無敵のフルフェイス
21話 もう俺らでは止められない。
早々にリタイヤなセローを2人に任せて、レブルの練習をする事にした。
「周りは森だけど大丈夫かしら?」
「町から森まで少し空いているから大丈夫でしょ。まぁ燃えたら消せばいいよ。」
「シノブさんが言うなら大丈夫ね。」
「じゃ、準備しといて。僕も準備するから。」
レブルにそう告げ僕は森に入っていった。
「初めはこれでいいか。ちょっと来て貰うよ。」
熊の魔物を抱えて連れてきた。それをレブルの前に差し出す。
―ガウ?
「「んなっ…………。」」
「熊が相手ね。悪くないわ!」
驚く熊。呆れるアマンとゾン。それとは対照的なやる気満々なレブル。
―ボォウ。
剣を構え火の翼を生やしたレブル。驚く熊は動かない。
「じっとしてちゃ何も起きないじゃん。そら。」
―ゲシ。
熊のお尻を蹴り前に無理やり出す。覚悟を決めた熊が両手を振り上げる。
「隙だらけね。」
翼が広がりレブルが踏み込む。熊の前から消えた様に見えたレブル。目標を見失った熊。
「いつまでそっちを向いているの?」
―ガ…………。
振り向くと首が落ちた。
「イメージ通りね。」
「凄い凄い。どんどん行くよ!」
「俺らは捌くか。」
「そうだな。」
アマンとゾンが熊を解体する。その間にも魔物を投げつけた。それを瞬殺で倒すレブル。捌きながら見る2人は、その異様な光景も驚かない。
「もう俺らでは止められないな。」
「3人が暴走する様であれば、結界張ってもらってじっとしていよう。」
「そうだな。」
そこに騎士達が見回りをして帰ってくる。
「今日は森がいつも以上に魔物がいなかったなぁ。」
「そうだな。いつもこうだと楽なんだが。」
「ん?あんた達は確か……。」
魔物が空から降ってきた。
「もう次か。こりゃ捌ききれんな。」
「アマン。随分前から追いついてないぞ。」
「そうだったな。」
魔物を捌く2人は動じない。後ろには木にもたれかかる少女。
「早く逃げろ!俺達が時間を稼ぐ!」
「あー大丈夫だと思いますよ。」
「それよりそこにいる方が危ないっすよ。」
そんなやり取りに気を取られていると、魔物がこちらに向かってくる。
「くそ。こちらに気がついたか!」
魔物の前に割って入る騎士。一瞬暖かい風が吹くと、今までいなかった少女が1人。
「あら?さっきの騎士達じゃない。ここは魔物が降ってくるから危ないわよ。」
「降ってくる?」
「ほら。」
剣を指した先に黒い影。
「流石に少し雑になってきたわね。シノブさんも飽きたのかしら。」
再び暖かい風とともに、目の前に落ちてくる魔物。立ち上がる事は無く動かない。
「おーい、シノブ。危ないからストップだ。」
物陰から人が飛んでくる。その他には大きな蛇を抱えて。
「な!トゥリーンスネーク!?」
「え!連れてきちゃったよ。まぁいいか。こいつは僕が倒しちゃおう。」
―スパン!
