無敵のフルフェイス
15話 自分の目で見ないと③
古文書の存在を知ったからには、もはやそれにしか興味がない。
「古文書……どんな事が載っているのかな。」
やりたい事はあるけど、何をどう形や言葉に表せばいいか分からない。分からない事はアイさんに聞けない。分からない事が分からないってやつ。
「ここが頂上かな。何かいるかな?」
山の頂上に行くと真っ黒になった何かがいた。
「あれかな?真っ黒って事は雷当たって倒せた?」
『いえ、まだ息はあります。』
―ギャァァァ!
黒い何かの何かが剥がれる。その下から綺麗な肌と……。
「炎が見えるけど。これは?」
『火の鳥と呼ばれる種族で、全身に炎を纏い神の使いと呼ばれる魔物です。元はこのような所にいないのですが。』
「そんなの倒しちゃっていいの?」
『はい。あくまで一部の宗教が言っているだけです。実際は神の使いでも何でもないです。ただの火属性の鳥です。』
「そっか。でも美味しそうだから、なるべく綺麗に捕まえようか。」
―ザブ……ギュン。
「飛ばれると厄介だな。翼を狙ってっと。」
―チュン!
―ギャ!
「水玉は牽制だったんだけど。まぁいいか。」
―ザシュ!
水玉を牽制で使ってみたけど、思った以上にダメージがあった。レブルがやっていたみたいに水の剣で頭を斬り落とす。
「こんなもんかな。」
『お見事です。』
しばらく待っているとレブル達が追いかけてきた。
「あ、終わったよ。」
「やっぱり瞬殺だったわね。これが原因の魔物?」
「こ、これは!?」
状況を確認した少女はへたれこむ。
「不死鳥様!?」
「ただの赤い鳥だよ?」
「いえ、この赤い羽は不死鳥の特徴です。」
「不死鳥って死んでるじゃない。」
「いや、倒した人聞いた事ないので……。」
おや?もしかしてこの子は宗教の何かか?
「君は宗教か何かやっているの?」
「いえ。」
「それなら良かった。何か問題あえうかな?」
「ギルドの狩猟禁止種族だったような……。」
「「……。」」
『……。』
黙り込む僕ら。そしてアイさんからも無言の感情が感じ取れる。ここは……。
「コレクト!とりあえず、こうしよう。原因は居なくなった。町には雨が降り出したのが、その証拠って事にしませんか?」
「誰も確認していない魔物ですし、私達が言ったところで信じて貰えないかと。」
「置いていった羽と言う事で。」
数本の羽を取り出す。
「それだけでは少し弱いかと。結局原因が無くなっても、雨が降らない事には。」
「いや、今から降るよ。良いよねレブル?」
「緊急事態って事で仕方がないわよ。全ては美味しい食事の為。」
「アイさん。なるべく弱くて持続する雨出来るかな?」
『やりましょう。まずは雲を作りましょう。地上の水分を蒸発させ気体へ。』
水を気体か。理科の実験でやった奴だな。大規模だし湖とかあれば良いんだけど、無いから作っちゃおう。
「そう言えば君は土魔法使えるんだっけ?」
「え?はい。」
「ならここに大きな穴を掘れる?湖作るような気持ちで。」
「その規模は無理ですが穴を掘るくらいなら。」
「じゃ、ちょっとお願い。」
アイさんに教われば出来そうだけど、イメージは大切だし。実際見て見た方が理解しやすいと、土魔法が使える彼女に任せてみた。
「全てを支え、我らに恵みを与えし母なる大地よ。」
「えぇ……。」
「どうしたの?」
何この詠唱?レブルを見るけど、特に何も気にした様子はない。え?これが普通なの?
「我らを導き、救いたまえ……ランド・オブ・ホープ。」
―ズズズ……ズン!
