少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜
第1話 少年と執事とお手伝いさん。
起立!礼!
『ありがとうございました!!』
一つの教室で、生徒達が先生に対して最後の礼をする。
「な、なんだ。そんな畏るなよ。調子狂うな。」
「なんだ先生照れてるんですか〜?」
「な!?そんなんじゃ!…いや、最後だしいいか。お前達は良い生徒だった!こちらこそありがとう!」
「うぅ…ゼンゼイ。」
「なんだ、なんだ。卒業式は来週だぞ?」
和やかな雰囲気の中。今日で小学校最後の終会だ。
終会の時は、挨拶をする。それで、当日は寄せ書きを先生に渡すというサプライズも用意してある。一週間後の卒業式。皆んなで先生を泣かしちゃおう作戦である。
そんな中に、そわそわしてる生徒が1人。
「おい空矢。もう少しだ。耐えろ!」
「その言い方もどうなんだ?最後くらい空矢だって早く帰らないと思うよ。」
「そ、そりゃ僕だって空気くらい読む人間だよ。」
―カタカタカタカタ
「そのエアーキーボードやめた方がいいと思う。」
「は!」
これはいけない。『ほほ。空矢様。最後くらいちゃんとして下さいね。』って執事の黒ジィに、言われてるんだった。
そんな僕に気がついた先生が、僕に声をかけてきた。
「青海どうした?今日は早く帰らんのな。」
「先生も僕をなんだと思っているんですか?」
「ゲーム好きな…好きすぎて、すぐに家に帰る子だと思っているが。」
「否定はしませんけど。ただ先生にお世話になったのも事実なので、今日は早く帰らないよ!」
「しまったな。卒業式晴れて欲しいのだが。」
「それはどういう意味ですか!?きっと日頃の行いが良いから、卒業式の日は晴れますよ。」
「うん。一言多いあたりが青海らしいな。」
僕の名前は青海 空矢 12歳。
先生が言う通り、いつもは終礼後にダッシュで家に帰る生徒である。
何をしているかって?何ってゲームをしてますよ。近所の中学生と遊んでる時に、知ったオンラインゲーム『ブループラネット・オンライン』
それが中高生の間で凄く流行っていると聞いた。
話してくれたお兄さんは、とても優しくて、僕はそのゲームの話を聞くのが楽しみだった。
実は放浪の旅なのか、家に親が居ない事が多い。
違ったかな?放浪の旅って言う……仕事と言っていたかもしれない。
なんでも世界の遺跡調査がどうのとか。
たまーに手紙と一緒に、謎の置物がうちには送られてくるから、元気だと思う。
まぁ、それが理由という訳じゃ無いんだけど、執事の黒ジィは勉強が疎かになるからと、携帯もゲーム機も買っては貰えなかった。
成績だって、そんな悪く無かったけど。成績で順位があれば、中の上くらいだと思ってる。
2学期の成績を全部1段階上げて、誕生日って事と、ネット社会の今、PC使えた方が今後有利だと力説した。この話を相談した、お兄さん達のアドバイスなんだけど。
ただ、買ってもらって成績を落としたら、没収するという条件付きで買って貰えた。
それにハマってからと言うもの、ゲームやりたさに勉強を前より頑張れたと思う。
これを努力と言ってもいいよね。
とにかく今日は終業式であり、給食も無いので、12時くらいには、皆んな家に帰った。
当然その後は、真っ直ぐ家に帰りました。
「空様、おかえりなさいませ。今日は午前で終わりでは無かったんですか?」
「ただいま、豪ニィ。」
にこやかに中庭で迎え入れてくれたのは、花守 豪 28歳。
僕の家の庭を手入れと、小物を作ったり、ときどき大工さんみたいな事もする。
豪ニィは小さい頃から、ずっとここにいるお手伝いさん。
両親もほぼ家に居なくて、僕にとっては兄的存在。
今日も庭の花壇に水やりしている。
「最後だったしね。クラスメイトとか、先生と話したんだよ。」
「そ、空様がご学友や先生と話して、帰りが少し遅くなったんですか!?」
「なんだよ豪ニィまで。雨は降らないからな。」
「は!そんな!雪が降るとか言ってませんよ。」
「雨すら通り越した!?」
「ははは。冗談ですよ。さて空様が帰って来たのでご飯ですかね。切りのいいところで戻ると、栄理に言っておいてくれますか?」
「うん。分かった。」
中庭を抜けて、玄関を開けて家に入る。
