非青春男子と超青春JK

もり フォレスト

第七話 『友達を作ろう(2)』

 悠介の教室を覗いた拓人。彼は驚きを隠せなかった。あのヲタクで孤立している悠介の周りに、人が大勢集まっているのだから。それに加えて、行列に驚きすぎて気付かなかったが、列には後輩である一年生も並んでいた。しかし、部活に入っていない悠介に後輩の友達などいるわけがない。ただでさえ、友達がいないのに。気になった拓人は放課後、悠介を待ち伏せすることにした。

 六限目が終わり、拓人は悠介が出てくるのを待っていた。
「ねぇねぇ、今日一緒にどこか遊びに行こうよ。」
「いや、今日は週刊少年ジャンクの発売日だから。」
「えぇ〜。そんなの帰りに買えば良いじゃん。」
男女の話し声が聞こえてくる。
(カップルがイチャついてるのか?)
拓人はそんなことを考えながら、悠介を待っていた。
「ガラガラガラ」
ドアが開き、悠介が出てきた。
「おぉ、悠介。一緒に帰ろ……」
拓人は言葉を失った。
 『悠介の隣に女子がいる』
そんなこと、幼馴染みの拓人からすれば、ありえないことだった。
「あっ、どうも〜。君が悠介君の言ってた拓人君だよね?私は凪畑 千咲斗。よろしくね〜。」
千咲斗は気さくに挨拶をする。だが、拓人はそんなことは気にも留めずに、悠介を離れたところへ引っ張っていった。
「痛えな!何するんだよ!」
「お前なんで彼女できたって言わないんだよ!」
「は?」
そう、拓人は勘違いしていた。千咲斗は彼女でも何でもない。
「何言ってるんだよ。凪畑はただの友達だよ。」
「え?本当か?」
「本当だよ。だから俺は帰るぞ。」
帰ろうとする悠介。拓人はまた腕を掴んだ。
「痛えな!まだ何かあるのかよ!」
「それでもだよ!なんでお前が友達といるんだよ!しかも女友達と!それに朝の行列はなんだよ!お前にはありえないだろ!」
「なんだよ!俺に友達がいちゃ悪いか!?お前なら喜んでくれると思ってたのによ!」
その瞬間、拓人は我に返った。悠介に友達ができることは拓人にとって喜ばしいことであり、夢であった。しかし、悠介が自分から離れていってしまうのではないか、という不安も心のどこかにあったのだろう。悠介のことも考えずに、怒鳴りつけてしまった拓人。自分のことに気を取られており、周りが見えていなかったのだ。少し黙った後、拓人が口を開いた。
「すまない。俺だって、お前に友達ができることはすごく嬉しい。でも、それで俺から離れていくんじゃないかって思うと、少し嫌だったんだ。本当にごめんな。」
拓人が頭を下げる。
「そんなことかよ。」
悠介が笑った。
「なんだよ。人が謝ってるのに。」
「すまんすまん、つい。」
悠介が謝る。
「だが、いくら友達ができても、お前は一生友達だよ。なんせ、幼稚園からの腐れ縁だからな。」
悠介が笑顔で言った。すると突然、それを見た拓人が笑いながら泣き出した。
「ありがとう。ありがとう。」
拓人はこういうことにめっぽう弱いのだ。
悠介の肩を叩きながら、涙を拭っている。
「悠介君にも、ちゃんと友達いるじゃない。」
遠くから眺めていた千咲斗が呟いた。

 「ごめんな。遅くなっちまった。千咲斗ちゃん、だっけ?」
すっかり元気を取り戻した拓人が、悠介と一緒に戻ってきた。
「ううん。大丈夫だよ。よろしくね。拓人君。」
そう言うと、三人は一緒に歩き始めた。帰路についた頃、千咲斗は拓人にこれまでの経緯を説明し始めた。
「なるほど。悠介に青春を知ってもらおうと。良いな、それ。」
「そう。だから最初に、勉強を教えて仲良くなってもらおうと思ってたんだけど、『勉強できる生徒先生』みたいな評判になっちゃって。みんな教えてもらうことに必死になっちゃって、友達作るどころじゃなかったよ。」
「そうか。だからこいつ、こんなに疲れてるんだな。」
そう、悠介はあまりに人が寄ってきたせいか、部活後のように完全にお疲れモードだった。そのせいか、さっきから全く会話に入ろうとしない。まぁ、いつものことではあるが。
「でもさ、こんなことしてても友達というよりも『クラスメイト』って感じで全く青春感ないだろ。」
悠介が突然口を開いた。
「まぁ、悠介君の言う通りだね。存在感は濃くなったけど、友達までとはいかないね。」
「じゃあ、どうするんだ?」
拓人が聞く。
「そこで、
青春教訓その2:友達と遊ぶべし!
クラスメイトに悠介君のことを知ってもらわないといけないから、一緒に遊ぶの。」
「なるほどな。それなら、こいつのことを知ってもらえそうだ。」
拓人が悠介の肩を叩く。
「俺は別に、このままでも良いんだけどな。」
疲れているせいか、悠介がふてくされた顔で言う。
「ま〜たそういうこと言う。本当はさっきの教室での返事もダメなんだからね。」
「俺何か言ったっけ?」
悠介は全く覚えていない様子だった。
「ジャンクがって言ってたじゃん!」
「そうだったな。悪い悪い。」
悠介が意外にも素直に謝った。二人の会話が一段落したところで、拓人が話し始めた。
「でも、こいつ学生が行くような場所全く行かないぞ。どうするんだ?」
拓人がそう言うと、その言葉を待っていたかのように、千咲斗が笑い出した。そして、千咲斗は言った。

「だから、今から行くの!」

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