「地面が凹んだ。まぁこれでも良いのか。」
「湖のイメージを強くしましたが、私に出来るのはこれくらいです。」
「そうかそうか。掘らなくても、大地を下げれば良いのか。そんな使い方もあるんだね。」
てっきり何かで地面を掘ると考えていた僕は、違う方法を見て感心する。呪文の詠唱はお断りしたいけど、今度土魔法も試してみよう。
「次は僕の仕事だね。少し大きめな鍋だと思えば、簡単だよね。少しづつ……。」
―ザバァァン!
小さな水玉を崩して、この凹みに水を貯めようとしたが。
「びしょびしょ〜。」
「シノブさん。ヨーヨーよ?ちょっと大きいからって、イメージを大きくしたでしょう?」
「はい。すいませんでした。」
僕の考えを読んでいたレブルは、注意してくれる。制御に関してはまだまだ精進しないと。
「ごめんね。すぐ火で乾かすから。」
「ストップシノブさん!今からやる事教えてくれない?」
自ら蒸気を空にまとめて、雨雲を作るとレブルに説明をする。
「火は私がやるわ。シノブさんは風で気体を上空にまとめて。」
「それは一人でやろうかと思ってたけど。」
「いいから。出来る事は手伝いたいのよ。」
レブルは手に火の玉を作る。それをそのまま小さな水溜りに放り投げる。
―ジュゥゥ、ジワジワ……。
白い煙が出た。
水に熱した鉄球入れた感じか。成る程ね〜水を燃やして干上がらせれば良いと思ってたけど、おっと風で運ぶんだっけか。
「貴女、確か水も使えるのよね?適量の水をここに追加出来るかしら?」
「それくらいなら。」
またも詠唱。減っていた水が少しずつ増える。気体になった物が少し引っ張られる。
「それは上で使うから、貸せないよ。それ。」
―ビュン!
煙を一気に上に運び纏める。
「これさ。上で水まとめた方が早くない?」
「私もそれ思ったわ。」
『それも可能ですが、町一つ水に沈める可能性がありますが?』
「町一つ沈めるって……。」
「このままやりましょう!」
「町を沈めるって?えぇ?」
作業に戻るレブルと、慌てる女の子。町を沈めるってって聞いたら、確かにびっくりするよね。僕も驚いたし。
大きな雲が山全体を覆った。
「雲は出来たっぽいけど。これで雨が降るの?」
『後は町の近くまで持っていけば平気かと。』
「アイさんが言うなら良いか。風でちょちょいっと。」
「えぇぇ……。」
さっきから驚きの連続の女の子。
「これで雨が降るのを待って、町に戻ろうか。」
「そうね。」
空を見つめる僕とレブル。
「あの?あれで雨が降るんですか?」
「アイさんがあれで良いと言ったから大丈夫だよ。」
「アイさん?」
「シノブさんの師匠みたいなもんよ。まぁ見てなさい。」
―ポツリ。
―ポツリ……サァ…………。
「嘘……本当に雨が。」
「凄いわね。」
「本当に凄いです!」
「……シノブさんが町を沈めない魔法が使えた事に。」
「レブルさんや?そうならないようにやったんだよ?」
「ごめんなさい。これもアイさんの助言のおかげね。」
「まぁそうだけど。」
ただ雨に打たれても風邪を引くだけなので、木の下で雨宿りをする。女の子は雨に打たれてはしゃいでいる。
「雨だ!これで皆んな助かる!やったー!」
「元気ね。あんなに喜んじゃって。」
「風邪引かなきゃ良いけど。」
「あの!師匠!」
「…………。」
女の子がこっちを向いて誰かを呼ぶ。気配がないけど、誰か来たのかと周りを見渡す。
「多分だけど。シノブさんの事じゃない?」
「師匠?」
「そう。」
「そんなまさか〜。」
「師匠!私に魔法を教えて下さい!」
僕の前に来て頭を下げる女の子。どうやらレブルが言った通りらしい。でもなんで?
