無敵のフルフェイス
81話 何でも見抜く目
警備システムを突破した事で、ラストラが落ち込んでいる。
「僕の発明品じゃ誰も守れないのかな……」
「そんな事はない。」
「アマン……」
「あの3人に……主にシノブが突破できないものはこの世界にはない。それが出来るのは、おそらく神か悪魔だけだろう。」
「それでも僕は皆んなを守りたいよ。」
「そしたら今度は一緒に考えようぜ。」
「うん。2人で神に挑もう!」
手を取り合って見つめ合う2人。スケールがとんでもない事になっている。結局は神に挑むって。
それにここが実家の門の外だという事を、この2人は覚えているだろうか。
「こほん。」
「シノブさん!?」
「ど、どうしたシノブ!?」
「いや、もう2人だけなんだけど。自力で門を通る?」
―ブンブンブン。
2人が首を横に大きく振る。
「それじゃ2人で手を繋いで……るか。じゃ行くよ。トランステレポート。」
2人揃って屋敷の前に到着。
「これは反則っすね。」
「どうして?魔法は使っちゃダメとは言われなかったよ。」
「そうだけど、そうじゃないと言うか。」
反則と言うラストラの気持ちは、分からなくもない。でもルールに魔法の使用を禁じられず、魔法でシステムそのものを破壊しなかっただけ良しとして欲しい。
最終結果として、転移魔法でどうにでもなる。
皆んな揃ったところで屋敷に入る。さっき門で話したであろう執事が出迎えてくれた。
「驚きました。あの警護を抜ける人間がこの世にいるとは。それも可憐で可愛らしい女性と……魔族では?」
「人族です。」
ヘルメットを取ってそれを証明する。
「ふむ。かなりお若いですね。」
「今年で16になります。」
「16歳ですか?最近の若者は転移まで出来るのですか。」
「いやいや、それが出来るのはシノブさんだけだから。」
「ほほ、そうでありましたかお嬢……さまぁ!?」
ラストラの存在に気がつき慌てる執事。
「申し訳ございません!」
滑り込んで土下座をする執事さん。まさか気がつかなかったのか?あ、カメラとかないから見えなかったんだ。
「お嬢様と分かっていれば、この様な危険な目に合わせたりは!?」
「別に僕は構わないけど。危ない事は何一つなかったし。いいから頭あげてよ。」
「はは!お嬢様の寛大な心に、爺は感激であります!」
「大袈裟だな〜それでお父様とお母様はどこかな?」
「はい!すぐにお呼びいたします!」
そう言うと、執事はどこかへ走り去った。
「僕達はここで待ってればいいのかな?」
「立ったままもな。誰か居ないっすか〜」
「はいはい、ただいま……お嬢様ぁ!?」
今度はメイドさんがラストラを見て驚く。
「爺はどこ行ったのよ!?」
「爺ならお父様達を呼びに言ったっす。」
「あの爺、後でぶっ飛ばす……は!皆さまこちらへどうぞ!」
物騒な事言っていたメイドさんが、気を利かせて大きい部屋に案内してくれた。小声で言っていた事は誰も触れないでいた。
「お飲み物の準備をします。皆さまお待ち下さい。」
大慌てでひとりの男性が部屋の扉を開ける。
「ラストラが帰って来たって!?」
「お父様。お久しぶりです。」
「おぉ我が娘が……ようやくこの家に来てくれた。私は嬉しいよ。」
勢いよく扉を開けたのはラストラの弟かと思ったけど、実際は父親の様だ。顔はラストラによく似ていて、幼顔の金髪である。身長もどちらかと言うと小さい。そしてその見た目と行動が、さらに幼さを感じさせる。
そしてその後に爺と一緒に車椅子に座った女性が入ってくる。
「ラストラちゃん。」
「お母様!」
「あらあら。飛び込んできては危ないですよ。」
「へへ。ごめんなさい。」
皆んながいる事を気にせず母親に甘えるラストラ。さっきの父親とは違い、全て包み込む抱擁力に上品さが加わった感じ。妖艶な笑みに今にも光り出しそうな長い髪。ラストラの頭を撫でる動作ですら、気品がある。
「ラストラよ。父にも飛び込んできてもいいんだぞ。」
「また今度ね。お母様あのね!聞いて欲しい事があるの!」
冷たくあしらわれる父親が、床に指で何かを書き始める。いじける子供か……。
「そんなに慌てないの。時間はたくさんあるのですから。」
「うん。分かったっす。」
「言葉遣いも気をつけましょうね。殿方は、男の子の様な口調を好む人は少ないですよ。」
