無敵のフルフェイス
76話 勘違い無双②
本物の黒騎士と合流した僕。ここに来るまで時間が掛かったのはレブルが説明してくれた。
仕事がしたくないから逃げていたらしい。それと昼間から酒を飲んでいることを怒られると思ったとか……子供か!
「しかし、相手は魔族だろ?俺達が押しているように見えるんだが。」
「これも黒騎士様……のご兄弟のおかげです。」
「「兄弟?」」
「違うのですか?そんな上から下まで黒一色にする人が、兄弟でもない限りこの世に何人もいないと思うのですが。」
酷い言われようだ。
「まぁ血は繋がってないが。同士って意味では兄弟か?」
「僕は何でもいいよ。それより向こうが来るよ。どうするの?」
「そうだな。あまり仕事したくないんだが。まずはこの陣形だな。陣形D!」
「「「は!!!」」」
兵士達が走り移動し始める。戦士が前面に出て、その後ろに魔導師と弓部隊がつく。いくつかのグループが出来る。
馬に乗った騎兵が両サイドに二手に分かれている。
「へー意外と統率されてるんだね。」
「見てるなら手伝ってくれてもいいんだぞ?あー……黒の兄弟。」
「僕はシノブって言いますよ。」
「俺はヴァイツァー。そんな訳で、シノブの部隊を頼りにしても良いか?命令はしない。シノブの好きに暴れてくれれば俺らの部隊が合わせる。」
「それなら……皆んなやる気みたいだね。」
レブルは剣を抜き、まだ行かないのかと言うような目で見てくる。セローもエストも武器を強く握り直すのが見える。
レブルやセローはいつも通りだけど、エストまで戦う気なのが少し驚いた。ヴァイツァーも好きにして良いって言われたし。
「ここはお言葉に甘えさせてもらって。皆んな行こうか。3人は僕がフォローするから、好きなように戦ってきな。」
「それは心強いわ。じゃ、先に行くわね!」
―ボォゥ……
「あ、ずるいです!私も負けませんよ。師匠見てて下さいね!」
―バァシャァ……
「出遅れたわね。」
「エストが戦う気なの珍しいよね?」
「そりゃ私だって。王国は自分の家な訳だし。こんな家のために戦う兵士の前ですもの。」
「そうか。なら自分の思うように戦ってきな。フォローはするからさ。」
「頼もしい限りね。それじゃ私も行ってくるわ。」
―タァーン……
「纏って動かないのか?あいつら全員女だろ?」
「相手が多いからね。固まって戦うと効率も悪いし、戦闘スタイル的に巻き込みかねないし。もちろんまだ危なっかしいから目は話せないけど。」
「なんかオトンみたいなこと言うな……」
誰がオトンだし!俺は皆んなが傷つかないように……
『忍様。3発来ます。』
「おっと、早速だね。エアーショット。」
「ん?」
―ヒュヒュヒュン!!バシャ、バシャ、バシャ。
「師匠ごめんなさい〜」
「気にしないで!守りは任せて!」
「はい!」
「今の何だ?水が破裂したような?」
「も魔力操作も、本当は僕より上手いんだけどね。あれだけ数がいて乱発していると、中には回避する奴も出てくるしね。」
実際今のは魔族に向けた水玉が、掠ってここまで飛んできた訳だ。
「俺には飛んでくるのも良く見えなかったんだが。シノブは何をしたんだ?」
「僕はセローの水玉をただ風で撃ち落としただけだよ。」
「俺が見えない魔法を、気づいてから撃ち落とすとか出来んのか?まぁ実際出来てるんだが……」
なんとも不思議なものを見るように首をかしげるヴァイツァー。
「それでもそれた段階で、水玉の加速は緩めているから出来るんだけどね。」
『忍様。今度はレブルです。数は1ですが……』
「やっぱり来ると思った。ちょっと失礼。」
―ヒュン……
僕は飛んでくる何かの前に立ちふさがる。水玉に似ているが、あれは流石に簡単には落としにくい。
「っふ。」
―スパ!ドカァーン!
「シノブさんごめんなさい!」
「気にしないで!守りは任せて!」
「ありがとう!」
「なぁシノブ。今の直後撃したらやばくないか?」
「やばいと思ったから斬り落としたんだよ。レブルのは少し威力があるから。」
「はは。だよな……」
顔色は見えないけど、声が引きつっているのは分かる。
「そうなるとあの嬢ちゃんも……」
「エストはそう言うことないと思うよ。魔法は強化しか使わないし。」
「全員魔法が使えるのかよ……」
「魔法は皆んな使えるもんじゃないの?」
「そんな訳ないだろう。練習したところで、魔力が増える事はない。」
え?そうなの?エストだって魔力が少なかったけど、今ではあーやって戦えている。使えば増えるのが魔力だと思ったけど。
「その辺どうなのアイさん?」
『才能が不要とは言いませんが、魔力は誰にでもあります。それをどう引き出すか、波長を合わせた使い方が必要なだけです。』
「なんかそれ難しそう……エアーショット。」
―ヒュン、バシャン!