「僕が師匠?」
「はい!あれだけの魔法を操り、行使出来る人はいないです!」
「でしょうね。それこそ世界に存在するのか怪しいわ。」
「えーそんな事ないでしょう。そんな世界狭いはずはないよ。」
「まぁこれから色んなものを見に行くし。もしかしたら、もしかしたら要るかもしれないわね。」
「面白そうです!」
♦︎
雨宿りしてどれくらいが経っただろう。
「全然止まないね。」
「止まないわね。」
「止みません……くしゅん!」
雨に打たれているから……しょうがない少し暖かくしようか。
「アイさん。焚き火みたいな魔法使えないかな?」
「!?」
『忍様が焚き火をそれは、』
「ちょっと待った!アイさんも!」
レブルが僕とアイさんの会話を止める。アイさんが何か言おうとしたが止まった。
「攻撃以外の火は私がやるわ。」
「そんなに食い気味に言わなくても。」
「師匠の火の魔法見てみたいです!」
「はいそこ。煽らない。」
レブルが上を見上げて周りを見渡す。
「とりあえず近くに雨の当たらないところ探さないと。」
「山頂近くに洞穴とかはないです。」
「屋根が必要なのって、雨のせいだよね?」
「まぁここで火を焚いても消えちゃうから。」
雨が降らなきゃ問題ないのか。それなら……。
「シノブさん。一応聞くけど手を空に傾げて何をしているの?」
「雨止めようかと。」
「……どうやって?」
「空の雲を散らそうかと。」
「せっかく降った雨で喜んでいる街の人が、また不安になるわよ?」
「僕がやったって言えば大丈夫じゃない?」
「まぁ雨を振らせたのもシノブさんなんだけど。それをすると話がややこしくなるわ。」
そうしてそっと手を下げられた。
「そうなると屋根を作るしかないか。」
「それの方が安全そうね。」
よし。レブルの許可が出たから、こっちの方向で進めるとしよう。
 「さっき洞穴って言ってたよね。それの方が安定もするし、簡単そうだね。」
「でも洞穴はこの辺ないですよ。斜面も崖も無いですから。」
「無いなら作ればいいんだよ。土ならいっぱいある訳だし。」
僕は足の下の地面を指す。2人が首を傾げる。
「アイさん。」
『地面を上げ山を作り、穴を開けるでしょうか?』
「言わなくても分かるんだ。凄いね!」
『いえ、今までの忍様の思考から予測をしました。』
「予測!?凄いな〜さすが僕のガイドさんだ。」
『光栄です。それでは忍様はイメージを描いて下さい。それを形作るお手伝いをします。アース・オペレーション。』
イメージ、イメージ……地面を少し上げて山を作る。
―ゴゴゴ……。
「な、何!?」
「地震です〜!?」
「それ。」
―ゴォォン!
3人はいるしこれくらいで丁度いいよね。
「後は入れるスペースを、これくらいかな。ここから下を地面に戻す。よいしょっと。風が入り込んじゃうから奥行も少し必要だよね。」
「私はこの目で見ている事何ですが。信じられない光景を目にしています。」
「大丈夫よ。そのうち慣れるわ。何より雲を散らすよりは無害よ。」
「まぁそうなんですが……。」
「出来たよ〜これでどうかな?」
「「…………。」」
黙って中を確認する2人。
「天然のテントって感じです。」
「よくこんなのすぐ出来るわね。」
「昔から工作は得意だったんだ。粘土とかでよく焼物を作ったものだよ。」
「そんなお皿やお茶碗みたいなノリで言われても……。」
屋根はあるし、風が吹いても倒れることは無い。強度は何も実験してないけど、アイさんが問題ないって言っていたからこれは大丈夫。
「さぁレブル火は頼んだよ。薪は乾いた木を持っているから。」
「それトレント……。」
「沢山あってもしょうがないし。またどこかで取れるよ。」
「トレントで焚き火……。」
早速レブルは火をつけて、それに手を添える2人。うんうん。快適、快適。
「古文書……どんな事が載っているのかな。」
やりたい事はあるけど、何をどう形や言葉に表せばいいか分からない。分からない事はアイさんに聞けない。分からない事が分からないってやつ。
「ここが頂上かな。何かいるかな?」
山の頂上に行くと真っ黒になった何かがいた。
「あれかな?真っ黒って事は雷当たって倒せた?」
『いえ、まだ息はあります。』
―ギャァァァ!
