少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

3話 お姉さんは女神様で僕は僕である話。

 僕の目の前に立っている女性は本をパラパラめくり何か言ってる。


『ここじゃ無くて、ここでも…。』


 分厚い本だな…てか、その本浮いてるし。
 周りは真っ白で何もない。時間をつぶす事も無いから、目の前の女性の観察でもしてるかな。


 まず1番目に入ってくるのは、床に着くんじゃないかってくらい長い髪。色は金色で、光っているようにも見える。それに栄ネェと比べるとスタイルもいい。
まるでオンラインのキャラみたいに文句の付け所もない。


「綺麗すぎるんだよなぁ。」
『え?綺麗?何が?』
「あ、言葉通じるんですね。綺麗ってお姉さんの事ですけど。」
『お姉さんなんて、照れちゃうわ〜それに全然言われないから、なんかむず痒い〜。』
「お姉さん見て、綺麗って言わない方がどうかしてますよ。」
『少年は若いのに見る目があるわね。いいわ、ちょっとサービスしとくわね。』
「??ありがとうございます。」


 綺麗なお姉さんはそう言うと、本を閉じた。


『さてさて、少年は名前何にする?』
「名前ですか?空矢です。」
『ソラヤ君ね…歳と容姿はどうする?』
「歳は12ですけど、容姿は別に困ってません。そのままで問題ないですけど。」
『ふむふむ、12歳っと…そのままでっと。職業は色んなのあるんだけどどうする?』


 再び本が現れて読み始めるお姉さん。


『戦士、魔術師…神官、盗賊と「盗賊で」…まだ全部読んでないんだけど、それでいいのね。』
「職業がよく分かりませんが、盗賊があるならそれで。」
『ソラヤ君は説明省けて、助かるわ〜。勇者とかになるなら戦士の方が向いてるんだけどね。』
「別に勇者とかに興味は無いので。」
『ふ〜ん。ここに来る子は、あれこれ聞いてきて、勇者志望が多いって聞いてきたのに。ソラヤ君は無欲なのね。』


 これ一体なんだろうな。名前と年齢はいいとして、容姿とか職業決めるのってチュートリアルみたいだ。
 ん?チュートリアル?あれ、もしかしてポンポン決めちゃまずかったか?


『よし、こんな感じかな。ソラヤ君メニュー見てみて。』
「メニュー?メニュー…どこにあります?」
『メニュー開けって考えて貰えばいいのよ。』


 メニュー開け!




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▶︎ステータス  アイテム  プロフィール  ???  ???


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「お、何か出ましたね。ステータス、アイテム、プロフィールと???が2つ。」
『え?あー…。とりあえずプロフィール見てみようか。』
「今の何か含みが気になりますが…まぁ後でいいか。」




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ステータス  アイテム▶︎プロフィール
―ソラヤ Lv1  
年齢/12
職業/盗賊
スキル/勝利の女神


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「名前とLv1とあって年齢と職業にスキルが何か書いてありますね。勝利の女神?」
『お、それが付いたんだ運がいいね。』
「お姉さんは女神様だったんですか?」
『え?そこ?なんだと思っていたの?』
「綺麗なお姉さん。」
『あはは、ソラヤ君は面白いね。よし!一緒に来た子にも何かしておこう。』
「一緒に?あ、豪ニィもいるの?」
『そに人が誰か分からないけど。名前をまだ聞いてない人達がいるよ。』


 この不思議な空間に豪ニィも居るみたいだ。1人で大丈夫かな?


『ではじゃんじゃんいこうか。これが自分の情報ね、アイテムはまだ何も無いから飛ばして。ステータス見てみようか。』
「あ、はい。」


 アイテムは無いなら後で見るか。




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▶︎ステータス  アイテム  プロフィール  ???  ???
―HP 16/16・MP 6/6・SP 10/10
―STR/1・DEX/10・VIT/1・AGI/10・INT/6・MND/4・LUK/100(+100)


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「あー初期ステータスか。STRとVIT1って…。」
『低っ!!』
「ちょっとお姉さん、その反応は酷いです。」
『あ、ごめん。2とか3は見たことあるんだけど。』
「まぁ子供の力と防御力なんてそんなもんですよ。」
『そ、そう言っても他のが高いとか…ね?』


