少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

12話 今明かされる謎。



猪鍋を皆んなで食べた。


「ん。臭いかなって思ったけど、そうでもないんだね。」
「はい。味噌を使い風味を出したりと、臭いは気にならない様調理してますので。」
「ん。うまい。」
「ほほ。柔らかすぎず、硬すぎず、いい感じで御座います。」
「旬は秋から冬にかけてなんですが。それでも美味しいですね。」


猪の鍋。世の中では、ぼたん鍋、シシ鍋と呼ばれているみたい。
栄ネェが言っていたけど、秋の方が木の実を食べる事が多いから、味も甘みが増してさらに美味しくなるって話。
異世界の猪が何を食べてるかは、分からないけど。
これでも十分美味しいから良し。


あっと言う間に鍋は空っぽ。
本当に猪がいて良かったと思う。
猪も元は豚と同じ種類と栄ネェは言っていた。
もし獣人しかいなくて、オーク鍋が出てきたとしたら…少し抵抗がある。






そしてお腹も満たされて満足していた僕等だが、このタイミングで話さねばならない事がある。
食事後の話し合いで、僕は話を切り出した。


「この家から外に出てみよう」
「え?本当に?」
「うん。このままここで過ごしていると、外に出れなくなると思うんだ。」
「家が好きな空様が言うのです。これは早く出ないと行けませんね。」
「その考えが、どうかと思うけど…。まぁいいか。話を続けるね。」


お風呂があって、食事も困らないし、雨風が凌げるベッド付きの家。
野宿や宿に泊まったりと、外ではそれが当たり前な話になるだろう。
こんな贅沢に慣れてしまってはいけない!
この異世界に呼ばれた意味を探すなら、色んな所を自分の足で歩くしかない。






家から左に真っ直ぐは、ゴブリンしか出なかったから、そっちの方向はとりあえず無い。
逆に屋敷の裏側だけど、何も分からない未知数なところがある。
正面がモンスターなどの変化があったって事で、方向はそっちに決まった。


途中に猪が出た事は確認できたし、人が食べれそうな動物がいた事は、きっと意味があると信じて…。
もちろんその先は何があるか分からない。
もしかして裏から行ったら、すぐ森を抜ける可能性だってある。
冒険と行っても、可能性がある方を選ぶのは当然だ。


「じゃ明日は朝食取って出発しよう。それと必要な物は今のうちに準備しよう。」
「あの…今更なんですが一ついいでしょうか?」
「うん?どうぞ豪ニィ。」
「では……黒様はその見た目のままでしょうか?」
「ほほ?そうじゃよ。」
「誰かに会う事を考えると、何か取り決めをした方が良いかと。」
「確かに〜他所から見たら、子供2人に大人2人だもんね。」


言われてみればそうだよなぁ。
僕らだけならこのまま過ごしてもいいけど、他の誰かに会ったりした時とか、街に行ったりすれば絶対聞かれそうな事だ。
設定的なものは必要か。


「これも今更なんだけどさ。なんで黒ジィ子供なの?」
「ほほ。今それを突っ込まれますか。」
「なんか口調とか仕草が黒ジィだから、すんなり受け止めちゃったよ。」
「どこから話せば宜しいかな?」
「え?見た目が変わった訳から。僕と豪ニィと栄ネェは、何も変わってないのに、なんで黒ジィだけ?」
「何も……。」
「変わってませんと……。」
「2人とも〜私は何も変わらないよぅ〜」
「「あ。はい。ソウデスネ。」」
「ん?」


また何か不思議な空気に…だがこれは、触れちゃいけないものだな。
僕は本能的に悟った。空気読める子。


「で?どうしてか話してよ。」
「あ、はい。そうで御座いましたな。」


そう言って話を変える。
黒ジィは見た目が変わった経緯を話しだす。
1番始めに女神様に出会った時に聞かれたはずだと。
『名前』『年齢』『見た目』について。
そう言えば言ってたな。
僕は空矢と答えた、その後は…歳は12で、容姿は別に困ってません。そのままで問題ないですけど。


「うわぁまじか〜その時に身長5㎝伸ばして貰えば…は!」


自分の発言に頭を手で隠した。
頭を撫でようとしない!話を進めてくれ。


「ごほん。それでわたくしも答えました。」
「なんて?」









『貴方もサクサク聞いていいかしら?名前は何ていうの?』
「わたくしは黒井と申します。失礼ですが、お嬢様はどちら様でしょうか?」
『お嬢様だなんて…ん!このエリアに異常な事態があったと、天界より派遣されてきた女神です。』
「ほほ。女神様でしたか。それはお美しい訳です。」
『いやぁぁ〜ははは。』


わたくしの前に現れた方は、何と女神様だったのです。
50年生きてきて、こんなに驚いた事は……空矢様を除いて御座いませんでしたよ。
金髪ロングの童顔な子なんて、中々見る事は出来ませんからな。


『クロイ…さんもソラヤ君も、さっきのお姉さんにお兄さんもか。褒めすぎですよ。』
「ほほ?空矢様に他の方々も、ご無事なんでしょうか?」
『無事?何か事故でもあったの?』
「いえ、朝起きて着替えてましたら、突然目の前が真っ白になりまして。」
『あぁ。それは私が来たからかな?何かあってもあれだし、結界張ったのよ。』
「そうでしたか。皆様がご無事であれば良いのです。」