黒い何かの何かが剥がれる。その下から綺麗な肌と……。
「炎が見えるけど。これは?」
『火の鳥と呼ばれる種族で、全身に炎を纏い神の使いと呼ばれる魔物です。元はこのような所にいないのですが。』
「そんなの倒しちゃっていいの?」
『はい。あくまで一部の宗教が言っているだけです。実際は神の使いでも何でもないです。ただの火属性の鳥です。』
「そっか。でも美味しそうだから、なるべく綺麗に捕まえようか。」
―ザブ……ギュン。
「飛ばれると厄介だな。翼を狙ってっと。」
―チュン!
―ギャ!
「水玉は牽制だったんだけど。まぁいいか。」
―ザシュ!
水玉を牽制で使ってみたけど、思った以上にダメージがあった。レブルがやっていたみたいに水の剣で頭を斬り落とす。
「こんなもんかな。」
『お見事です。』
しばらく待っているとレブル達が追いかけてきた。
「あ、終わったよ。」
「やっぱり瞬殺だったわね。これが原因の魔物?」
「こ、これは!?」
状況を確認した少女はへたれこむ。
「不死鳥様!?」
「ただの赤い鳥だよ?」
「いえ、この赤い羽は不死鳥の特徴です。」
「不死鳥って死んでるじゃない。」
「いや、倒した人聞いた事ないので……。」
おや?もしかしてこの子は宗教の何かか?
「君は宗教か何かやっているの?」
「いえ。」
「それなら良かった。何か問題あえうかな?」
「ギルドの狩猟禁止種族だったような……。」
「「……。」」
『……。』
黙り込む僕ら。そしてアイさんからも無言の感情が感じ取れる。ここは……。
「コレクト!とりあえず、こうしよう。原因は居なくなった。町には雨が降り出したのが、その証拠って事にしませんか?」
「誰も確認していない魔物ですし、私達が言ったところで信じて貰えないかと。」
「置いていった羽と言う事で。」
数本の羽を取り出す。
「それだけでは少し弱いかと。結局原因が無くなっても、雨が降らない事には。」
「いや、今から降るよ。良いよねレブル?」
「緊急事態って事で仕方がないわよ。全ては美味しい食事の為。」
「アイさん。なるべく弱くて持続する雨出来るかな?」
『やりましょう。まずは雲を作りましょう。地上の水分を蒸発させ気体へ。』
水を気体か。理科の実験でやった奴だな。大規模だし湖とかあれば良いんだけど、無いから作っちゃおう。
「そう言えば君は土魔法使えるんだっけ?」
「え?はい。」
「ならここに大きな穴を掘れる?湖作るような気持ちで。」
「その規模は無理ですが穴を掘るくらいなら。」
「じゃ、ちょっとお願い。」
アイさんに教われば出来そうだけど、イメージは大切だし。実際見て見た方が理解しやすいと、土魔法が使える彼女に任せてみた。
「全てを支え、我らに恵みを与えし母なる大地よ。」
「えぇ……。」
「どうしたの?」
何この詠唱?レブルを見るけど、特に何も気にした様子はない。え?これが普通なの?
「我らを導き、救いたまえ……ランド・オブ・ホープ。」
―ズズズ……ズン!
「地面が凹んだ。まぁこれでも良いのか。」
「湖のイメージを強くしましたが、私に出来るのはこれくらいです。」
「そうかそうか。掘らなくても、大地を下げれば良いのか。そんな使い方もあるんだね。」
てっきり何かで地面を掘ると考えていた僕は、違う方法を見て感心する。呪文の詠唱はお断りしたいけど、今度土魔法も試してみよう。
「次は僕の仕事だね。少し大きめな鍋だと思えば、簡単だよね。少しづつ……。」
―ザバァァン!