「あら?空ちゃん随分と遅いお帰りね。」
「栄ネェまで雨とか言わないよね。」
「雨?降るんですか?」
「いや、そんな事は無いと思うんだけど。」
「ふーむ。あ、ご飯の用意すぐしますね。」
「ありがと。豪ニィが切りのいいところで戻るって。」
「はいは〜い。あ、空ちゃんも、手洗いうがいして来てね。」
今陽気に話しかけてきてくれるのは、白間 栄理 29歳。
豪ニィと一緒で、僕にとっての姉的存在。
同じく住み込みで、ご飯や洗濯とか、色々な事をやってくれるお手伝いさん。
栄ネェに言われて、今日で役目を果たしたランドセルを部屋に置いて、手洗いする為に洗面所に行く。
「おや、空矢様。おかえりなさいませ。」
「黒ジィ、ただいま。例の物は後で持って行くよ。」
「ほほ。その顔だと問題なさそうですね。」
「そりゃね。PC没収されたら生きて行く自信ないもん。」
「そこまでハマりますかね?でもやる事やってますし、うるさく言うつもりはありませんよ。」
「黒ジィは約束は守るもんな。」
「そうですとも。紳士とは常に誠実であれ!で御座います。」
「ふーん。僕には紳士って言うのが、よく分からないけど。」
「ほほ。いずれ分かる日がきますよ。」
僕が黒ジィと呼んでいるのは、黒井 次郎 50歳。
この家の執事で、管理をしてくれている。
勉強とか普段は厳しいけど、約束は絶対に守る紳士と、自分で言っているらしい。
滅多に会わない親より、黒ジィの方がずっと一緒にいるからか、2人目のお父さんっと思っている。
本人には言わないけどね。
「ほほ。どうかされましたか?」
「んにゃ、なんでもない。栄ネェがお昼だって言ってたから、黒ジィも行こう。」
「はい。お供致します。」
そのあとリビングで昼食をとり、例の物…通信簿を黒ジィに渡しに行く。
中身を見て頑張りましたなっと褒めてもらって、俺はこれでPCを守れたと安心した。
そして自室に戻り早速ゲームを始める。
「そう言えば、アップデート今日の0時からか…時間がかかるダンジョンは行けそうもないな。」
夕食まで特別やる事がないし、金策でもしてるかな。
お金はいくらあっても足りないくらいだし。
PCモニターに映るもう1人の自分『Soraya』と書かれたキャラを動かす。
上下黒の軽装に黒いバンダナ、背中には弓矢と矢筒を装備。
腰には剥ぎ取り用の小さなナイフを持って、今日もゴブリンと呼ばれる獣人の巣へと向かう。
初心者には戦士が向いていると攻略サイトにも載っていたが、僕は迷わず盗賊と言う職業を選んでいる。
何故かと言うと最初に見た紹介文が印象に残ったからと言う理由だ。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
盗賊/中級〜
真の宝を探し求め続ける永遠の旅人。
運によるボーナスあり、レアアイテムなどのドロップ率向上。
クリティカルダメージで大ダメージを与え、敵の攻撃を回避するのに特化した職業。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
永遠の旅人…やっぱり冒険するなら、何かを追い求める感じがいいと即決だった。
でも初心者向きでは無いと言われていただけあって、初めは物凄く苦労した。
なんせ遠隔武器主体で、矢なんてポンポン撃っていたら、お金がすぐ底を尽きる。
なので金策と呼ばれるお金稼ぎは、ある意味仕事している大人の様で、これまたカッコいいと僕は思うんだよね。
そしてあっという間に時間は過ぎる。夕食をとり、再び自室へ。
明日からは卒業式まで学校もない。
俺のゲーム生活の幕開けだ。
♢
『ソラヤはもち、メンテ明けからいるんだろう?』
『僕は学生ですからね。それに、なんと明日から春休みなんですよ。』
『かぁ!羨ましいな!俺も学生時代に戻りてぇ』
『戻ってもこのゲームないんじゃないの?』
『マジか!』
『しかもまた勉強しなきゃいけないんだよ??』
『ぐっ…勉強なんてもうしたくない!よーし。俺は今を生きるぞ!』
♢
メンテまで特にどこかへ行くわけもなく、ギルドホームに集まるメンバー。
相手の顔は見えないけど、冒険に行かないで、なんでもない会話が、僕には心地よかった。
―ドン!!
