少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

22話 大人の甘い雰囲気?

………ソラヤがシーと話している姿を、遠くで見守る影が3つ。


「何話してるか聞こえないけど。空ちゃんたら、あんなに頭撫でちゃって…。」
「ほほ。あれは完全に落ちましたな。」
「なっ。空様は頭を撫でて、相手を気絶させてしまうのですか!?」
「……豪、静かに。」
「あ、はい。」


まったく豪は、この手の話に全然気付かない。
頭を撫でて気絶?そんなの出来るわけな……。
あぁシーちゃんが昇天しそうだわ。


あながち間違ってない、表現なのかしら?
豪が私にしたら…………は!想像だけで気絶しそうだわ。




「それより黒様。空ちゃんもあんな優しそうに頭を撫でるって事は…。」
「残念ながら、空矢様にその感情は無いかと。」
「俺には何が残念か分かりませんが。あの感じは、近所の犬を撫でている時と似てますね。」
「…空ちゃん。まぁまだ若いしね。」


近所の犬って、あのでっかいゴールデンレトリバーか。
確か空ちゃんが近づくと、座って撫でてもらうのを待ってたかしら。
シーちゃんは金色より茶色のセミロングの髪。
そして空ちゃんが撫でても、絡まることのない真っ直ぐな毛質。


金色に染めてる私の髪は、ロングヘアーだけど、撫でられたら途中で引っかかって髪が切れそう…。
っくぅ!若さか!女神様に、もう5歳若返って貰っておけば……。
やめよう。向こうは10代だ。
生きている時間が違うんだ。うん。




「これから暫くは、彼女と行動するのでしょうし。空矢様の成長を見守るとしましょう。」
「俺も空様を全力で見守ります!」
「ほほ。貴方はまずご自身のとな「黒様ぁ〜ストップ。」…ほほ。」
「黒様、そこも是非に!見守りましょう!」
「ほほ。父と子は似るでございますね。ね、母さん・・・?」
「その母さん・・・に、もの凄い何かが込められてる、気がしなくもないけど…。」
「その様な事はありませんぞ。それに母さんを守るのは、父さんの仕事ですよ。父さん、栄理さんを離してはダメですぞ?」
「そうですね。栄理には俺がずっとそばにいます。」
「不意打ちっ……!!」
「どうした?そんな離れると、空様に見つかるぞ?もっとこっちに来い。」


母さんって読んだと思えば、名前で呼んだり。
黒様は使い分けが絶妙。豪はそれに平気に引っかかる。


こっちにとかいって、豪が私の肩を掴み、抱き寄せてくれた。
私達の間に居たはずの黒様は、いつのまにか後ろに移動してるし!
そんなに大きくない木に隠れてはいるけど!
ち、近いよぉぉ…。


「あぅあぅ…。」
「どうした!赤いぞ。熱でもあるのか?どれ。」
「ふぇ?」
「ん?」


目の前に豪の顔が!豪の顔がぁぁぁ!!


「ぃ……」
「い?」
「いやぁぁぁ!!」
「ガフッ…」
「いやはや、ナイスボディーブロウです。ほほほ。」


豪の鳩尾につい、拳が……。
そのまま倒れる豪。


「ぐふぅ…これが……クリティカル。空様はこれを…ガク。」
「豪ぅぅぅ!ごめん!!!!」






私は必死に治癒の魔法をかけた。




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―エイリの魔法【治癒Lv4】になった。


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「ほほ。先程上がったばかりなのに。」
「ちょっとこの仕組みに、講義したいわ。」


空気を読んで欲しいものだわ。
なんで、今上がるかな?
豪にはジルさんの加護があるんだから。
私の攻撃なんて、大した事無いはずでしょう?
スキル上がるくらい回復してないよね?


「っふ。俺もまだまだ、鍛え方が足りないな。」
「そ、そうよ。頑張ってちょうだい!」
「あぁ。頑張るさ。栄理を護る為にもな。」
「っ!!」


本当に豪はもう!
言葉の不意打ちで、私自身が倒れそうだわ。
それで黒様は、その笑顔で、私の頭を撫でない!


「どうせなら豪に…。」
「ん?俺がどうした?」
「な、何でもない!何でもない…。」


危ない、つい本音が…。
豪に当たるのも、何か違うわね、少し落ち着きましょう。




「ふむ。ちょっと父さん耳貸して。」
「え?はい…成る程。やってみます。」


黒様…何言ったの?
ん?頭に何か…。


「よしよし、元気出せ栄理。」
「っっっ!!!!!」
「本当ですね。少し元気が出た様に見えます。」
「な、な、な。」


元気にもなりますよ!
えぇ!すごく嬉しいとも!
あ〜だめだ。にやけちゃう。


「これは気持ちいいもんだな。」
「わ、私は、犬じゃないんだからぁ…。」
「?そんなの当たり前だ。俺は栄理だから撫でてるんだ。」
「はぅぁ!?」


あぁ…もぅ……。








―がくぅ。


「おっと!大丈夫か栄理!?黒様!栄理が!」
「黒ジィ!!シーが倒れたー!!」
「ほっほ。お二人とも罪な方ですな。」
「「ん??」」


お二人共、色んなものがピークに足してしまったのか、倒れてしまいましたな。
はて、どうしましょうか…。


「そうです。膝枕をして、差し上げましょう。」
「さっきシーにしてもらったあれ?」
「このままっていうのもあれですし。黒様が言うのであれば。」


素直な二人は、指示に従ってくれるみたいです。
日も出てるので、木陰に移動して休むとしましょう。




「あれ?黒ジィどこか行くの?」
「少しばかり無粋な方々に、制裁を加えて参ります。」
「あ、なんか近づいてくるね。一人で大丈夫?」
「ええ。何も問題ありませんぞ。なので、お二人はここに。」
「分かりました。黒様お願いします。」
「分かった。頼むね黒ジィ。」


二人に膝枕を命じて、わたくしは魔物退治でもしましょう。
おそらく、目覚めてもまた……ほほ。若いって素晴らしいですね。




さて、ワームは食べれそうも無いので、火の魔法を。




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《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ワームLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》


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ウルフは皮が何か使えそうですね。ここは水の魔法を使いましょう。




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《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》
《ウルフLv10を倒した。1(5)の経験値を得た。》


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お。あれはボアと呼ばれる、猪ですな。
あのボタン鍋は、美味しゅうございました。
一頭でいますし、丁度いいですな。




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《ボアLv20を倒した。20(100)の経験値を得た。》


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少しLvが高かったので、時間がかかりましたな。


こんなものでしょう。
周りに何もいなくなりましたので、そろそろ戻りましょう。




戻った時には、お二人がお目覚めになってました。


「クロイ…あなたねぇ…。」
「クロイさん…。」
「ほほ!?」


さすがに膝枕を命じたのは、やりすぎでしたか。


「「ありがとぅ…。」」
「ほほ。いえいえ、わたくしは何もしてませんよ。」


何があったのか分からず、首を傾げる男性陣。
腰が抜けたらしく、立てない女性陣。


仲良きことは良きかな。
ですが、一人で猪を捌く事になって、些か大変だったのは自分のせいであると頑張ったのは、言わないでおきましょう。



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