小さな水玉を崩して、この凹みに水を貯めようとしたが。
「びしょびしょ〜。」
「シノブさん。ヨーヨーよ?ちょっと大きいからって、イメージを大きくしたでしょう?」
「はい。すいませんでした。」
僕の考えを読んでいたレブルは、注意してくれる。制御に関してはまだまだ精進しないと。
「ごめんね。すぐ火で乾かすから。」
「ストップシノブさん!今からやる事教えてくれない?」
自ら蒸気を空にまとめて、雨雲を作るとレブルに説明をする。
「火は私がやるわ。シノブさんは風で気体を上空にまとめて。」
「それは一人でやろうかと思ってたけど。」
「いいから。出来る事は手伝いたいのよ。」
レブルは手に火の玉を作る。それをそのまま小さな水溜りに放り投げる。
―ジュゥゥ、ジワジワ……。
白い煙が出た。
水に熱した鉄球入れた感じか。成る程ね〜水を燃やして干上がらせれば良いと思ってたけど、おっと風で運ぶんだっけか。
「貴女、確か水も使えるのよね?適量の水をここに追加出来るかしら?」
「それくらいなら。」
またも詠唱。減っていた水が少しずつ増える。気体になった物が少し引っ張られる。
「それは上で使うから、貸せないよ。それ。」
―ビュン!
煙を一気に上に運び纏める。
「これさ。上で水まとめた方が早くない?」
「私もそれ思ったわ。」
『それも可能ですが、町一つ水に沈める可能性がありますが?』
「町一つ沈めるって……。」
「このままやりましょう!」
「町を沈めるって?えぇ?」
作業に戻るレブルと、慌てる女の子。町を沈めるってって聞いたら、確かにびっくりするよね。僕も驚いたし。
大きな雲が山全体を覆った。
「雲は出来たっぽいけど。これで雨が降るの?」
『後は町の近くまで持っていけば平気かと。』
「アイさんが言うなら良いか。風でちょちょいっと。」
「えぇぇ……。」
さっきから驚きの連続の女の子。
「これで雨が降るのを待って、町に戻ろうか。」
「そうね。」
空を見つめる僕とレブル。
「あの?あれで雨が降るんですか?」
「アイさんがあれで良いと言ったから大丈夫だよ。」
「アイさん?」
「シノブさんの師匠みたいなもんよ。まぁ見てなさい。」
―ポツリ。
―ポツリ……サァ…………。
「嘘……本当に雨が。」
「凄いわね。」
「本当に凄いです!」
「……シノブさんが町を沈めない魔法が使えた事に。」
「レブルさんや?そうならないようにやったんだよ?」
「ごめんなさい。これもアイさんの助言のおかげね。」
「まぁそうだけど。」
ただ雨に打たれても風邪を引くだけなので、木の下で雨宿りをする。女の子は雨に打たれてはしゃいでいる。
「雨だ!これで皆んな助かる!やったー!」
「元気ね。あんなに喜んじゃって。」
「風邪引かなきゃ良いけど。」
「あの!師匠!」
「…………。」
女の子がこっちを向いて誰かを呼ぶ。気配がないけど、誰か来たのかと周りを見渡す。
「多分だけど。シノブさんの事じゃない?」
「師匠?」
「そう。」
「そんなまさか〜。」
「師匠!私に魔法を教えて下さい!」
僕の前に来て頭を下げる女の子。どうやらレブルが言った通りらしい。でもなんで?
