非青春男子と超青春JK

もり フォレスト

第十一話 『服って難しい(1)』

 「いただきま〜す。」
夕食の時間。この日もいつものように、三人で仲良く一緒に食べていた。何もなかったかのように振る舞う紗都美と真美。しかし、やはり午前中の悠介について気になるのだろう。
「またその時が来たら話すから、それまでは待っててほしい。」
紗都美達が何も言っていないにも関わらず、悠介が言った。紗都美達は驚いていたが、悠介に任せることにした。
「そういえばあんた、明日遊びに行くんでしょ?」
真美が口を開いた。
「いや、まだ悩んでる。」
「どうして?」
「漫画の新巻読みたいし、ジャンクも読めてないから。」
「あんたまだそんなこと言ってるの!?漫画と友達どっちが大切なの!」
「漫画。」
即答だった。それと同時に、真美が悠介の耳を引っ張る。
「ちょちょちょ、真美姉痛い痛い!!」
「そのヲタク思考やめなさいって言ってるでしょ!いつか本当に友達いなくなるわよ!折角誘ってくれてるんだから、行ってきなさい!」
相変わらずの怒鳴り口調だ。
「そうよ、ゆーくん。やっぱり友達は大切にしないと。」
紗都美も怒っているのかもしれないが、どこか母性のようなものを感じる。
「……分かったよ。」
悠介が素直に返事をした。
「ちょっと、どうして紗都美の言うことは素直に聞くのよ!」
「いや、紗都美姉には母性らしきものを感じるんだけど、真美姉はなんせ怖いから。仕方ないよ。」
「ちょっとそれどういう意味?」
「イタタタタ、冗談だって冗談!」
また悠介の耳を引っ張る。だが、真美も安心したようだ。

 「ピーンポーン」
千咲斗と拓人が迎えに来た。
「は〜い。」
「悠介君いますか〜?」
「あっ、ちょっと待ってね〜。ゆーくん、千咲斗ちゃん達来たわよ〜。」
紗都美が呼んだ。遠くから返事をする声が、かすかにインターフォンに入った。
「はい、お待たせ〜。」
少ししてから、悠介が出てきた。しかし、それと同時に二人は言葉を失った。悠介が無地のシャツにジーパンを履いて出てきたのだから。
「お前、ダサくね?」
「しゃーねえだろ。こんな服しかないんだから。」
確かに、基本家で漫画を読んでいるヲタクの家に、オシャンティーの服があるはずもない。
「……に行く。」
千咲斗が呟く。
「何か言ったか?」
「服屋に行く!!!」
ものすごい気合いだった。
「別にこれでも良いんじゃないのか?」
「ダメ!高校生はみんなオシャレしだす時期なの!悠介君もオシャレしないと、みんなに変だと思われるよ!」
「まぁ、こいつは元から変だけどな。」
「おい、失礼だぞ拓人。」
だが、千咲斗の言いたいことも分からなくもない。人にもよるが、高校生にして無地のシャツは変である。
「予定変更!今日はヨニクロに行きます!」
そう言うと、千咲斗は悠介の手を引っ張っていった。
「分かった分かった!自分で歩くから、ちょっ、タンマ!」
悠介はそのまま連れて行かれてしまった。
拓人もその後に続いた。

 「いらっしゃいませ〜。」
そして、ヨニクロに着いた。白と黒の二色で統一され、クラシックが流れる、落ち着いた空間だった。
「よし、まずは服選びだね。ジーパンのチョイスは良いんだけど、無地のシャツは流石にアウトだから。」
「こいつに似合いそうな服を探せばいいんだな。」
「お前、変な服選ぶなよ?」
「あっ、バレてた?」
「やっぱり選ぶつもりだったのかよ!」
「ほらほら、ちゃちゃっと選んじゃおうよ。」
千咲斗がそう言うと、三人は服を別々の場所に見に行った。
 「悠介君ってどんな服が好きかな……」
ふと、千咲斗が歩いていると、ドクロの服が目に入ってきた。
「う〜ん、絶対『こういうどぎついのは嫌だ』とか言うよね。あっ、こっちなら!」
千咲斗が手に取ったのは、黒のジャケットだった。
「これに後は……この白いシャツを中に着て羽織ってもらったら、絶対似合う!」
そう言うと、千咲斗は次にズボンのコーナーに向かった。
 一方その頃、拓人は相変わらず変な服を選んでいた。
「安心しろよ、悠介。ちゃんと一枚はいい服持っていくから、ちょっとふざけさせてくれ。」
拓人が呟く。
「この『青春野郎』の服も良いなぁ。でも、『ヲタクですが』の服も良いんだよなぁ。」
悠介よ、拓人の服はあまり期待しない方が身のためだ。
「よし、そろそろ真剣に選ぶか。」
やっと拓人も服を選ぶ気になったようだ。
「あいつ、遊びに行ったとき、いっつもアニメTシャツ着てたからなぁ。どれが良いもんか。」
悩む拓人。そして、英語のロゴが入った服を見つけた。
「おっ、そういえばあいつ、英語好きだったよな?こういう『New York 』とか、『America 』みたいなロゴが入った服なら抵抗なく切るかもしれない。よし、これにしよう!」
こうして、拓人もズボンのコーナーへと向かった。
 「うわ〜〜〜〜ん!!!」
もう一方で、悠介は泣いている子供の相手をしていた。
(どうしたら……)
必死になだめるも全く効果がない様子。悠介よ、どうする!?

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