少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

62話 間違ったサプライズ。

ツユクサと言う町に向かう為、僕らはノウフさんについて行く。
川沿いは、比較的には安全であまり魔物も襲ってこない。


「…って言ってましたよね?」
「そのはずなんだが…。」


僕らの目の前には、川から出るわ、出るわ。
半魚人の魔物、リバーマーマン。


幸い、陸ではそんなに早く走り無いのか、僕らの所まで来るのに時間はかかりそうだ。


「ねー、ローゼ。」
「この距離だしな。許可する。」
「まだ何をするか言ってないんだけど…。」


―ガチャ。


そう言っておいて、僕は相棒に例の銃弾を装填する。


「それでは、許可が出たのでいきまーす。」


―ズゥゥン……キラッ、ドォォーン!!


「ソラヤのそれは、何度見ても派手だよね。私もあれくらい派手な技欲しいなぁ…。」
「ブルームは接近戦だろう。あんなのやってたら自分もろとも吹き飛ぶぞ。」
「そこはうまくね。」
「それよりブルームは攻撃力高いから、その拳の一撃が必殺技みたいなもんだろう。」


―ガチャ。


「ガチャ?」


―ズゥゥン……キラッ、ドォォーン!!


「ソラヤ。ストップだ。」
「ん?まだまだいけるけど?」
「これ以上は地形が変わりすぎる。」
「えー…しょうがない。少し様子を見よう。」


放った2発の聖魔弾は、魔物達を巻き込み盛大に爆発している。
どうなったかは、爆煙で良く見えない。
倒したってログが見えないから、きっとまだ無事なんだと思う。


「クロイ。水辺の魔物だ。爆煙が晴れたら雷魔法で頼む。」
「ほほ。腕が鳴りますね。今のうちに準備しておきましょう。」
「準備?まぁ頼んだ。」




待つ事数分。
こっちに向かってきたりはしない魔物達。
動けないのか、逃げちゃったのか。


「来ないな。もう逃げたか?すまないが、あそこにまだいるか見てもらっても良いか?」
「んー……。あそこの穴に、まだいっぱいいるよ。HPは残り4割って感じかな。」
「エイリありがとう。しかし何故出て来ないのか?警戒している…のか?」
「ローゼ、準備できましたぞ。」
「まぁ動かないのなら、好都合ってもんだろう。クロイ魔法は届くのか?」
「問題ありません。」
「では、頼んだ。」


僕の開けた穴に隠れて、様子を見ているらしいリバーマーマン。
お母さんが言うに、HPが残り4割って事は無事じゃないのかもしれない。


「駆け抜けよ紫電…漆黒の空より雷神の鉄槌を……」


そして魔法を準備していたクロイが魔法を唱える。
あれ?いつも唱えていたっけか?


「…遠雷の音ランブリング・サンダー。」


―ゴロゴロ………バチッ、ゴォォォォォン!!!!ズシィィン!


「キャァ!!」
「大丈夫だ栄理。クロイが撃った雷だ。」
「豪は何で平気な顔してるの?こんなでかいの、まじかで見たら驚くよぉ〜。」
「あ、すいません母さん。」
「クロイも撃つなら教えといてよ。」
「皆さんをびっくりさせようかと、密かに雷神様と相談していたのですよ。とっておきです。」


お母さんは女の子らしい声を上げて、耳を塞いでしゃがんでいた。
シーとナイトは、手を叩いて喜んでる。花火感覚なんだと思う。
ローゼは固まっているな。きっと後でクロイは怒られるだろう。


そして密かに雷神と相談ね。
それで詠唱とかしてたんだ。
後で聞いた話だけど、別に詠唱無くても出来るらしい。
ただ準備する時間は必要で、何も無いより詠唱する方がカッコいいからとの事。




➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖ 


《リバーマーマンLv28を倒した。60(420)の経験値を得た。》
《リバーマーマンLv28を倒した。60(420)の経験値を得た。》
《リバーマーマンLv28を倒した。60(420)の経験値を得た。》