「僕が師匠?」
「はい!あれだけの魔法を操り、行使出来る人はいないです!」
「でしょうね。それこそ世界に存在するのか怪しいわ。」
「えーそんな事ないでしょう。そんな世界狭いはずはないよ。」
「まぁこれから色んなものを見に行くし。もしかしたら、もしかしたら要るかもしれないわね。」
「面白そうです!」
♦︎
雨宿りしてどれくらいが経っただろう。
「全然止まないね。」
「止まないわね。」
「止みません……くしゅん!」
雨に打たれているから……しょうがない少し暖かくしようか。
「アイさん。焚き火みたいな魔法使えないかな?」
「!?」
『忍様が焚き火をそれは、』
「ちょっと待った!アイさんも!」
レブルが僕とアイさんの会話を止める。アイさんが何か言おうとしたが止まった。
「攻撃以外の火は私がやるわ。」
「そんなに食い気味に言わなくても。」
「師匠の火の魔法見てみたいです!」
「はいそこ。煽らない。」
レブルが上を見上げて周りを見渡す。
「とりあえず近くに雨の当たらないところ探さないと。」
「山頂近くに洞穴とかはないです。」
「屋根が必要なのって、雨のせいだよね?」
「まぁここで火を焚いても消えちゃうから。」
雨が降らなきゃ問題ないのか。それなら……。
「シノブさん。一応聞くけど手を空に傾げて何をしているの?」
「雨止めようかと。」
「……どうやって?」
「空の雲を散らそうかと。」
「せっかく降った雨で喜んでいる街の人が、また不安になるわよ?」
「僕がやったって言えば大丈夫じゃない?」
「まぁ雨を振らせたのもシノブさんなんだけど。それをすると話がややこしくなるわ。」
そうしてそっと手を下げられた。
「そうなると屋根を作るしかないか。」
「それの方が安全そうね。」
よし。レブルの許可が出たから、こっちの方向で進めるとしよう。
 「さっき洞穴って言ってたよね。それの方が安定もするし、簡単そうだね。」
「でも洞穴はこの辺ないですよ。斜面も崖も無いですから。」
「無いなら作ればいいんだよ。土ならいっぱいある訳だし。」
僕は足の下の地面を指す。2人が首を傾げる。
「アイさん。」
『地面を上げ山を作り、穴を開けるでしょうか?』
「言わなくても分かるんだ。凄いね!」
『いえ、今までの忍様の思考から予測をしました。』
「予測!?凄いな〜さすが僕のガイドさんだ。」
『光栄です。それでは忍様はイメージを描いて下さい。それを形作るお手伝いをします。アース・オペレーション。』
イメージ、イメージ……地面を少し上げて山を作る。
―ゴゴゴ……。
「な、何!?」
「地震です〜!?」
「それ。」
―ゴォォン!
3人はいるしこれくらいで丁度いいよね。
「後は入れるスペースを、これくらいかな。ここから下を地面に戻す。よいしょっと。風が入り込んじゃうから奥行も少し必要だよね。」
「私はこの目で見ている事何ですが。信じられない光景を目にしています。」
「大丈夫よ。そのうち慣れるわ。何より雲を散らすよりは無害よ。」
「まぁそうなんですが……。」
「出来たよ〜これでどうかな?」
「「…………。」」
黙って中を確認する2人。
「天然のテントって感じです。」
「よくこんなのすぐ出来るわね。」
「昔から工作は得意だったんだ。粘土とかでよく焼物を作ったものだよ。」
「そんなお皿やお茶碗みたいなノリで言われても……。」
屋根はあるし、風が吹いても倒れることは無い。強度は何も実験してないけど、アイさんが問題ないって言っていたからこれは大丈夫。
「さぁレブル火は頼んだよ。薪は乾いた木を持っているから。」
「それトレント……。」
「沢山あってもしょうがないし。またどこかで取れるよ。」
「トレントで焚き火……。」
早速レブルは火をつけて、それに手を添える2人。うんうん。快適、快適。
「無敵のフルフェイス」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
3,653
-
9,436
-
-
14
-
8
-
-
2,629
-
7,284
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
164
-
253
-
-
42
-
14
-
-
614
-
1,144
-
-
88
-
150
-
-
2,430
-
9,370
-
-
1,301
-
8,782
-
-
5,039
-
1万
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
2,799
-
1万
-
-
614
-
221
-
-
9,173
-
2.3万
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント