少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

34話 頼りになる人

朝食を取り、早速村の探索を開始。
初っ端から闇雲に歩くのは…地図がどこに売ってないか、宿の人に聞いてみる。


「地図?ギルドに何枚かあるんじゃないか?」
「え?地図もらえるの?」
「貰えるはずだぞ?それにあそこにはローズちゃんがいるからな。力になってくれるし、何より頼りになる。」


ローズさんか。確かに昨日は丁寧に対応してくれたな。
そうなると、まずはギルドに向かおう。




「ん?お前達どうした?早速依頼でもやるのか?」
「それはいずれやりますが、今日は地図の事で来ました。」
「地図?あぁ、持ってこよう。ちょっと待てくれ。」


ギルドに行ったら、入口前でローゼさんに会えた。
地図の事を話したら、持って来てくれるとの事。
初めから聞いておけばよかった。


「ほら、5人分。昨日渡しておけば良かったな。」
「いえいえ。僕らもすぐ帰ってしまいましたし。」


村の地図を、ただでゲットした。
何でも言えば、その村や町なら地図はくれる仕組みらしい。
次の場所でも、まずはギルドに行こうと思った。


「ところで、世界地図は、ギルドにあったりします?」
「ギルドには無いな。そう言うのは、雑貨屋にあるはずだぞ。」
「雑貨屋ですか…うーん。」
「見せてみろ。ここが雑貨屋だ。でギルドがここだ。」


地図を見て探していたら、印をつけてくれた。
これで迷わず雑貨屋に行けるな。
書くものがないから、ついでに宿にも印をつけて貰った。
これで宿にも帰れる。


「ローゼさん、ありがとう!成る程ね、後行く場所は…。」


僕が地図を見てるときに、クロイがローズに話しかける。


「ローゼさんは、今からどちらへ?」
「私か?いつも通りパトロールだな。」
「ほう。いつも村を回っているのですか?」
「滞った依頼が無い限りな。」
「それは、それは。ご立派ですね。」
「立派?そんな事もないだろう。」
「いえいえ、宿の亭主さんも困ったらローゼさんを頼るようにと。」
「店主が?そんな頼られる存在ではないがな。」
「そうですか?頼りになると言ってましたよ?それに我々の対応も迅速で、その上親切だと思います。」
「そ、そうか…?ん〜なんかむず痒いな。」


僕も確かに親切な人だなと思う。
地図を見ながら、2人の会話を聞く。
と言うより、耳に入っている。あ、防具屋みっけ。


「ほほ。照れた顔は可愛らしいですね。」
「かわ!?そ、そ、そんな事は無いだろう!」
「そうでしょうか?わたくしは可愛いと思いますよ。」
「うぐ。世辞ととっておこう。」
「世辞ではないんですけどね。」
「あ〜この話はやめだ。お前達はこれからどうするのだ。」


無理やり話を変えたローズさん。
余程恥ずかしいのか、耳が真っ赤だ。
てか、クロイ口説いてるのか?


「あ、目的だっけ?村をぐるっと回り買い物予定です。」
「そうか、そうか。雑貨屋ならこの道を行けば良い。早く行かなくていいのか?」
「別に急いでませんよ?せっかく貰った地図で道に迷うとあれなんで、行くところを印付けてるとこです。」
「そうか。弟君はしっかりしてるのだな。」
「そうですか?闇雲に歩いて迷子は嫌ですからね。」
「そんな大きい街でも無いんだ。迷わんと思うが。」
「そうなんですか。あ、ならパトロールついでに案内お願いしてもいいですか?」


そう言えば、パトロールで村を回るって言ってたし。
無理を承知で言ってみた。


「私がか?別に回るなら、問題は無いが…。」
「あ、いいんですか?助かります。」
「ほほ。ローゼさんは本当に頼りになりますね。お願いします。」
「う、うむ。し、仕方がない。まずは雑貨屋だな。行くぞ。」


そう言うと、さっさと歩いて行くローゼさん。
その後をクロイ先頭に着いて行く。


「あれは……落ちたな。」
「栄理ママもそう思う?」
「褒められてないだけかもしれないけど。好感触ではあるわね。」
「ローゼさんって幾つなんだろう?」
「歳は……15歳だね。」
「クロイさんの一個上なんだ。」
「二人ともどうかしぃ!?…たの?」
「「ん?何でもないよ。」」




