本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
結婚前提のお付き合いを認めて貰えました!【2】
動揺を隠せない高見沢さんを置き去りにして、私はお客様に頼まれたルームサービスのワインを客室へと運んだ。客室からの帰りに副支配人から「支配人室へ来るように」との電話があり急ぎ足で向かった。
「お疲れ様、篠宮さん」
「お疲れ様です」
私が入るなり、副支配人は優しく微笑んで声を掛けてくれた。支配人室には一颯さんと副支配人が一緒に居て、他にもう一人、こないだの茶髪の男性も一緒に居た。私が呼び出された理由は一体何なのか、大体の予想はつくけれど。
「仕事中にごめんなさい。支配人から貴方の話を伺って、一度、話がしたかったから呼んだのよ。結婚前提にお付き合いしているって聞いてるわ」
「はい、行く行くは結婚まで辿り着けたら良いなとは思っています」
「お互いに仕事に恋愛に目標達成に励みましょう」
副支配人にガシッと両手を掴まれ、私は苦笑いを浮かべてしまった。一体、何がどうして副支配人は私の味方?になったの?
「恵里奈ちゃん、これからも祥子ちゃんを宜しくね。俺は近くのバーでバイトしてる#黒沢  瑠偉__くろさわ  るい__#と申します。俺がちゃんとした就職先が決まったら結婚する予定なんだ~」
「そうなんですね、今度、バーに行ってみたいです!私は篠宮  恵里奈と申します。こちらこそよろしくお願い致します!」
「祥子さんはね、バーの常連だよ。仕事帰りとかに飲みに来てる。今度、一緒においで!」
「はい、是非とも伺います!」
副支配人の恋人の黒沢さんも良い人っぽいな。笑顔が素敵。
「………で、本題はお互いの為に秘密の協定を結んだって事。お互いの恋愛がバレないように協力する事になった」
支配人室に入ってからは黙っていた一颯さんが口を開いた。
「そうなの、恋愛如きで今までの地位を棒に振りたくないのよ!私だって自由に恋愛したいけど、若い子達に噂されたり足元救われたりするのが嫌なの!それに役員クラスのおじさん達に『 結婚はまだなの?』とか言われたくないのよね!セクハラだっつーの!……とにかく支配人とは協定を結んだから安心してね。マンションに出入りするのを誰かに見られたら、私なり瑠偉君を尋ねたと言えば良いわ」
「は、はいっ、有難う御座います!」
次第にマシンガントークになり、半ば呆気に取られていたが、最後の最後に大事な言葉が隠されていた。黒沢さんはマシンガントークっと副支配人の負けん気な意見には慣れっ子みたいでニコニコしながら聞いていた。
一連の流れは明日の仕事が終わってから聞く事になり、一颯さんのマンションへとお邪魔した。明後日は一颯さんと一緒のお休みなのです。
「お疲れ様、一颯さん」
「御飯、用意してくれたんだ?有難う」
高見沢さんが気を利かせてくれて、ラウンジのモーニングタイムからのシフトを組んでくれた為、私は先に仕事が終わった。食事を用意して待っていた。
「どーしてもクラムチャウダーが飲みたくて作ってしまいました。クラムチャウダーって冬ってイメージがあるけど…」
「恵里奈が作ってくれたら何でも食べるよ」
玄関先で一颯さんのコートを受け取り、ただいまのキスをされた。一颯さんはジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して私に手渡す。食事を作って待っていて、スーツをハンガーにかけるなんて本当にお嫁さんみたいだわ。
「食事も用意出来てますけど、お風呂も沸いてますよ?」
「……食事を先にしようかな?恵里奈と一緒に入りたいし手料理を早く食べたいし」
「い、…一緒には、入りませんよっ!…っあ、聞いてないし!」
一颯さんは聞いていない振りをして、手を洗ったりスマホを充電したりしている。その後はテーブルに食事が並ぶ前に座って待っていた。
「クラムチャウダー美味しいよ」
いざ食事が並ぶとワインを飲みながら堪能していた一颯さんが、思い出した様に切り出した。
「実は恵里奈から聞いた後、黒沢さんとマンションで鉢合わせしたんだ。今までも度々すれ違っていたが、お互いに目視してただけだった。そしてこないだ急に話しかけられて副支配人の恋人だと発覚した」
「黒沢さんが何て話をかけてきたの?」
「いつもお見かけしますねから始まり、貴方の彼女にも言いましたが祥子さんとの関係はどうか内密に…って言われた。最初、祥子さん?って思ったけど、副支配人だと思い出した」
「そうだったんですね。黒沢さんから話しかけられたんだ」
「……で、副支配人に話したら協定結ぼうと言われたからそうした。副支配人を味方につけたら一緒の休みも取りやすくなるしな。お互いに損はしない」
副支配人は一颯さんの事をライバル視しているが認めてもいる。多分、一颯さんも何だかんだ言っても認めているから、自分が居ない日の仕事を任せられるのだと思う。
「その時言われたのが、支配人っていけ好かない時があるけど案外良い人ね。だって。思わず、吹き出した」
「あはは、副支配人が如何にも言いそうな言葉ですよね」
実際、私に言っていたし。恐らく、私と一颯さんの関係は気づいていたのだろうな。認めたいけど、認めたくない!と言う気持ちからの、あの時の返答だったのだろう。私から言わせれば、二人共似てるもの。似てるからこそ、ぶつかり合ったり、共存したりするものだ。
「お疲れ様、篠宮さん」
「お疲れ様です」
私が入るなり、副支配人は優しく微笑んで声を掛けてくれた。支配人室には一颯さんと副支配人が一緒に居て、他にもう一人、こないだの茶髪の男性も一緒に居た。私が呼び出された理由は一体何なのか、大体の予想はつくけれど。
「仕事中にごめんなさい。支配人から貴方の話を伺って、一度、話がしたかったから呼んだのよ。結婚前提にお付き合いしているって聞いてるわ」
「はい、行く行くは結婚まで辿り着けたら良いなとは思っています」
「お互いに仕事に恋愛に目標達成に励みましょう」
副支配人にガシッと両手を掴まれ、私は苦笑いを浮かべてしまった。一体、何がどうして副支配人は私の味方?になったの?