目の前に首が落ちる。声の出ない騎士達。
「私が倒しても良かったのに。」
「そう?」
「まぁ沢山試し斬りはしたし、持って来たのはシノブさんだからいいんだけど。」
騎士の1人が僕に声をかける。
「その剣は?」
「ん?これは風の剣。風だから見えにくいですよね。」
「いえ、しっかり見えます。」
「そうなんですか?まぁちゃんと見れば分かるか。」
風の剣を解いて、コレクトで仕舞う。
「え?今剣が消えた様な……。」
「ええ。消しましたよ。もう戦わないですし。」
「でも剣先だけない様にも?」
「無いですよ。前に使って刃の部分は砕けちゃいました。」
「それじゃどうやって?」
何を驚いているんだろうか?持つとこしかない剣が気になるのかな?コレクトでまた出して見せる。
「普通の剣に見えますが。」
「そうですね。普通の剣ですよ。」
「でも魔法剣ですよね?」
「今回のは剣の形に風魔法で作っただけですよ。」
「今回?他にも出来るのですか?」
「火は森で禁止されてますが、水なら出来ますし。土もやった事ないけど多分もっと簡単にできますね。」
ぽんぽん答えていくと、周りが静かになる。
「あれ?僕何か変な事言った?そろそろ帰ろうか。2人とも終わった?」
「おいおい、この数あの時間で全部出来るわけない。」
「終わったのはこっちに纏めてあるから頼む。」
「はい。」
コレクトで仕舞う。まだ捌けてないのは後で出すから。今は邪魔だし仕舞うか。
「魔物の山が一瞬で?」
騎士達の間に沈黙が流れる。
「魔物の血でだいぶ汚れちゃったね。」
「切り口は多少焼けたけど、それでも多少は出ちゃうわよね。」
「君!血が付いているぞ!?大丈夫なのか!?」
「あーさっきの返り血ね。私もまだまだね。」
ゴシゴシ拭くレブル。
「こらこら、そんな雑に拭いたら服についたやつが落ちないでしょ。」
「ご、ごめんなさい。」
「しょうがないな。アイさん。」
『洗濯ですね。りょうかいです。マジックコントロール・ジャストワン、クリーンリカバリー。』
「これに少し工夫を……アイさんカバーストロングもよろしく。」
『畏まりました。カバーストロング・エリア。』
「レブル目瞑っておいて。」
「え?えぇ。」
「……バブル!」
水に包まれるレブル。
―パァン。
「なんだか、くすぐったかったわ。」
「怪我してなければ成功だ。」
「髪も服もびっしょりじゃなければ、なお良かったのだけど。」
「ふっふっふ。乾かすのは別の魔法だよ。ワームエアー。」
―ビュゥゥゥ……。
「何この風……暖かい。」
「風はコントロール得意だから。あとはイメージを付与すれば出来ると思って。」
「これは便利な魔法よね…………。」
髪を手櫛で整えながら乾かすレブル。これ、結構時間かかるなぁ。女の人は髪が長いからしょうがないか。
「ありがとうシノブさん。」
「いえいえ。こちらも気なる事がひとつ解決したので。」
「そう……。もしかしなくても、この魔法初めて使うのよね?」
「そうだけど。出来ると思ってたから。」
「私は実験台?もしこれが失敗していたら?」
「大丈夫。失敗しないと思ってたから。」
「その大丈夫はどこからくる自信!?」
レブルに少しだけ怒られた。人に実験するのはやめなさいって。一応自分の服で一度やったんだけど。
「じゃ、皆んな帰ろうか。」
「んーお腹空いたわ。早く帰りましょう。」
「俺も解体で腕がパンパンだ。」
「腹減ったぜ……。」
「2人は少し鍛えた方が良くない?なんならコーチするけど。」
「……シノブに鍛えられたら、俺らは商人じゃ無くなりそうだな。」
気にもたれかかってたセローを肩に担ぐ。
「おい。奥さんをそんな扱いするなよ。子供いるんだろう?」
「奥さん?子供がいる?」
目線を辿ると肩にいるセローを見ていると思う。
「セローは子供かもしれないけど。奥さんではないよ?」
「そ、そうです。私は師匠の弟子。奥様はあちらのレブルさんです。」
「ん?この娘が子供で弟子?奥様は貴女か。」
「いや、だから。私はパートナーであって、奥様じゃ……。」
皆んなの頭に?が浮かぶ。この噛み合ってない会話を修正……。
「なんでも良いですよ。では僕らは街に帰るので。」
「え?あー、そうか。俺達も帰るか。」
「そうだな。なんか可笑しなものを見えちゃうくらい、疲れているのかもしれない。早く帰って寝よう。」
何事も無く?僕らは街へと帰る。
「周りは森だけど大丈夫かしら?」
「町から森まで少し空いているから大丈夫でしょ。まぁ燃えたら消せばいいよ。」
「シノブさんが言うなら大丈夫ね。」
「じゃ、準備しといて。僕も準備するから。」
レブルにそう告げ僕は森に入っていった。
「初めはこれでいいか。ちょっと来て貰うよ。」
熊の魔物を抱えて連れてきた。それをレブルの前に差し出す。
―ガウ?