 なんか可哀想な子を見るような目が。
 他のステータスも高いか分かんないし、とりあえずお姉さんの反応で判断しよう。


「INTが6でMNDは4ですね。」
『…あれ?平均的?』


 ふむ。平均的と言うことは5が平均くらいか。


「DEXとAGIは10ありますね。」
『お、10は凄いじゃん!そっかそっか、器用で俊敏だね!盗賊なら良いと思うよ…っほ。』
「なんかあからさまに安心しましたね。他のも一桁だったらどうしようとか?」
『そ、そんな事無いよ〜何も失敗してないし!それにスキルだってちゃんと付いたんだから。』


 焦って否定するあたり、きっと全部一桁しかなかったらやばかったんだろう。失敗って怖いな…まぁスキルは何か特殊なものだろうし、期待しておこう。


「ところでこのスキルは、何か効果があるんですか?」
『すっごいスキルだから、そこは期待してくれて良いよ!』
「本当ですか?期待しちゃいますよ?」
『ふふん。見れば書いてあるけど、見てないみたいだから、言っちゃおう!なんと…』
「なんと!?」
『持ち前のLUKの数値がそのままプラスになる!勝利の女神の加護なんだよ!やったね!』
「おぉ!って運が上がるから、勝利の女神か。」


 そうなると、この100がその数値なのか。上限がどこなのか分からないから、高いのか低いのか微妙。


『数字の横に(+なんとか)って書いてある数字を合計した数字がソラヤ君のステータスになるんだよ。』


 ん?そうなると、100+100で200とな。


「100超えちゃうのか。あの限界値ってどこまでいくんですか?」
『ステータスはLUK以外は999まで上がるはず……ん?100超える?』
「はい。LUKは100(+100)になってます。」
『へ?200?20とかじゃなくて?』


 その反応はどう言う事だろう。
 この数値は高いのか?


『LUK200って何?100じゃないの?200って…どこにも書いてないよ。』


 後ろを向いて物凄い勢いで本をめくっていく。


『説明途中だったね。じゃ一つずつ言っていくからね。』
「はーい。」


 何かを諦めたお姉さんは開き直って話を続けた。聞いても分からないんだろう、とにかく話を聞くとしよう。


 まずSTRは物理攻撃力と所持アイテム重量や装備品重量などの力に関するもの。
 DEXは命中率、遠隔武器攻撃力と言った器用さ。
 VITは物理防御力で、AGIが素早さ、物理と魔法の回避率。
 INTが魔法攻撃力と状態異常付与率、MNDは魔法防御力と状態異常耐性や回復力。
 最後にLUKは…。


『数値は人によって違くて、大多数が5〜10で20とかあれば凄い幸運なの。』
「へえ〜」
『それの恩恵だけど、攻撃や防御判定やクリティカル、アイテムのドロップ率に影響されるの。』
「それから考えるとLUK200って、やばいのでは?」
『攻撃は当たらないのに、ソラヤ君の攻撃はほぼクリティカル!でもってアイテムも落ちやすいくらいじゃない?』
「それチートじゃん。」
『ち、ちーと?え、それって怒られるのかな…。いやいや!あなたはこの女神に愛されたからだよ!!』
「ん〜まぁそう言うことにします。」
『物分かりの良い子は嫌いじゃないわ!』


 なんかこの女神…お姉さんの性格が分かってきた。あの本はきっと説明書か参考書の様なもので、きっと女神様の中でも若い人なんだろう。
 見栄や自信を表に出せてる様で、素が出てしまうおっちょこちょい。ステータス部分はスラスラ出てきてるところを見るに、努力家で真面目な人なんだと思う。


『何一人で頷いているの?』
「あ、いえ。少し考え事を。」
『まぁいいや。そろそろ次の子に会いに行くから、元の場所に戻すね。』
「はい、色々ありがとうございますお姉さん。他の方々の事もよろしくお願いします。」
『本当にきちっとした子ね。ソラヤ君ね。名前は覚えたし、また会えるかも………。』




 真っ白な世界から家の庭に戻ってきた。




「あ、この世界と、今の状況聞くの忘れた。」


 案外自分もおっちょこちょいなのかと思ってしまう。
 まぁいっか。過ぎた事を気にしてもしょうがない。
小学校の終業式は終わったし、春休みだし。ちょっとした旅行だと思えばいいか。


 とりあえず、豪ニィが戻ってくるまでメニュー触って待つ事にした。
 何か面白いことはないかな〜?

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