無敵のフルフェイス
90話 1番偉い人?②
国王との謁見!あー緊張するな。このヘルメットがあるから、顔色読まれなくて良か……これしたままでいいのか?
そして無駄に逆光の所為で見えにくい。
『調整します。』
「(ありがとう)」
アイさんが光を調整してくれたおかげで、椅子に座った若い男の人が座っているのが確認出来た。光に反射する白銀の髪。鋭い目つきには相手に負けじと力強さを感じる。
あれが国王なんだ、本当に王冠被ってるよ。だけどなんか覇気がないと言うか……
『あの者は何を威嚇しているのですか?下っ端如きが私の忍様に……』
「……。」
アイさんの声が聞こえてくる。下っ端って国王ですよー?
とりあえず無言で過ごす。僕の許可なしに攻撃はしないだろう……たぶん。
「……突然の帰還と聞いて来てみれば。その黒き者が噂の?」
「……。」
―ツカツカ。
国王の座る椅子までの段差を、無言で登っていくキャリパーさん。
「ん?どうかし「ふん!」げは!?」
近くなりいきなり殴りつけるキャリパーさん。確かに1発入れるとは言ってたけどさ。
「ねぇエスト……あの人は国王なんでしょ?」
「一応ね。」
「一応って。」
酷い扱いだな。まぁ2人にとっては国王の前にお父さんって事なのかな?それにしてもだよなぁ……僕は父さんに殴りかかったことなんて一度もなかったし。
「親に殴るとかレブルはないよね?
「さすがにグーではないわね。平手ならあるけどね。」
「この世界の親子関係はスパルタなんだね……」
殴り飛ばされた国王は椅子から落ちる。
「はっはっは。キャリパーは治癒師だよな?また力が上がったんじゃないか。そう言うところが母親そっくりだ。」
「笑い事ではない。今日は言いたい事があってここに来たの。」
「ここは家なんだから、好きに帰って来ていいんだよ?」
「茶番はいいの。お父様はどこ?」
「「…………へ?」」
キャリパーさんの発言に、僕とレブルは変な声がでた。今なんと?
「ちょっとしたお茶目心じゃないか。全くキャリパーは容赦がない。」
「それで?お兄様がここに居るってことは、あの命令もお兄様が?」
「どの命令だ?」
「魔族の出現に黄金騎士団を出さなかったり、エストレアの誘拐紛いな街での騒動よ。」
「魔族の件は私が下した。後は知らぬ。エストレアは今田舎のお婆様の家に居るんだろう?」
「そこにおりますよ。」
「ん?ん〜?」
凄い形相でこちらを睨んでくる。
―パチン!
「は!お呼びでしょうか殿下。」
「レンズを持って参れ。バレたからもう真似をする必要はない。」
「こちらに。」
「いつも準備がいいな。感謝する。」
「は!失礼いたします。」
眼鏡なんてこの世界にあるんだね〜それをかけた……お兄様がこちらを見る。
「うわ!あのエストレアが王都にいるよ!しかも私に会いに!?」
「お兄様に会いに来たわけじゃないわ。」
「相変わらずだねエストレア。なぁキャリパー?俺は何か嫌われる事をしただろうか?」
「その茶目っ気なところではないでしょうか。そこは私も嫌いです。」
「はっはっは!我が妹は2人ともキッツイな!」
高らかに笑うその瞳には若干の煌めきが見える。
「はぁ……さてと。真面目に話しますか。」
「初めからそうしていただけると助かります。」
「妹と戯れたって良いじゃないか。兄弟みんな外に出るから、お城は暇でしょうがない。」
「お父様とお母様がいるでしょう?」
「キャリパーよ。母が居ないのは分かるだろう?そうなるといるのは国王だけだ。つまらんだろう?」
「それを私の口からは言えません。」
「あーずるい逃げ方。まぁいい。それでなんの話だっけ?」
話が戻るようで戻らない。この会話はどこまで続くのだろうか。
「ねぇエスト。あの人はお兄さんって事で、国王じゃないで良いのよね?」
「そうね。2番目の兄で、国王には近いところにいるけど。」
「2番目って事は次男か。」
次男っていきなり凄い人出てきたな。国王の椅子に座れる人……か。
♦︎
本当に話が進まない。漫才を数十分は見ていた。
「帰らない?」
「奇遇だね。僕もそうしようかと思ってた。」
「今何を話してるんだろう?」
「さぁ?ずっと雑談してたから聞くのやめた。」