「「んなっ…………。」」
「熊が相手ね。悪くないわ!」
驚く熊。呆れるアマンとゾン。それとは対照的なやる気満々なレブル。
―ボォウ。
剣を構え火の翼を生やしたレブル。驚く熊は動かない。
「じっとしてちゃ何も起きないじゃん。そら。」
―ゲシ。
熊のお尻を蹴り前に無理やり出す。覚悟を決めた熊が両手を振り上げる。
「隙だらけね。」
翼が広がりレブルが踏み込む。熊の前から消えた様に見えたレブル。目標を見失った熊。
「いつまでそっちを向いているの?」
―ガ…………。
振り向くと首が落ちた。
「イメージ通りね。」
「凄い凄い。どんどん行くよ!」
「俺らは捌くか。」
「そうだな。」
アマンとゾンが熊を解体する。その間にも魔物を投げつけた。それを瞬殺で倒すレブル。捌きながら見る2人は、その異様な光景も驚かない。
「もう俺らでは止められないな。」
「3人が暴走する様であれば、結界張ってもらってじっとしていよう。」
「そうだな。」
そこに騎士達が見回りをして帰ってくる。
「今日は森がいつも以上に魔物がいなかったなぁ。」
「そうだな。いつもこうだと楽なんだが。」
「ん?あんた達は確か……。」
魔物が空から降ってきた。
「もう次か。こりゃ捌ききれんな。」
「アマン。随分前から追いついてないぞ。」
「そうだったな。」
魔物を捌く2人は動じない。後ろには木にもたれかかる少女。
「早く逃げろ!俺達が時間を稼ぐ!」
「あー大丈夫だと思いますよ。」
「それよりそこにいる方が危ないっすよ。」
そんなやり取りに気を取られていると、魔物がこちらに向かってくる。
「くそ。こちらに気がついたか!」
魔物の前に割って入る騎士。一瞬暖かい風が吹くと、今までいなかった少女が1人。
「あら?さっきの騎士達じゃない。ここは魔物が降ってくるから危ないわよ。」
「降ってくる?」
「ほら。」
剣を指した先に黒い影。
「流石に少し雑になってきたわね。シノブさんも飽きたのかしら。」
再び暖かい風とともに、目の前に落ちてくる魔物。立ち上がる事は無く動かない。
「おーい、シノブ。危ないからストップだ。」
物陰から人が飛んでくる。その他には大きな蛇を抱えて。
「な!トゥリーンスネーク!?」
「え!連れてきちゃったよ。まぁいいか。こいつは僕が倒しちゃおう。」
―スパン!
目の前に首が落ちる。声の出ない騎士達。
「私が倒しても良かったのに。」
「そう?」
「まぁ沢山試し斬りはしたし、持って来たのはシノブさんだからいいんだけど。」
騎士の1人が僕に声をかける。
「その剣は?」
「ん?これは風の剣。風だから見えにくいですよね。」
「いえ、しっかり見えます。」
「そうなんですか?まぁちゃんと見れば分かるか。」
風の剣を解いて、コレクトで仕舞う。
「え?今剣が消えた様な……。」
「ええ。消しましたよ。もう戦わないですし。」
「でも剣先だけない様にも?」
「無いですよ。前に使って刃の部分は砕けちゃいました。」
「それじゃどうやって?」
何を驚いているんだろうか?持つとこしかない剣が気になるのかな?コレクトでまた出して見せる。
「普通の剣に見えますが。」
「そうですね。普通の剣ですよ。」
「でも魔法剣ですよね?」
「今回のは剣の形に風魔法で作っただけですよ。」
「今回?他にも出来るのですか?」
「火は森で禁止されてますが、水なら出来ますし。土もやった事ないけど多分もっと簡単にできますね。」
ぽんぽん答えていくと、周りが静かになる。
「あれ?僕何か変な事言った?そろそろ帰ろうか。2人とも終わった?」
「おいおい、この数あの時間で全部出来るわけない。」
「終わったのはこっちに纏めてあるから頼む。」
「はい。」
コレクトで仕舞う。まだ捌けてないのは後で出すから。今は邪魔だし仕舞うか。
「魔物の山が一瞬で?」
騎士達の間に沈黙が流れる。
「魔物の血でだいぶ汚れちゃったね。」
「切り口は多少焼けたけど、それでも多少は出ちゃうわよね。」
「君!血が付いているぞ!?大丈夫なのか!?」
「あーさっきの返り血ね。私もまだまだね。」
ゴシゴシ拭くレブル。
「こらこら、そんな雑に拭いたら服についたやつが落ちないでしょ。」
「ご、ごめんなさい。」
「しょうがないな。アイさん。」
『洗濯ですね。りょうかいです。マジックコントロール・ジャストワン、クリーンリカバリー。』
「これに少し工夫を……アイさんカバーストロングもよろしく。」
『畏まりました。カバーストロング・エリア。』
「レブル目瞑っておいて。」
「え?えぇ。」
「……バブル!」
水に包まれるレブル。
―パァン。
「なんだか、くすぐったかったわ。」
「怪我してなければ成功だ。」
「髪も服もびっしょりじゃなければ、なお良かったのだけど。」
「ふっふっふ。乾かすのは別の魔法だよ。ワームエアー。」
―ビュゥゥゥ……。
「何この風……暖かい。」
「風はコントロール得意だから。あとはイメージを付与すれば出来ると思って。」
「これは便利な魔法よね…………。」
髪を手櫛で整えながら乾かすレブル。これ、結構時間かかるなぁ。女の人は髪が長いからしょうがないか。
「ありがとうシノブさん。」
「いえいえ。こちらも気なる事がひとつ解決したので。」
「そう……。もしかしなくても、この魔法初めて使うのよね?」
「そうだけど。出来ると思ってたから。」
「私は実験台?もしこれが失敗していたら?」
「大丈夫。失敗しないと思ってたから。」
「その大丈夫はどこからくる自信!?」
レブルに少しだけ怒られた。人に実験するのはやめなさいって。一応自分の服で一度やったんだけど。
「じゃ、皆んな帰ろうか。」
「んーお腹空いたわ。早く帰りましょう。」
「俺も解体で腕がパンパンだ。」
「腹減ったぜ……。」
「2人は少し鍛えた方が良くない?なんならコーチするけど。」
「……シノブに鍛えられたら、俺らは商人じゃ無くなりそうだな。」
気にもたれかかってたセローを肩に担ぐ。
「おい。奥さんをそんな扱いするなよ。子供いるんだろう?」
「奥さん?子供がいる?」
目線を辿ると肩にいるセローを見ていると思う。
「セローは子供かもしれないけど。奥さんではないよ?」
「そ、そうです。私は師匠の弟子。奥様はあちらのレブルさんです。」
「ん?この娘が子供で弟子?奥様は貴女か。」
「いや、だから。私はパートナーであって、奥様じゃ……。」
皆んなの頭に?が浮かぶ。この噛み合ってない会話を修正……。
「なんでも良いですよ。では僕らは街に帰るので。」
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