「恵里奈ちゃん、これからも祥子ちゃんを宜しくね。俺は近くのバーでバイトしてる#黒沢  瑠偉__くろさわ  るい__#と申します。俺がちゃんとした就職先が決まったら結婚する予定なんだ~」
「そうなんですね、今度、バーに行ってみたいです!私は篠宮  恵里奈と申します。こちらこそよろしくお願い致します!」
「祥子さんはね、バーの常連だよ。仕事帰りとかに飲みに来てる。今度、一緒においで!」
「はい、是非とも伺います!」
副支配人の恋人の黒沢さんも良い人っぽいな。笑顔が素敵。
「………で、本題はお互いの為に秘密の協定を結んだって事。お互いの恋愛がバレないように協力する事になった」
支配人室に入ってからは黙っていた一颯さんが口を開いた。
「そうなの、恋愛如きで今までの地位を棒に振りたくないのよ!私だって自由に恋愛したいけど、若い子達に噂されたり足元救われたりするのが嫌なの!それに役員クラスのおじさん達に『 結婚はまだなの?』とか言われたくないのよね!セクハラだっつーの!……とにかく支配人とは協定を結んだから安心してね。マンションに出入りするのを誰かに見られたら、私なり瑠偉君を尋ねたと言えば良いわ」
「は、はいっ、有難う御座います!」
次第にマシンガントークになり、半ば呆気に取られていたが、最後の最後に大事な言葉が隠されていた。黒沢さんはマシンガントークっと副支配人の負けん気な意見には慣れっ子みたいでニコニコしながら聞いていた。
一連の流れは明日の仕事が終わってから聞く事になり、一颯さんのマンションへとお邪魔した。明後日は一颯さんと一緒のお休みなのです。
「お疲れ様、一颯さん」
「御飯、用意してくれたんだ?有難う」
高見沢さんが気を利かせてくれて、ラウンジのモーニングタイムからのシフトを組んでくれた為、私は先に仕事が終わった。食事を用意して待っていた。
「どーしてもクラムチャウダーが飲みたくて作ってしまいました。クラムチャウダーって冬ってイメージがあるけど…」
「恵里奈が作ってくれたら何でも食べるよ」
玄関先で一颯さんのコートを受け取り、ただいまのキスをされた。一颯さんはジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して私に手渡す。食事を作って待っていて、スーツをハンガーにかけるなんて本当にお嫁さんみたいだわ。
「食事も用意出来てますけど、お風呂も沸いてますよ?」
「……食事を先にしようかな?恵里奈と一緒に入りたいし手料理を早く食べたいし」
「い、…一緒には、入りませんよっ!…っあ、聞いてないし!」
一颯さんは聞いていない振りをして、手を洗ったりスマホを充電したりしている。その後はテーブルに食事が並ぶ前に座って待っていた。
「クラムチャウダー美味しいよ」
いざ食事が並ぶとワインを飲みながら堪能していた一颯さんが、思い出した様に切り出した。
「実は恵里奈から聞いた後、黒沢さんとマンションで鉢合わせしたんだ。今までも度々すれ違っていたが、お互いに目視してただけだった。そしてこないだ急に話しかけられて副支配人の恋人だと発覚した」
「黒沢さんが何て話をかけてきたの?」
「いつもお見かけしますねから始まり、貴方の彼女にも言いましたが祥子さんとの関係はどうか内密に…って言われた。最初、祥子さん?って思ったけど、副支配人だと思い出した」
「そうだったんですね。黒沢さんから話しかけられたんだ」
「……で、副支配人に話したら協定結ぼうと言われたからそうした。副支配人を味方につけたら一緒の休みも取りやすくなるしな。お互いに損はしない」
副支配人は一颯さんの事をライバル視しているが認めてもいる。多分、一颯さんも何だかんだ言っても認めているから、自分が居ない日の仕事を任せられるのだと思う。
「その時言われたのが、支配人っていけ好かない時があるけど案外良い人ね。だって。思わず、吹き出した」
「あはは、副支配人が如何にも言いそうな言葉ですよね」
実際、私に言っていたし。恐らく、私と一颯さんの関係は気づいていたのだろうな。認めたいけど、認めたくない!と言う気持ちからの、あの時の返答だったのだろう。私から言わせれば、二人共似てるもの。似てるからこそ、ぶつかり合ったり、共存したりするものだ。
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