「さすがに飽きたわね。止めてきましょうか?」
「出来るならもっと早くして欲しかったです。」
ハーネスさんがお兄さんとキャリパーさんに近づいて行く。
「勇者は行かないの?」
「俺はいかん。どうもイグナイターさんは苦手で。」
「そんな名前なんだ。」
「そう言えば名乗ってないな。顔が国王に似ているからと、よくこうして国王の業務をやっているようだ。」
「勇者は……」
「その勇者はやめてくれ。俺はココロと言う名前がある。」
「そうか。ならココロ。」
「なんだ。」
「……あれはどうなっている?」
「あれ?」
勇者が振り向きキャリパー達の方を見る。
「いい?遊びに来た訳じゃないの。」
「「はい。」」
「これからはちゃんと出来るわね?」
「「はい。」」
「いつも通りの光景だが?」
「そうなんだね。」
王族の次男と長女でしょ?ハーネスって一体どんな地位の人なんだ……。
「はい。じゃー聞きたい事あったら聞いて頂戴。」
「じゃ聞くわ。魔族が来ているのに騎士団を動かさないで、傍観していたのはなぜ?」
「黄金騎士団の件かい?あいつら弱いじゃん。戦場に出せば邪魔かと思ってね。」
「それは邪魔ね!」
「それに黒の勇者君が戦闘していたのは、見ていたから。邪魔者は少ない方がいいだろう?」
「そう。いい判断だわ。」
「ありがとう赤いお嬢様。」
遠慮がないと言うか、相手は王族の次男なはずだけど。レブルはいつもと変わらない口調で話している。
「他にはあるかな?」
「お兄様私も良いでしょうか?」
「いつも通りでいい。国王もいないしな〜」
「では……イグ兄は宿に来た騎士団について本当に何も命令してない?」
「知らないな。昨日は俺はここに居ない。おそらく国王本人だろう。」
「見てもいないの?」
「あぁ見てもいない。」
「そう……。」
魔族は命令を出して騎士団を出さなかった。宿の件は知らない。これが王子様の答えだが、なんか引っかかる。何がと言われれば分からないけど。
「ふむ……見えんな。」
「僕に何か?」
「これは失礼。この距離で私に見せないって凄いね。」
「イグナイター?貴方また勝手に見てるわね?」
「あ。」
『忍様。そろそろ反撃をしても?』
「いやいや、ダメだから。そろそろってどう言う事?」
アイさんのイライラが伝わってくる。
『あの者がずっと忍様の能力を見ようとしています。この前は戦闘を覗く視線を感じていましたが、あの者だったようですね。』
「僕の能力を見ようとしてるの?」
「ん?エストレアが教えたのかい?」
「私は話していません。王家の能力は他言してはいけませんから。」
「だよね?じゃ〜どうして?」
アイさんと会話で声に出していたようだ。隠す必要はないし、ここは普通に答えるか。
「アイさんに報告されたから、能力を見ようとされているって。」
「そのアイさんとは?」
「僕の守神と言うか、相棒と言う感じかな?」
『相棒……良いですね。』
「その人に謝って貰えるかな?もうしないから許して欲しい。」
『次やったら問答無用で攻撃して良い許可を頂けるのであれば。』
「うーん。」
これはどうしたものか……能力くらい別に見られて困るものじゃないけど。
「大丈夫です。アイさんは優しいので許してくれるみたいです。」
「そうか。良かったよ。」
「でも一つだけ注意というか忠告いいですか?」
「あぁ。聞こう。」
「次にやった場合は反撃すると言われましたので、気をつけて下さいね。」
「ははは。それは怖いな。」
『ふふふ。許可がおりました…………この者はきっと……楽しみです。』
笑っているが笑い事じゃないんだけど。なんて思ってるのは僕だけだろう。
そして無駄に逆光の所為で見えにくい。
『調整します。』
「(ありがとう)」
アイさんが光を調整してくれたおかげで、椅子に座った若い男の人が座っているのが確認出来た。光に反射する白銀の髪。鋭い目つきには相手に負けじと力強さを感じる。
あれが国王なんだ、本当に王冠被ってるよ。だけどなんか覇気がないと言うか……
『あの者は何を威嚇しているのですか?下っ端如きが私の忍様に……』
「……。」
アイさんの声が聞こえてくる。下っ端って国王ですよー?