なんか今、一瞬大きい音がした様な…?揺れたか?
ヘッドホンをとって音を確認する。
「……何もない?」
ヘッドホンをもう一度して、会話ログが流れてこないなと思い、画面右上のアイコンの変化に気がついた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【ギルドハウス】 20:40 40%♻︎
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「電波エラーか?メンテ前だし。何かあんのかな?やる事ないし、このまま落ちるかよう。」
ゲームのタイトル画面に戻り、一応再ログインしてみたが、エラーで入れなかった。
最後の挨拶は出来なかったなぁ〜まぁ明日言えばいいか。
―ダンダンダン
「空ちゃん!大丈夫?」
「栄ネェ。男子の部屋でもノックは必要だよ?」
「あぁ、ごめんなさい。ってすごい音して揺れなかった?」
「あーやっぱり音したんだ。ゲームしててあまり気にしてなかった。」
「空ちゃんは小学生とは思えないくらい、動じないよね。」
その後、リビングに集まり全員に聞いてみた。
黒ジィは本を読んでいて気がつかなかったらしい、俺と変わらんな。
豪ニィは寝ていて気がつかなかったとの事。21時前に寝るって子供か?朝早いからそんなものかな?
ともあれ何もなさそうなので僕は寝る事にした。
…この時、周りの変化に気がついた人はいない。
テレビをつけて確認とか色々できたかもしれない。
もしも、それしていても、状況は変わらないかもしれないけどね。
せっかくなので言います。
まさかこんな事になるなんて……この時の僕は考えもせず、眠りについた。
『ありがとうございました!!』
一つの教室で、生徒達が先生に対して最後の礼をする。
「な、なんだ。そんな畏るなよ。調子狂うな。」
「なんだ先生照れてるんですか〜?」
「な!?そんなんじゃ!…いや、最後だしいいか。お前達は良い生徒だった!こちらこそありがとう!」
「うぅ…ゼンゼイ。」
「なんだ、なんだ。卒業式は来週だぞ?」
和やかな雰囲気の中。今日で小学校最後の終会だ。
終会の時は、挨拶をする。それで、当日は寄せ書きを先生に渡すというサプライズも用意してある。一週間後の卒業式。皆んなで先生を泣かしちゃおう作戦である。
そんな中に、そわそわしてる生徒が1人。
「おい空矢。もう少しだ。耐えろ!」
「その言い方もどうなんだ?最後くらい空矢だって早く帰らないと思うよ。」
「そ、そりゃ僕だって空気くらい読む人間だよ。」
―カタカタカタカタ
「そのエアーキーボードやめた方がいいと思う。」
「は!」
これはいけない。『ほほ。空矢様。最後くらいちゃんとして下さいね。』って執事の黒ジィに、言われてるんだった。
そんな僕に気がついた先生が、僕に声をかけてきた。
「青海どうした?今日は早く帰らんのな。」
「先生も僕をなんだと思っているんですか?」
「ゲーム好きな…好きすぎて、すぐに家に帰る子だと思っているが。」
「否定はしませんけど。ただ先生にお世話になったのも事実なので、今日は早く帰らないよ!」
「しまったな。卒業式晴れて欲しいのだが。」
「それはどういう意味ですか!?きっと日頃の行いが良いから、卒業式の日は晴れますよ。」
「うん。一言多いあたりが青海らしいな。」
僕の名前は青海 空矢 12歳。
先生が言う通り、いつもは終礼後にダッシュで家に帰る生徒である。
何をしているかって?何ってゲームをしてますよ。近所の中学生と遊んでる時に、知ったオンラインゲーム『ブループラネット・オンライン』
それが中高生の間で凄く流行っていると聞いた。
話してくれたお兄さんは、とても優しくて、僕はそのゲームの話を聞くのが楽しみだった。
実は放浪の旅なのか、家に親が居ない事が多い。
違ったかな?放浪の旅って言う……仕事と言っていたかもしれない。
なんでも世界の遺跡調査がどうのとか。