びっくりした。
振り向いたらお母さんの眼が…。
思わず、すぐ目を逸らしてしまった。
何見てたんだろう?後で聞けばいいか?今振り向くと危ないし。




しばらく歩いて雑貨屋に到着した。
成る程、この道がこうか…。
僕は到着して、地図と今の位置を確認しておく。


「じぃ!客を連れてきたぞ。起きているか?」
「来るなり何じゃ?ってローゼちゃんか。よぉ来た。店は異常なしじゃ。」
「そうか。それは何よりだ。」
「それはそうと、客とは後ろの坊や…坊やか?」
「言い直そうとして、直ってないし。」
「だはは。儂からすれば、どうれも坊やじゃ。おっとレディもおったか。すまん。」
「男と女の扱いが違うな。」
「そりゃそうじゃ。儂は紳士じゃからな!」
「ほほ。ごもっともですね。素晴らしい心意気かと。」
「お。分かる坊やもいるんじゃな。」
「「だははは。」」


近しいものを感じるのか、一気に仲良くなる2人。
…気にせず話を進めるとしよう。


「申し訳ありませんが。こちらに世界地図は、売っておられますか?」
「ほぅ。幼いのにしっかり喋るのな。良い教育されておるの。」
「ほほ。そのような事は、御座いませんぞ。」
「がはは。坊やが答えるのか?後ろのが親なんじゃろ?」
「「あ、はい。そうです。」」
「何じゃ、面白い奴らじゃ。して、世界地図とな?」
「はい。御座いますか?」
「あるにはあるが、安く無いぞ?」


店の奥に行って地図を持ってくる雑貨屋のじいちゃん。


「そんな高いんですか?」
「銀貨8枚じゃ。」
「高いな!世界地図ってそんなにするのか!?」
「これでも負けてるのじゃ。ローゼちゃんの紹介じゃし。で?やめとくか?」
「はい。銀貨8枚。」
「ほほぅ。この額を即決か。金には困っとらんのか?」
「お金はそんなないですよ。昨日まで無一文だったので。」
「ほう。そんなにこれが必要なのか?」
「そうですね。これから僕らが、進む道を示すものですから。」


何より現在地が分からないでは、王都や龍の郷も分からない。
そうなければ、約束を何一つ守れないしね。


「ソラヤ君…あまりお金ないのにごめんね。」
「ん?ごめんね?昨日のお金は僕ら皆んなの物だよ。謝らなくていいよ。」
「ん。ありがとう。」
「ふむ。何か訳ありか…坊や、他に必要なものはあるか?」
「そうですね…書き込むペンや紙も少し欲しいですね。」
「なら、それはサービスでつけとくぞ。」
「え?いいんですか?」
「この額じゃからな、中々売れんし。選別と受け取っておけば良い。」


ずいぶん気前のいいじいちゃんだな。
行為は素直に受け取っておこう。


「ありがとう、おじいちゃん。」
「おじいちゃんか…孫が増えた気分じゃ。」
「ふふ。まだこの街にはいるから。また来るね。」
「うむ。他にも色んなもの売ってるからな。いつでも見に来い。」
「うん。」
「ほほ。微笑ましいですね。」
「いやいや、今はクロイも、シーと同じ歳だからね?」
「ほほ。」


和やかな雰囲気の中、パトロールもあるのでと次に行く事にした。
買ったばかりの地図とペンと紙を、アイテムに収納して雑貨屋を後にする。
次の目的地は、装備を買う防具屋。


途中すれ違う人々が、皆んな声をかけてくる。
ローゼさんも人気者だな。
道中パレードかってくらい、皆んなに手を振って挨拶してるよ。


「本当に好かれてるね。」
「ほほ。ローゼさんの人柄の良さが伝わりますね。」
「ローゼちゃんって綺麗だし、可愛いもんね。」
「アイドルっぽいな。」
「ローゼさん綺麗だしなぁ〜一つしか違わないのに。」


手を振る手を止めて、ローゼさんが振り返る。


「お前ら、恥ずかしいから!それ以上言わないでくれ〜。」


耳を塞ぐローゼさん。褒められるのが苦手なようだ。
顔を真っ赤にして、通りを進んでいく。
防具屋は、もうすぐそこらしい。



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