アイさんの話だと全員魔法が使えていい事になる。でもヴァイツァーはそんな事ないって言っている。そうなるとこの世界で魔法を使うのに必要なのは……。
「師匠の問題か。」
『そうですね。相性や特性を間違えば魔法は使えません。それを見て教える師が問題なのかもしれません。』
「そう……エアーショット。」
―ヒュン、バシャン!
「少し数が多いかな。レブル!セローのフォローに。」
「分かったわ。」
「あの赤い子の魔物はどうするんだ?」
「僕が少し数を減らすから、そしたらヴァイツァーに任せてもいいかな?」
「それは構わないが、あそこの一帯で50はいるんじゃないか?」
「レブルがある程度減らしてくれたし。すぐだよ。」
―ヒュン……
一瞬で相手の軍前まで飛ぶ。
「貴様はさっきの黒いの!者共!コイツにこ……」
―ヒュゥン。
「喋る暇があるなら、行動しないと。」
―ヒュゥン、ヒュゥン、ドコン!ドコン!
「このや……」
「うらぁ……」
「へぶぅ!?」
「げは!?」
「…………この人達弱いな数が多いだけで。これなら、ヴァイツァーに任せなくても大丈夫かな。」
『忍様。エストに魔族が増えていきます。』
「ってそうはいかないか。」
―ビュゥゥゥ……
「っと。よいしょ!」
―ビュゥン!
風の魔法剣を伸ばして、思いっきりフルスイング。それなりの手応えはあったけど、何人かは避けたり範囲外だったりする。
「ヴァイツァー、あとは任せた!」
「お、おう。ってそう言われても……」
その場からエストの下まで移動する。道中の魔物は一応斬り伏せていく。
「おまたせエスト。」
「本当に良く見ているわね。少し辛いかなって思い始めた頃よ。」
「アイさんが見てくれてるからね。僕は飛んで攻撃するだけだよ。セローにはレブルに任せたし。」
「そう。そっちも少し気になったけど。レブルとセローなら安心かしら。」
背中合わせに魔族と対峙する。王都だからか、エストはいつもよりカッコよく見える。戦うお姫様って事がそう思わせるのだろうか。
「さぁ、一気に行こうか。」
「ええ!」
僕とエストはお互いを背に走り出す。
仕事がしたくないから逃げていたらしい。それと昼間から酒を飲んでいることを怒られると思ったとか……子供か!
「しかし、相手は魔族だろ?俺達が押しているように見えるんだが。」
「これも黒騎士様……のご兄弟のおかげです。」
「「兄弟?」」
「違うのですか?そんな上から下まで黒一色にする人が、兄弟でもない限りこの世に何人もいないと思うのですが。」
酷い言われようだ。
「まぁ血は繋がってないが。同士って意味では兄弟か?」
「僕は何でもいいよ。それより向こうが来るよ。どうするの?」
「そうだな。あまり仕事したくないんだが。まずはこの陣形だな。陣形D!」
「「「は!!!」」」
兵士達が走り移動し始める。戦士が前面に出て、その後ろに魔導師と弓部隊がつく。いくつかのグループが出来る。
馬に乗った騎兵が両サイドに二手に分かれている。
「へー意外と統率されてるんだね。」
「見てるなら手伝ってくれてもいいんだぞ?あー……黒の兄弟。」
「僕はシノブって言いますよ。」
「俺はヴァイツァー。そんな訳で、シノブの部隊を頼りにしても良いか?命令はしない。シノブの好きに暴れてくれれば俺らの部隊が合わせる。」
「それなら……皆んなやる気みたいだね。」
レブルは剣を抜き、まだ行かないのかと言うような目で見てくる。セローもエストも武器を強く握り直すのが見える。
レブルやセローはいつも通りだけど、エストまで戦う気なのが少し驚いた。ヴァイツァーも好きにして良いって言われたし。
「ここはお言葉に甘えさせてもらって。皆んな行こうか。3人は僕がフォローするから、好きなように戦ってきな。」
「それは心強いわ。じゃ、先に行くわね!」
―ボォゥ……
「あ、ずるいです!私も負けませんよ。師匠見てて下さいね!」
―バァシャァ……
「出遅れたわね。」
「エストが戦う気なの珍しいよね?」
「そりゃ私だって。王国は自分の家な訳だし。こんな家のために戦う兵士の前ですもの。」
「そうか。なら自分の思うように戦ってきな。フォローはするからさ。」
「頼もしい限りね。それじゃ私も行ってくるわ。」
―タァーン……
「纏って動かないのか?あいつら全員女だろ?」
「相手が多いからね。固まって戦うと効率も悪いし、戦闘スタイル的に巻き込みかねないし。もちろんまだ危なっかしいから目は話せないけど。」