たまーに手紙と一緒に、謎の置物がうちには送られてくるから、元気だと思う。
まぁ、それが理由という訳じゃ無いんだけど、執事の黒ジィは勉強が疎かになるからと、携帯もゲーム機も買っては貰えなかった。
成績だって、そんな悪く無かったけど。成績で順位があれば、中の上くらいだと思ってる。
2学期の成績を全部1段階上げて、誕生日って事と、ネット社会の今、PC使えた方が今後有利だと力説した。この話を相談した、お兄さん達のアドバイスなんだけど。
ただ、買ってもらって成績を落としたら、没収するという条件付きで買って貰えた。
それにハマってからと言うもの、ゲームやりたさに勉強を前より頑張れたと思う。
これを努力と言ってもいいよね。
とにかく今日は終業式であり、給食も無いので、12時くらいには、皆んな家に帰った。
当然その後は、真っ直ぐ家に帰りました。
「空様、おかえりなさいませ。今日は午前で終わりでは無かったんですか?」
「ただいま、豪ニィ。」
にこやかに中庭で迎え入れてくれたのは、花守 豪 28歳。
僕の家の庭を手入れと、小物を作ったり、ときどき大工さんみたいな事もする。
豪ニィは小さい頃から、ずっとここにいるお手伝いさん。
両親もほぼ家に居なくて、僕にとっては兄的存在。
今日も庭の花壇に水やりしている。
「最後だったしね。クラスメイトとか、先生と話したんだよ。」
「そ、空様がご学友や先生と話して、帰りが少し遅くなったんですか!?」
「なんだよ豪ニィまで。雨は降らないからな。」
「は!そんな!雪が降るとか言ってませんよ。」
「雨すら通り越した!?」
「ははは。冗談ですよ。さて空様が帰って来たのでご飯ですかね。切りのいいところで戻ると、栄理に言っておいてくれますか?」
「うん。分かった。」
中庭を抜けて、玄関を開けて家に入る。
「あら?空ちゃん随分と遅いお帰りね。」
「栄ネェまで雨とか言わないよね。」
「雨?降るんですか?」
「いや、そんな事は無いと思うんだけど。」
「ふーむ。あ、ご飯の用意すぐしますね。」
「ありがと。豪ニィが切りのいいところで戻るって。」
「はいは〜い。あ、空ちゃんも、手洗いうがいして来てね。」
今陽気に話しかけてきてくれるのは、白間 栄理 29歳。
豪ニィと一緒で、僕にとっての姉的存在。
同じく住み込みで、ご飯や洗濯とか、色々な事をやってくれるお手伝いさん。
栄ネェに言われて、今日で役目を果たしたランドセルを部屋に置いて、手洗いする為に洗面所に行く。
「おや、空矢様。おかえりなさいませ。」
「黒ジィ、ただいま。例の物は後で持って行くよ。」
「ほほ。その顔だと問題なさそうですね。」
「そりゃね。PC没収されたら生きて行く自信ないもん。」
「そこまでハマりますかね?でもやる事やってますし、うるさく言うつもりはありませんよ。」
「黒ジィは約束は守るもんな。」
「そうですとも。紳士とは常に誠実であれ!で御座います。」
「ふーん。僕には紳士って言うのが、よく分からないけど。」
「ほほ。いずれ分かる日がきますよ。」
僕が黒ジィと呼んでいるのは、黒井 次郎 50歳。
この家の執事で、管理をしてくれている。
勉強とか普段は厳しいけど、約束は絶対に守る紳士と、自分で言っているらしい。
滅多に会わない親より、黒ジィの方がずっと一緒にいるからか、2人目のお父さんっと思っている。
本人には言わないけどね。
「ほほ。どうかされましたか?」
「んにゃ、なんでもない。栄ネェがお昼だって言ってたから、黒ジィも行こう。」
「はい。お供致します。」
そのあとリビングで昼食をとり、例の物…通信簿を黒ジィに渡しに行く。
中身を見て頑張りましたなっと褒めてもらって、俺はこれでPCを守れたと安心した。
そして自室に戻り早速ゲームを始める。
「そう言えば、アップデート今日の0時からか…時間がかかるダンジョンは行けそうもないな。」
夕食まで特別やる事がないし、金策でもしてるかな。