「はい。お母様!好きな人の前では気をつけてるよ。」
「そうですか。意識をしているのであれば……」
「ラストラに好きな奴だとぉ!?」
いじけていた父親が立ち上がった。
「あらあら。綺麗になったと思ったのは、その殿方のお陰かしら?」
「うちの娘に手を出す奴はどいつだ!?」
両親の目が僕達を順番に見ていく。
「お仲間の皆さまは、その方に会った事がありますかな?」
「あると言えばありますが。」
「そいつはどんな奴ですか!」
「…………そう言う事ですか。あなた、仕事がまだ残っているのでしょう?話はその後に聞きましょう。」
「そうだな!ではとっとと片付けてくる!」
そして扉を豪快に開けて、笑いながら走り去って行く。本当に自由な人だな……。
「さてと。邪魔な人はいなくなりました。改めまして、ラストラの母でリアアクス・シャフトと申します。それで……貴方のお名前を聞いても良いかしら?」
「私は商人をやっていますアマンと申します。ラストラさんにはいつもお世話になっています。」
「ふふふ。そんなに緊張しなくて大丈夫よ。ラストラちゃんが選んだ殿方ですもの。私と一緒で見る目はあるわ。」
ラストラは顔を真っ赤にする。
「初めまして、僕は忍と言います。一つだけ伺っても宜しいでしょうか?」
「皆んな堅いわね。まぁいいわ。何かしらシノブ様。」
「初見でどうしてアマンが、ラストラの言うそれだと思ったのかなって。」
「先程も言いましたが、見る目が普通の人とは違います。なんと言いましょうか……空気が色で見えると言うのが近いかもしれません。」
人を色で見る。それはつまり魔力や感情を読み取りやすいって事なのかな。
父親はここにはいないだろうって、断言している様に感じた。だからこそ、いきなりアマンに声を掛けたのを少し驚いた。
「ささ!おの人が帰ってくる前に色々教えて頂戴。主に2人のお話を。っと。その前に……皆さま、今日はお泊りされますよね?されますか。爺!夕食の準備と全員分の寝室の手配を!」
「は。畏まりました!」
「では話の続きを……。」
テキパキと指示するそれと、この空気の作り方は母親と言うか、当主のそれに見えました。
「僕の発明品じゃ誰も守れないのかな……」
「そんな事はない。」
「アマン……」
「あの3人に……主にシノブが突破できないものはこの世界にはない。それが出来るのは、おそらく神か悪魔だけだろう。」
「それでも僕は皆んなを守りたいよ。」
「そしたら今度は一緒に考えようぜ。」
「うん。2人で神に挑もう!」
手を取り合って見つめ合う2人。スケールがとんでもない事になっている。結局は神に挑むって。
それにここが実家の門の外だという事を、この2人は覚えているだろうか。
「こほん。」
「シノブさん!?」
「ど、どうしたシノブ!?」
「いや、もう2人だけなんだけど。自力で門を通る?」
―ブンブンブン。
2人が首を横に大きく振る。
「それじゃ2人で手を繋いで……るか。じゃ行くよ。トランステレポート。」
2人揃って屋敷の前に到着。
「これは反則っすね。」
「どうして?魔法は使っちゃダメとは言われなかったよ。」
「そうだけど、そうじゃないと言うか。」
反則と言うラストラの気持ちは、分からなくもない。でもルールに魔法の使用を禁じられず、魔法でシステムそのものを破壊しなかっただけ良しとして欲しい。
最終結果として、転移魔法でどうにでもなる。
皆んな揃ったところで屋敷に入る。さっき門で話したであろう執事が出迎えてくれた。
「驚きました。あの警護を抜ける人間がこの世にいるとは。それも可憐で可愛らしい女性と……魔族では?」
「人族です。」
ヘルメットを取ってそれを証明する。
「ふむ。かなりお若いですね。」
「今年で16になります。」
「16歳ですか?最近の若者は転移まで出来るのですか。」
「いやいや、それが出来るのはシノブさんだけだから。」
「ほほ、そうでありましたかお嬢……さまぁ!?」
ラストラの存在に気がつき慌てる執事。
「申し訳ございません!」
滑り込んで土下座をする執事さん。まさか気がつかなかったのか?あ、カメラとかないから見えなかったんだ。
「お嬢様と分かっていれば、この様な危険な目に合わせたりは!?」
「別に僕は構わないけど。危ない事は何一つなかったし。いいから頭あげてよ。」