………。


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖ 




ログがめっちゃ流れた。3から先は見る事をやめた。
最終10…何体くらい?よく分からないけど、たくさん経験値を貰った。
でも誰もLvは上がらなかった。
僕ら4人とシーは上がったばかりだから、次はローゼかナイトが次くらいにきそうだな。




「クロイ…。」
「ん?どうかしたかローゼ。」


「状況確認しないとね。皆んな行こうか。」
「なら、わたくしも…。」
「クロイ…私と少しお話ししましょうね。」
「ほほ?わたくしはもしかして…やらかしましたか?」


クロイとローゼから距離を取り、現場を見に行く僕ら。
あらかじめ、お母さんに見てもらっているから敵がいない事は確認済み。


「これは……落ちたら危ないな…近隣に注意しておかなければ。」
「これ埋めるの大変だし、いっそ川の水引っ張っちゃう?」
「まぁ、小さな湖出来るくらいの深さだし、普通に落ちるより水がある方が、もしもの怪我はないだろうけど…でもどうやって?」
「こいつでぶっ飛ばせば。」
「空ちゃん、空ちゃん!ローゼがこっち見てるよ。」
「……皆んなで相談しようか。」
「そ、そうですね。」


僕とクロイが開けた穴は、普通に落ちたら危ないくらいの高さになっていた。
川から水引っ張ればと思って、銃を構えたところをローゼが察知してこっちを見ていた。
お母さんが止めてくれなかったら、こうやるんだ。っで撃ってました。




そうは言っても、僕は壁を吹き飛ばす以外の案が出てこない。
皆んなで相談しているが、クロイの水魔法で貯めるか。
後は落ちないように柵を作るかって案が出てきた。




「皆んな待たせた。何か案は出たか?あ、ソラヤは言わなくていいぞ。」
「ローゼ酷くない?」
「そうだな。では吹き飛ばす以外の選択肢があるなら言ってくれ。」
「……。」


「ローゼがソラヤの扱いと考えを、ほぼ完全に読んでるね。」
「ははは。良くも悪くも、ソラヤは分かりやすいからな!」
「ナイトも分かるの?」
「基本ぶっ壊せばいいのだろう?私と思考は一緒だな。」
「あ〜成る程ね。確かに2人ともそうだね。」


「他人事だが、ブルームもその2人と一緒だからな?」
「え?ローゼが言うなら…一緒か〜仲間だね!」


ナイトとシーがハイタッチしている。
今言われたのは、微妙に喜んではいけない気がするけど。




「あー話が脱線したな。皆んなの考えは聞いた。」
「それで如何致しましょう?」
「ノウフさん。何故そんな敬語なんだ?」
「いえ。なんとなくです。」
「まぁいい。クロイ仕事だ。」
「ほほ。誠心誠意、頑張りましょう!」
「そんな頑張るな。程々に頼む。」
「ほほ…はい。」


皆んなの意見をまとめ、ローゼが言った作戦はこうだ。
この穴と川まだかの地面を、クロイの土魔法で下げる。
川の水が流れ一定量溜まったら、穴と川までの道を元に戻し。
危なくないように、その穴に周りに石柱を等間隔に建てると言う事。






そしてここに今……新しい名所が出来た。


「こう見るとなんか、神様祀ってありそうな雰囲気だね。」
「ほほ。わたくしがそれを、イメージして作りましたので。」
「この柱の等間隔にしろ、石柱のデザインにしろ、もうそれにしか見えないな。」
「父さんは見る所が、職人ぽいですね。」


「はぁ〜魔物を退治できる力に、物を作り上げるくらい正確な魔法…あなた達はいったい……。」
「ただの冒険者だよ。他も大体はこんなもんでしょう?まぁ他のパーティ見た事ないけど。」


口を大きく開けて固まるノウフさん。
僕らは慣れてしまったけど、これはいつものクロイである。
色んな属性魔法を生活に取り込む事が多い。
なのでさっきみたいな雷魔法は、誰も予想していないから驚いた人も多かっただろう。


やる事はやったし、早く町に行こう。
僕らは新しく出来た湖を、回り道して町に向かうのであった。





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