お金はいくらあっても足りないくらいだし。
PCモニターに映るもう1人の自分『Soraya』と書かれたキャラを動かす。
上下黒の軽装に黒いバンダナ、背中には弓矢と矢筒を装備。
腰には剥ぎ取り用の小さなナイフを持って、今日もゴブリンと呼ばれる獣人の巣へと向かう。
初心者には戦士が向いていると攻略サイトにも載っていたが、僕は迷わず盗賊と言う職業を選んでいる。
何故かと言うと最初に見た紹介文が印象に残ったからと言う理由だ。
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盗賊/中級〜
真の宝を探し求め続ける永遠の旅人。
運によるボーナスあり、レアアイテムなどのドロップ率向上。
クリティカルダメージで大ダメージを与え、敵の攻撃を回避するのに特化した職業。
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永遠の旅人…やっぱり冒険するなら、何かを追い求める感じがいいと即決だった。
でも初心者向きでは無いと言われていただけあって、初めは物凄く苦労した。
なんせ遠隔武器主体で、矢なんてポンポン撃っていたら、お金がすぐ底を尽きる。
なので金策と呼ばれるお金稼ぎは、ある意味仕事している大人の様で、これまたカッコいいと僕は思うんだよね。
そしてあっという間に時間は過ぎる。夕食をとり、再び自室へ。
明日からは卒業式まで学校もない。
俺のゲーム生活の幕開けだ。
♢
『ソラヤはもち、メンテ明けからいるんだろう?』
『僕は学生ですからね。それに、なんと明日から春休みなんですよ。』
『かぁ!羨ましいな!俺も学生時代に戻りてぇ』
『戻ってもこのゲームないんじゃないの?』
『マジか!』
『しかもまた勉強しなきゃいけないんだよ??』
『ぐっ…勉強なんてもうしたくない!よーし。俺は今を生きるぞ!』
♢
メンテまで特にどこかへ行くわけもなく、ギルドホームに集まるメンバー。
相手の顔は見えないけど、冒険に行かないで、なんでもない会話が、僕には心地よかった。
―ドン!!
なんか今、一瞬大きい音がした様な…?揺れたか?
ヘッドホンをとって音を確認する。
「……何もない?」
ヘッドホンをもう一度して、会話ログが流れてこないなと思い、画面右上のアイコンの変化に気がついた。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【ギルドハウス】 20:40 40%♻︎
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「電波エラーか?メンテ前だし。何かあんのかな?やる事ないし、このまま落ちるかよう。」
ゲームのタイトル画面に戻り、一応再ログインしてみたが、エラーで入れなかった。
最後の挨拶は出来なかったなぁ〜まぁ明日言えばいいか。
―ダンダンダン
「空ちゃん!大丈夫?」
「栄ネェ。男子の部屋でもノックは必要だよ?」
「あぁ、ごめんなさい。ってすごい音して揺れなかった?」
「あーやっぱり音したんだ。ゲームしててあまり気にしてなかった。」
「空ちゃんは小学生とは思えないくらい、動じないよね。」
その後、リビングに集まり全員に聞いてみた。
黒ジィは本を読んでいて気がつかなかったらしい、俺と変わらんな。
豪ニィは寝ていて気がつかなかったとの事。21時前に寝るって子供か?朝早いからそんなものかな?
ともあれ何もなさそうなので僕は寝る事にした。
…この時、周りの変化に気がついた人はいない。
テレビをつけて確認とか色々できたかもしれない。
もしも、それしていても、状況は変わらないかもしれないけどね。
せっかくなので言います。
まさかこんな事になるなんて……この時の僕は考えもせず、眠りについた。
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