とりあえず無言で過ごす。僕の許可なしに攻撃はしないだろう……たぶん。
「……突然の帰還と聞いて来てみれば。その黒き者が噂の?」
「……。」
―ツカツカ。
国王の座る椅子までの段差を、無言で登っていくキャリパーさん。
「ん?どうかし「ふん!」げは!?」
近くなりいきなり殴りつけるキャリパーさん。確かに1発入れるとは言ってたけどさ。
「ねぇエスト……あの人は国王なんでしょ?」
「一応ね。」
「一応って。」
酷い扱いだな。まぁ2人にとっては国王の前にお父さんって事なのかな?それにしてもだよなぁ……僕は父さんに殴りかかったことなんて一度もなかったし。
「親に殴るとかレブルはないよね?
「さすがにグーではないわね。平手ならあるけどね。」
「この世界の親子関係はスパルタなんだね……」
殴り飛ばされた国王は椅子から落ちる。
「はっはっは。キャリパーは治癒師だよな?また力が上がったんじゃないか。そう言うところが母親そっくりだ。」
「笑い事ではない。今日は言いたい事があってここに来たの。」
「ここは家なんだから、好きに帰って来ていいんだよ?」
「茶番はいいの。お父様はどこ?」
「「…………へ?」」
キャリパーさんの発言に、僕とレブルは変な声がでた。今なんと?
「ちょっとしたお茶目心じゃないか。全くキャリパーは容赦がない。」
「それで?お兄様がここに居るってことは、あの命令もお兄様が?」
「どの命令だ?」
「魔族の出現に黄金騎士団を出さなかったり、エストレアの誘拐紛いな街での騒動よ。」
「魔族の件は私が下した。後は知らぬ。エストレアは今田舎のお婆様の家に居るんだろう?」
「そこにおりますよ。」
「ん?ん〜?」
凄い形相でこちらを睨んでくる。
―パチン!
「は!お呼びでしょうか殿下。」
「レンズを持って参れ。バレたからもう真似をする必要はない。」
「こちらに。」
「いつも準備がいいな。感謝する。」
「は!失礼いたします。」
眼鏡なんてこの世界にあるんだね〜それをかけた……お兄様がこちらを見る。
「うわ!あのエストレアが王都にいるよ!しかも私に会いに!?」
「お兄様に会いに来たわけじゃないわ。」
「相変わらずだねエストレア。なぁキャリパー?俺は何か嫌われる事をしただろうか?」
「その茶目っ気なところではないでしょうか。そこは私も嫌いです。」
「はっはっは!我が妹は2人ともキッツイな!」
高らかに笑うその瞳には若干の煌めきが見える。
「はぁ……さてと。真面目に話しますか。」
「初めからそうしていただけると助かります。」
「妹と戯れたって良いじゃないか。兄弟みんな外に出るから、お城は暇でしょうがない。」
「お父様とお母様がいるでしょう?」
「キャリパーよ。母が居ないのは分かるだろう?そうなるといるのは国王だけだ。つまらんだろう?」
「それを私の口からは言えません。」
「あーずるい逃げ方。まぁいい。それでなんの話だっけ?」
話が戻るようで戻らない。この会話はどこまで続くのだろうか。
「ねぇエスト。あの人はお兄さんって事で、国王じゃないで良いのよね?」
「そうね。2番目の兄で、国王には近いところにいるけど。」
「2番目って事は次男か。」
次男っていきなり凄い人出てきたな。国王の椅子に座れる人……か。
♦︎
本当に話が進まない。漫才を数十分は見ていた。
「帰らない?」
「奇遇だね。僕もそうしようかと思ってた。」
「今何を話してるんだろう?」
「さぁ?ずっと雑談してたから聞くのやめた。」
「さすがに飽きたわね。止めてきましょうか?」
「出来るならもっと早くして欲しかったです。」