「はは!お嬢様の寛大な心に、爺は感激であります!」
「大袈裟だな〜それでお父様とお母様はどこかな?」
「はい!すぐにお呼びいたします!」
そう言うと、執事はどこかへ走り去った。
「僕達はここで待ってればいいのかな?」
「立ったままもな。誰か居ないっすか〜」
「はいはい、ただいま……お嬢様ぁ!?」
今度はメイドさんがラストラを見て驚く。
「爺はどこ行ったのよ!?」
「爺ならお父様達を呼びに言ったっす。」
「あの爺、後でぶっ飛ばす……は!皆さまこちらへどうぞ!」
物騒な事言っていたメイドさんが、気を利かせて大きい部屋に案内してくれた。小声で言っていた事は誰も触れないでいた。
「お飲み物の準備をします。皆さまお待ち下さい。」
大慌てでひとりの男性が部屋の扉を開ける。
「ラストラが帰って来たって!?」
「お父様。お久しぶりです。」
「おぉ我が娘が……ようやくこの家に来てくれた。私は嬉しいよ。」
勢いよく扉を開けたのはラストラの弟かと思ったけど、実際は父親の様だ。顔はラストラによく似ていて、幼顔の金髪である。身長もどちらかと言うと小さい。そしてその見た目と行動が、さらに幼さを感じさせる。
そしてその後に爺と一緒に車椅子に座った女性が入ってくる。
「ラストラちゃん。」
「お母様!」
「あらあら。飛び込んできては危ないですよ。」
「へへ。ごめんなさい。」
皆んながいる事を気にせず母親に甘えるラストラ。さっきの父親とは違い、全て包み込む抱擁力に上品さが加わった感じ。妖艶な笑みに今にも光り出しそうな長い髪。ラストラの頭を撫でる動作ですら、気品がある。
「ラストラよ。父にも飛び込んできてもいいんだぞ。」
「また今度ね。お母様あのね!聞いて欲しい事があるの!」
冷たくあしらわれる父親が、床に指で何かを書き始める。いじける子供か……。
「そんなに慌てないの。時間はたくさんあるのですから。」
「うん。分かったっす。」
「言葉遣いも気をつけましょうね。殿方は、男の子の様な口調を好む人は少ないですよ。」
「はい。お母様!好きな人の前では気をつけてるよ。」
「そうですか。意識をしているのであれば……」
「ラストラに好きな奴だとぉ!?」
いじけていた父親が立ち上がった。
「あらあら。綺麗になったと思ったのは、その殿方のお陰かしら?」
「うちの娘に手を出す奴はどいつだ!?」
両親の目が僕達を順番に見ていく。
「お仲間の皆さまは、その方に会った事がありますかな?」
「あると言えばありますが。」
「そいつはどんな奴ですか!」
「…………そう言う事ですか。あなた、仕事がまだ残っているのでしょう?話はその後に聞きましょう。」
「そうだな!ではとっとと片付けてくる!」
そして扉を豪快に開けて、笑いながら走り去って行く。本当に自由な人だな……。
「さてと。邪魔な人はいなくなりました。改めまして、ラストラの母でリアアクス・シャフトと申します。それで……貴方のお名前を聞いても良いかしら?」
「私は商人をやっていますアマンと申します。ラストラさんにはいつもお世話になっています。」
「ふふふ。そんなに緊張しなくて大丈夫よ。ラストラちゃんが選んだ殿方ですもの。私と一緒で見る目はあるわ。」
ラストラは顔を真っ赤にする。
「初めまして、僕は忍と言います。一つだけ伺っても宜しいでしょうか?」
「皆んな堅いわね。まぁいいわ。何かしらシノブ様。」
「初見でどうしてアマンが、ラストラの言うそれだと思ったのかなって。」
「先程も言いましたが、見る目が普通の人とは違います。なんと言いましょうか……空気が色で見えると言うのが近いかもしれません。」
人を色で見る。それはつまり魔力や感情を読み取りやすいって事なのかな。
父親はここにはいないだろうって、断言している様に感じた。だからこそ、いきなりアマンに声を掛けたのを少し驚いた。
「ささ!おの人が帰ってくる前に色々教えて頂戴。主に2人のお話を。っと。その前に……皆さま、今日はお泊りされますよね?されますか。爺!夕食の準備と全員分の寝室の手配を!」
「は。畏まりました!」
「では話の続きを……。」
テキパキと指示するそれと、この空気の作り方は母親と言うか、当主のそれに見えました。
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