋を壊した魔物ってさ〜…私達が倒したあれ?」
「倒したとな!ゴライアス・フロッグなんじゃが、奴は討伐されたのか?」
「うん。それなら私達で倒したよ。」
「なんと…ノウフさんが他の町や村に呼びかけると言っていたが…。」
「この町に来る前に出会ったから、依頼とか知らなかったけど。」
「それが本当であれば一大事じゃ。橋の復旧工事の人を集めねば。」


そう言うと屋台のおばちゃんは、店をたたんでどこかへ行ってしまった。
その際クッキーを2袋くれた。


「んぐ…うん。美味しいね。」
「ん…そうだな。しかし町とは世話しないんだな。」
「ローゼの村も職人さん達は、迅速に動いていたけど?」
「あ〜そうか。じゃ、あの方も職人だったのか。」


シーとローゼがクッキーを食べながら、慌ただしくいなくなったおばちゃんを見ていた。
世話しないってローゼが言っていたけど、僕の屋根を吹き飛ばした時の職人に似ていると僕は思った。


「次行こうか。」
「ホうだね、んぐ。」
「さっき朝食食べたのに…食べ過ぎないようにね。」
「甘い物は別腹って言うでしょ?」
「あ〜その言葉はどこの世界でもあるんだね。」


中央エリアの露店を歩き回る僕らだったが、どれも少し高いような…。


そんな中足を止めて一角を見つめる人にクロイが気がつく。


「ん?ナイトどうかしましたか?」
「あっちに道があるなって。」
「あちらは…裏路地ですかね。」
「掘り出し物や、大物こそ、日の当たらない場所にあるもの。」
「ほほ。本音は?」
「裏路地ってなんか事件の匂いしないか…は!」
「ふむ。ソラヤはどう思います?」


ナイトの言葉を考えてみる。
広場の屋台は見たし、目の前のお店とかは閉まっていたりする。
ちらっと見たが冒険者よりは、町の人が着る普段着というかオシャレ着が多い。




あの白のワンピースとかシーに似合いそう。
シーに軽くこう言うの、どうか聞いてみた。


「動きにくそうだし、何より汚れそうじゃん。」
「あーそう思うか。そだね。」


女の子の好みは分からないな…うーむ。




おっと話が変わってた。
それより裏路地か、確かにここよりは面白そう。
なんか危ないイメージがあるんだよなぁ……。




「よし、行ってみようか。何があるか分からないから警戒はしようか。ナイトを先頭でお父さん1番後ろで。」
「うんうん!ソラヤ、分かってる〜。」
「背中はお守りします。」
「うん。何かあれば指示は出すから、装備は抜けるようにしといてね。」
「私とソラヤ以外は素手だがな…。」
「…ローゼ装備は出しといてね。」
「あ、あぁ。」


そう言えばそうだった。
拳派のシーとナイト、魔法のクロイに盾のお父さんと、回復のお母さん。
鞭を装備しているローゼと、銃を使う僕以外は素手が基本だった。




…さて気を取り直して裏路地ツアー行ってみよう。
賑わう声が少しずつ聞こえなくなる。
日は出ているのに、家と家の間が狭く暗くなっていく道。
コツコツ歩く僕らの足音が響く。


「しかし、いつも思うんだけどさ。」
「突然どうしました?」
「なんでこう…敷き詰めて建てちゃうのかね?」
「この町の建てられた家の歴史が、どれ程かによるでしょう。」
「建ててくうちにこうなったと?」
「そうです、よく聞くでしょう?日当たりのいい住宅街に、大きいビルを建てようとしたり。」
「あーうちの近くでもあったね。」
「そんな感じですよ。」


現実の僕の家周辺は低い建物しか無かった。
そんな中、一部を建て壊して、マンションを建てるとか。
反対署名って言って、クロイが話しているのを一緒に聞いていたような。
その時は、軽く聞き流していたけど。
つまりはそれをしていくと裏路地が出来上がるのか。


クロイと裏路地について話している事、数分…。


「お店を見つける前に、違うのが引っかかりそうだね。」
「ほほ。見られてますね。」
「やれやれ。ソラヤもクロイも楽しそうにするな。」
「「そんな事ないよ。」」
「そこ合わせる意味があるのか?」


危機察知は微妙な反応だけど、気配が無数取り囲まれるのは気がついた。
クロイもそれに気づき水魔法を浮かせ始める。


「ナイト、全力はダメだからな?」
「分かってるって。」
「もちろんブルームもだぞ?」
「分かってるって。」
「…君ら2人が全力で殴れば、おそらく人は一撃で……。」


そこで僕に視線を向けるローゼ。
僕がどうしたのか?


「稀に大丈夫なやつがいるが、それはソラヤだからだ。くれぐれも気をつけてくれ。」
「「分かってるって。」」
「ちょっと、僕が人じゃない言い方に聞こえるけど?」
「「「気のせいだって。」」」
「いや、そんな揃えてもだよ。」


全く…あれはシーの不意打ちと、僕のスキルがあってこそだからである。
僕だって普通の人………。


だと思うんだけどな。
今はそれより、向かってくる何かに気を配ろう。
全員戦闘体制で裏路地を歩いて行く………。





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