ハーネスさんがお兄さんとキャリパーさんに近づいて行く。
「勇者は行かないの?」
「俺はいかん。どうもイグナイターさんは苦手で。」
「そんな名前なんだ。」
「そう言えば名乗ってないな。顔が国王に似ているからと、よくこうして国王の業務をやっているようだ。」
「勇者は……」
「その勇者はやめてくれ。俺はココロと言う名前がある。」
「そうか。ならココロ。」
「なんだ。」
「……あれはどうなっている?」
「あれ?」
勇者が振り向きキャリパー達の方を見る。
「いい?遊びに来た訳じゃないの。」
「「はい。」」
「これからはちゃんと出来るわね?」
「「はい。」」
「いつも通りの光景だが?」
「そうなんだね。」
王族の次男と長女でしょ?ハーネスって一体どんな地位の人なんだ……。
「はい。じゃー聞きたい事あったら聞いて頂戴。」
「じゃ聞くわ。魔族が来ているのに騎士団を動かさないで、傍観していたのはなぜ?」
「黄金騎士団の件かい?あいつら弱いじゃん。戦場に出せば邪魔かと思ってね。」
「それは邪魔ね!」
「それに黒の勇者君が戦闘していたのは、見ていたから。邪魔者は少ない方がいいだろう?」
「そう。いい判断だわ。」
「ありがとう赤いお嬢様。」
遠慮がないと言うか、相手は王族の次男なはずだけど。レブルはいつもと変わらない口調で話している。
「他にはあるかな?」
「お兄様私も良いでしょうか?」
「いつも通りでいい。国王もいないしな〜」
「では……イグ兄は宿に来た騎士団について本当に何も命令してない?」
「知らないな。昨日は俺はここに居ない。おそらく国王本人だろう。」
「見てもいないの?」
「あぁ見てもいない。」
「そう……。」
魔族は命令を出して騎士団を出さなかった。宿の件は知らない。これが王子様の答えだが、なんか引っかかる。何がと言われれば分からないけど。
「ふむ……見えんな。」
「僕に何か?」
「これは失礼。この距離で私に見せないって凄いね。」
「イグナイター?貴方また勝手に見てるわね?」
「あ。」
『忍様。そろそろ反撃をしても?』
「いやいや、ダメだから。そろそろってどう言う事?」
アイさんのイライラが伝わってくる。
『あの者がずっと忍様の能力を見ようとしています。この前は戦闘を覗く視線を感じていましたが、あの者だったようですね。』
「僕の能力を見ようとしてるの?」
「ん?エストレアが教えたのかい?」
「私は話していません。王家の能力は他言してはいけませんから。」
「だよね?じゃ〜どうして?」
アイさんと会話で声に出していたようだ。隠す必要はないし、ここは普通に答えるか。
「アイさんに報告されたから、能力を見ようとされているって。」
「そのアイさんとは?」
「僕の守神と言うか、相棒と言う感じかな?」
『相棒……良いですね。』
「その人に謝って貰えるかな?もうしないから許して欲しい。」
『次やったら問答無用で攻撃して良い許可を頂けるのであれば。』
「うーん。」
これはどうしたものか……能力くらい別に見られて困るものじゃないけど。
「大丈夫です。アイさんは優しいので許してくれるみたいです。」
「そうか。良かったよ。」
「でも一つだけ注意というか忠告いいですか?」
「あぁ。聞こう。」
「次にやった場合は反撃すると言われましたので、気をつけて下さいね。」
「ははは。それは怖いな。」
『ふふふ。許可がおりました…………この者はきっと……楽しみです。』
笑っているが笑い事じゃないんだけど。なんて思ってるのは僕だけだろう。
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