「なんかオトンみたいなこと言うな……」
誰がオトンだし!俺は皆んなが傷つかないように……
『忍様。3発来ます。』
「おっと、早速だね。エアーショット。」
「ん?」
―ヒュヒュヒュン!!バシャ、バシャ、バシャ。
「師匠ごめんなさい〜」
「気にしないで!守りは任せて!」
「はい!」
「今の何だ?水が破裂したような?」
「も魔力操作も、本当は僕より上手いんだけどね。あれだけ数がいて乱発していると、中には回避する奴も出てくるしね。」
実際今のは魔族に向けた水玉が、掠ってここまで飛んできた訳だ。
「俺には飛んでくるのも良く見えなかったんだが。シノブは何をしたんだ?」
「僕はセローの水玉をただ風で撃ち落としただけだよ。」
「俺が見えない魔法を、気づいてから撃ち落とすとか出来んのか?まぁ実際出来てるんだが……」
なんとも不思議なものを見るように首をかしげるヴァイツァー。
「それでもそれた段階で、水玉の加速は緩めているから出来るんだけどね。」
『忍様。今度はレブルです。数は1ですが……』
「やっぱり来ると思った。ちょっと失礼。」
―ヒュン……
僕は飛んでくる何かの前に立ちふさがる。水玉に似ているが、あれは流石に簡単には落としにくい。
「っふ。」
―スパ!ドカァーン!
「シノブさんごめんなさい!」
「気にしないで!守りは任せて!」
「ありがとう!」
「なぁシノブ。今の直後撃したらやばくないか?」
「やばいと思ったから斬り落としたんだよ。レブルのは少し威力があるから。」
「はは。だよな……」
顔色は見えないけど、声が引きつっているのは分かる。
「そうなるとあの嬢ちゃんも……」
「エストはそう言うことないと思うよ。魔法は強化しか使わないし。」
「全員魔法が使えるのかよ……」
「魔法は皆んな使えるもんじゃないの?」
「そんな訳ないだろう。練習したところで、魔力が増える事はない。」
え?そうなの?エストだって魔力が少なかったけど、今ではあーやって戦えている。使えば増えるのが魔力だと思ったけど。
「その辺どうなのアイさん?」
『才能が不要とは言いませんが、魔力は誰にでもあります。それをどう引き出すか、波長を合わせた使い方が必要なだけです。』
「なんかそれ難しそう……エアーショット。」
―ヒュン、バシャン!
アイさんの話だと全員魔法が使えていい事になる。でもヴァイツァーはそんな事ないって言っている。そうなるとこの世界で魔法を使うのに必要なのは……。
「師匠の問題か。」
『そうですね。相性や特性を間違えば魔法は使えません。それを見て教える師が問題なのかもしれません。』
「そう……エアーショット。」
―ヒュン、バシャン!
「少し数が多いかな。レブル!セローのフォローに。」
「分かったわ。」
「あの赤い子の魔物はどうするんだ?」
「僕が少し数を減らすから、そしたらヴァイツァーに任せてもいいかな?」
「それは構わないが、あそこの一帯で50はいるんじゃないか?」
「レブルがある程度減らしてくれたし。すぐだよ。」
―ヒュン……
一瞬で相手の軍前まで飛ぶ。
「貴様はさっきの黒いの!者共!コイツにこ……」
―ヒュゥン。
「喋る暇があるなら、行動しないと。」
―ヒュゥン、ヒュゥン、ドコン!ドコン!
「このや……」
「うらぁ……」
「へぶぅ!?」
「げは!?」
「…………この人達弱いな数が多いだけで。これなら、ヴァイツァーに任せなくても大丈夫かな。」
『忍様。エストに魔族が増えていきます。』
「ってそうはいかないか。」
―ビュゥゥゥ……
「っと。よいしょ!」
―ビュゥン!
風の魔法剣を伸ばして、思いっきりフルスイング。それなりの手応えはあったけど、何人かは避けたり範囲外だったりする。
「ヴァイツァー、あとは任せた!」
「お、おう。ってそう言われても……」
その場からエストの下まで移動する。道中の魔物は一応斬り伏せていく。
「おまたせエスト。」
「本当に良く見ているわね。少し辛いかなって思い始めた頃よ。」
「アイさんが見てくれてるからね。僕は飛んで攻撃するだけだよ。セローにはレブルに任せたし。」
「そう。そっちも少し気になったけど。レブルとセローなら安心かしら。」
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