非青春男子と超青春JK

もり フォレスト

第三話 『八本家にて』

 四人はリビングに入った。白と黒をベースにした、とても落ち着きのある部屋で、ステレオからは洋楽が聞こえてくる。
「千咲斗ちゃん、適当に荷物置いておいて〜。」
キッチンにいる紗都美が言った。この家はいわゆる『カウンターキッチン』というものになっており、キッチンの様子がよく見えた。千咲斗は頷くと、ソファの横に鞄を置いた。すると、ダイニングテーブルの前に腰掛けている真美に手招きされた。それに気付いた千咲斗がダイニングテーブルの前に行き、悠介の隣に座る。相変わらず、悠介は本を読んでいる。少ししてから、お茶とお菓子を持った紗都美がやってきた。
「今日はわざわざ来てくれてありがとうね〜。」
そう言いながら、紗都美はイスに座った。
すると、紗都美の胸が少し揺れた。今更だが、紗都美と真美もナイスバディの持ち主である。世の男性であれば、この胸に悩殺されてしまうだろう。そんな二人の胸を千咲斗が羨ましそう見ていると、真美が口を開いた。
「そんなにあたし達の胸が羨ましい?」
千咲斗は動揺した。
「い、いえ!少し…大きいな…と。」
「そんなこと言って〜。あんたもなかなか立派じゃない……の!」
「ひゃっ!?」
立ち上がった真美が千咲斗の胸を揉む。
「ほれほれ〜。この乳で男をはべらかしてるんじゃないの〜?」
「ちょ、ちょっと、やめ…て…くださ…い。」
ずっと揉み続ける真美。それに抵抗する千咲斗。こんなやりとりを五分程続けていると、流石の悠介も我慢出来なかったのか、本を読むのをやめた。
「真美姉、もうやめろよ!」
「な〜に〜?悠介もそろそろ理性を保てなくなっちゃった?」
「そ、そんなんじゃね〜よ!折角友達連れてきたんだから、もっと普通に喋ったりしようって言いたいんだよ!」
「も〜う、しょうがないわね〜。」
そう言うと、真美は揉むのをやめた。
「ごめんね。千咲斗ちゃん☆」
そう言う真美の顔に反省の色は全く見られなかった。千咲斗の顔は真っ赤で、全身から女性のフェロモンが溢れ出ている。
「だ、大丈夫か?凪畑?」
悠介は千咲斗に水を渡したが、顔はキッチンの方を見ていた。真美の言っていたこともあながち間違ってはなかったのだろう。
「あ、ありがとう。」
千咲斗はそう言うと、水を飲んだ。
なぜだろう。妙に色っぽい。
少しして、千咲斗も落ち着いたのか、ようやく話し始めた。
「改めまして、今日は本当にありがとうございます。」
「い〜え、こちらこそありがとうね。いつも遊びに来てくれるの拓人くんだけだったから、ゆーくんに友達がいるかいっつも不安だったのよ。」
「実は、今日は八本君についてお話ししに来たんです。」
姉さん達は首を傾げる。
「私、今日から八本君の家庭教師になったんです!」
「???」
姉さん達は更に首を傾げる。
「俺の非青春的な考えを変えて、更生させたいんだってさ。」
悠介が補足する。
「なるほど〜。」
二人は納得した様子だった。続けて、千咲斗は言う。
「早速なんですけど、家での八本君はどのような感じですか?いつも怒ってたり、ムスッとしてたりしません?」
「何も変わったことはないわよ。私達三人仲も良いし、いつもニコニコしてるわ。」
紗都美の言葉に千咲斗は驚きを隠せなかった。それもそのはず。いつも学校では孤立している悠介が、ニコニコしているなど誰が考えられるだろうか。
「本当ですか!?八本君学校では楽しいのたの字もないですよ?いつも本ばっかり読んでて。」
「ゆーくん、それ本当?」
「まぁ、別に姉さんと拓人がいればそれで良いかなって感じだか……」
「馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ!その考え方やめなさいって、最近も言ったでしょ!」
悠介の前に座っていた真美が悠介の耳を引っ張った。
「イテテテテテ、何するんだよ真美姉!」
「あんたが悪いんでしょ!いい加減友達作りなさいよ!」
「そうよ、ゆーくん。早く友達作らないと、また一人になっちゃうわ。」
もちろん、悠介にも反論したいという気持ちはあっただろう。しかし、二人の意見が正論すぎて、何も言い返すことが出来なかった。
「なんで友達作らないの?」
紗都美が聞いた。
「俺に青春する資格何て…ないんだよ。」
悠介はボソッと呟いた。
「なんて言ったの?」
「もうこの話は良いだろ!ほら、凪畑次いこう。」
話を逸らす悠介。
「う、うん。それでなんですが親御さんは?」
「お父さんは会社泊まり。お母さんはゆーくんが小さい頃に死んじゃって。」
「あっ、ごめんなさい!そんなことも知らずに聞いちゃって。」
千咲斗が頭を下げる。
「良いから良いから。気にしないで。」
真美がそう言うと、千咲斗は頭を上げてまた質問した。
「こういうのって過去のトラウマから陥るケースが多いんですけど、何か過去にトラブルとかありました?」
「高一のときに一つだけ……」
紗都美が話し始めるや否や、悠介は形相を変え、話題を変えた。
「そ、そそそそうだ!凪畑お前俺の部屋も見たいって言ってたよな!ほら行こう行こう!」
そう言うと、悠介は千咲斗の腕を掴んで引っ張っていった。
「ちょ、ちょっと!まだ話最後まで聞いてな……」
「早く行くぞ!」
悠介は千咲斗の話には聞く耳も持たずに、二階へと引っ張っていった。去り際に千咲斗は
「お、お菓子ごちそうさまでした!」
と言い残した。

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