なるほどですな。突然真っ白な空間に来たのも、女神様が来られたからと。
結界が何かはよく分かりませんが、女神様が大丈夫と言えば、信じても良いでしょう。


『じゃ、話続けるね。年齢はどうする?』
「どうするとは?」
『あ、質問来た。いや、これが普通なのよね…。』
「如何されました?」
「んーん。こっちの話。』


そう言って女神様は、しっかり説明して頂きました。
些か、何かを読んでいるような感じがしますが、それはそれで。
どうやらわたくし達4人は、異世界という場所に飛ばされたとの事。
そして今はここで生きて行く為の、器を選定する空間という事も。


「ほほ。それは一大事ですな。して、わたくし達は何故ここに来たのでしょう?」
『それは……書いてない!?…えっと、こに世界での問題を解決して欲しいのよ!』
「ほほう?その問題とは?」
『うぐぅ。そ、それは…貴方達が、世界を周り見つけて。そう!自分で見つけないと意味がないのよ。』
「そうでしたか。ヒントを頂き感謝で御座います。」
『良いのよ。私は女神なんだし、人の子を助けるのは、当たり前よ。』


この問題は、これ以上聞いても話が進まなそうですな。
後で空矢様達とお話しすればいいでしょう。


「それでなんですが、年齢とは自由に決められるのですね?」
『え、ええ。あ、人が生きられない年齢はダメよ?種族は変えられないからね。』
「ほぅ。では13才では、どうでしょうか?」
『オーケー。それなら問題ないわ。』


簡単に通りましたな。
この世界を周ると仰ってましたし。
50歳では些か厳しいものがありますからな。


『じゃ、見た目はどうする?貴方の若い顔がよく分からないから、細かく情報が欲しいわ。』


それは困りました。
なにせ幼少期の顔はよく覚えておりません。
わたくしが想像できるのは空矢様くらいで…。


「お、であれば、空矢様の体格に。一つ年上なので気持ち大きく。」
『ソラヤ君ね。気持ち大きく…5㎝くらいでいいかしら?』
「はい。目元はどちらにしましょう。豪さんの様にキリッと少しつり目な感じで。」
『ふむふむ。ててい。』
「鼻と口元をエイリさんと似せて貰えれば。バランスの良い綺麗な方で御座いますし。」
「さっきの3人ね。はいは〜い。これで良しっと。」


鏡が無いのが残念です。
割と遊んでしまいましたが、何かしら似ていた方が、後々何かに使えるでしょう。


『は〜い。次は職業をきめるよ。一度決めたら変えられないから、ちゃんと選んでね。』
「ほう。どんなものがあるのでしょうか?」
『んと。戦士、魔導師、盗賊、神官、商人、格闘家、発明家…1、2、3……7、うん、合ってる。』
「その中であれば、ソラヤ様は盗賊で、豪さんは戦士でしょうか。」
『え?凄いね。当たりだよ。』
「ほっほ。栄理さんは…格闘家でしょうか?」
『ざんね〜ん。神官でした。』


栄理さんが神官?わたくしの理解が間違って無ければ、神官とは神に仕える者。
慈悲深く、なんらかの癒す効果のある職業な気がします。
殴る蹴るなど、無心で出来る職業では無かった。
栄理さんに家事以外に出来るのでしょうか?


『その心の声、全部口に出してるよ〜』
「おっと、わたくしとした事が。」
『クロイさんの慈悲深く癒す職業って事は合ってる。皆んなに安らぎを?みたいな事を言ってましたよ。』
「あぁ。それなら納得です。」


そうなると、どうしましょうか。
商人と発明家は、戦闘系職業では無さそうですね。
戦士と盗賊が居るわけですし…格闘家もスマートで無いですね。


「では魔導師でお願い致します。」
『了解。聡明な感じが貴方にぴったりね。』
「ほっほ。女神様には及びませんよ。」
『ふふふ』
「ほほほ。」







「…と言う訳です。」
「そこで終わりかよ!?」
「ほほ。後は始めに言いました。【女神様の話仲間】の由来は長くなるので、想像にお任せ致します。」
「あ〜愚痴か。じゃ〜いいや。」


要約すると、初めての仕事で練習したのに!説明も何もなくて!!努力が無駄になるかと思ったの!!!
っと言われたとの事。それは女神様に申し訳ない事をした。


「目元は俺なんですね。」
「鼻と口元は私ねぇ…。」
「そうまじまじ見られますと、困りますな。」
「でも、始めて会った時に自分に似てるって思ったんだけど。」


体格や髪型は同じで、身長は5㎝も大きいけど。
目元が豪ニィで鼻口元が栄ネェっとなると…。


「あ、いい事思いついた。僕らは家族で旅をしてる事にしよう。」
「家族ですか?まぁ空様とは、もう家族って思っておりますが。」
「私も〜空ちゃんのお姉さんっとしているんだけど〜?」
「それは僕も一緒です。ではなく、黒ジィ…クロイを兄として。」
「ほほ。兄ですか。面白そうですね。」
「豪ニィ…ゴウをお父さん。栄ネェ…エイリをお母さん。」
「「へ?」」
「成る程ですな。文字通りの家族で御座いますか。」


こうして僕の新しい家族が出来ました。


「「って、えぇぇぇぇ!!!!」」


2人が何か言ってますが、顔も似てるんだし良いじゃないか。
別に嫌そうではなさそうなので、この設定で行くことに決まりました。



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