本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
バトラーとしての品格とは?【4】
「お客様第一主義も良いけど少しは危機感持ちなよ。何かあってからでは遅いからね」
高見沢さんは睨み付けながら私に言い放ち、冷蔵庫から缶ビールを勝手に取り出しプシュッと勢い良く開けて飲み出した。
「俺は当直でもないし退勤押したから仕事中でもないし、ビール飲むからね!」
高見沢さんは自由気ままに過ごして、一颯さんがシャワーから上がるとシャワーを浴びに行った。
「お疲れ様。遅くまで大変だったな」
髪の毛をタオルで拭きながらシャワー室から出てきた一颯さんは私の事を見下ろすように言った。久しぶりに見る濡れた髪のままの一颯さんが艶やかで即効、ときめいてしまう。
「何だ?」
隣に座った一颯さんの顔をまじまじと見てしまい不思議がられた。顔が火照りを帯びて行くのが分かる。
「……ちょっとだけ抱きついても良いですか?」
私は言葉を言い切らぬ内に一颯さんに抱き着いた。返事は貰えないまま一颯さんの腕は私を抱き締め返す。
何も言わずに私の首筋に一颯さんの唇がチュッと言うリップ音と共に触れた。一颯さんを見上げると目と目で見つめ合った。シャワー室には高見沢さんが居るのに一颯さんの温もりを離したくなくて手を伸ばしてキスのおねだりをする。一颯さんの唇に触れるだけのキスをして一颯さんの胸に顔を埋める。
「そんなに可愛い事されるとこの場で押し倒したいけど、それは無理だからキスだけで我慢してやる」
一颯さんは私の顔を上げて指先で頬に触れた。自分からおねだりしてしまったせいで、どんどん深く濃厚になっていくキス。それは職場内という背徳感はあっても止められなかった。
「……今度、いつ会えますか?」
「最近はなかなか休みが合わないから、恵里奈が休みの前日になったら部屋においで」
「……はい」
深みにハマっていく自分が怖い。会えない間は我慢出来るのに二人きりになった瞬間に一颯さんに触れたいと思うのは何故だろう?
シャワーの音が聞こえなくなって、どちらからともなく身体を離す。高見沢さんがシャワー室から出てくる前に一颯さんは立ち上がって髪の毛を乾かす為に洗面台に向かった。
「俺達は宿直室に泊まらせて貰うから篠宮はいつも通りにここを使って。じゃあ、おやすみ」
一颯さんは別れ際に冷蔵庫からお茶のペットボトルとサンドイッチを取り出して私に手渡し、部屋を後にした。高見沢さんが居たのに私の頭を撫でてから行った。そんな一颯さんを見ていた高見沢さんは私の事を睨んでから、
「穂坂  一弥から連絡が来たら直ぐに連絡してよ。分かった?」
と言ってデコピンをした。
「…いたっ!…わ、分かりました。何も起こらないと良いですね…」
「さぁねー?おやすみ~」
高見沢さんは軽い感じで私に別れを告げると一颯さんの後を追うように急いで着いて行った。
一颯さんの温もりが次第に消えていく。
少しだけ会えただけでも幸せなのに足りないと思ってしまう。勤務中扱いなのに…寂しい。こんなんじゃ駄目だ。
頂いたサンドイッチを食べながら一颯さんの事を思い出す。私は一颯さんの彼女としての自覚が足りないな。一颯さんに釣り合う為には寂しいとか言っていられないんだ。
一颯さんが用意してくれた最高のステージとして、バトラーとしての頂点を目指さなくては。例えば、それがサービスマンとしての私の行き着く先だとしても───……
───午前2時05分。
サンドイッチを食べた後に連絡を待ちつつ、何となくテレビを眺めていたのだけれども…いつの間にか寝てしまい、ホテル専用の携帯の着信音に驚き飛び起きた。
「お疲れ様です。スイートルームのお客様が篠原さんをお呼びです。至急、行けますか?」
「……お疲れ様です。今すぐ向かいます」
宿直からの連絡だった。ホテル専用の私宛の携帯の番号を渡したのに掛けてこなかったのは何故だろう?多少、身なりを整えてから部屋に向かった。
「失礼致します。穂坂様、如何なさいましか?」
ノックをしてから問いかけると、虚ろな目をした穂坂様がドアを開けて出て来た。
「お酒、まだある……?ウィスキーでもジンのボトルでも何でもいーんだけど?」
「……御座いますが、穂坂様、かなり酔われていらっしゃいますよね?これ以上は止めといた方が良いのではないですか?」
「お前…、俺に…さか、らう…気かぁー!」
私は胸元のスカーフを掴まれ、息苦しく声が出せない。
「まぁ、いい…。お前…が、あ…すみの…代わりになれば…いい」
スカーフを離した後、私の腕を掴み乱暴にベッドまで連れて行き押し倒される。スカーフを抜かれ、乱暴にジャケットとブラウスのボタンを引きちぎられる。
もう喉元を抑えられてないので声を出せるはずなのに…恐怖感でいっぱいで少しも出す事が出来ない。あれだけ連絡が来たら電話しろと念を押されたのに、遅い時間だし寝てるかな?とか穂坂様は良い人そうだから大丈夫だよね?とか考えてしまって連絡を怠ったのは後の祭りだった。成人男性の握力には勝てはしない。振り払おうとしても、両腕を掴まれていて逃げる事が出来ない。
どうしようか……?
どうしたら良いのだろうか…?
その時、穂坂様の目から涙が私の顔に落ちて来た。穂坂様はボロボロと泣き出して、来るはずだった女性の名だろうか?…「あすみ…あすみ…」と何回も唱え続けた。
「…穂坂様?」
高見沢さんは睨み付けながら私に言い放ち、冷蔵庫から缶ビールを勝手に取り出しプシュッと勢い良く開けて飲み出した。
「俺は当直でもないし退勤押したから仕事中でもないし、ビール飲むからね!」
高見沢さんは自由気ままに過ごして、一颯さんがシャワーから上がるとシャワーを浴びに行った。
「お疲れ様。遅くまで大変だったな」
髪の毛をタオルで拭きながらシャワー室から出てきた一颯さんは私の事を見下ろすように言った。久しぶりに見る濡れた髪のままの一颯さんが艶やかで即効、ときめいてしまう。
「何だ?」
隣に座った一颯さんの顔をまじまじと見てしまい不思議がられた。顔が火照りを帯びて行くのが分かる。
「……ちょっとだけ抱きついても良いですか?」
私は言葉を言い切らぬ内に一颯さんに抱き着いた。返事は貰えないまま一颯さんの腕は私を抱き締め返す。
何も言わずに私の首筋に一颯さんの唇がチュッと言うリップ音と共に触れた。一颯さんを見上げると目と目で見つめ合った。シャワー室には高見沢さんが居るのに一颯さんの温もりを離したくなくて手を伸ばしてキスのおねだりをする。一颯さんの唇に触れるだけのキスをして一颯さんの胸に顔を埋める。
「そんなに可愛い事されるとこの場で押し倒したいけど、それは無理だからキスだけで我慢してやる」
一颯さんは私の顔を上げて指先で頬に触れた。自分からおねだりしてしまったせいで、どんどん深く濃厚になっていくキス。それは職場内という背徳感はあっても止められなかった。
「……今度、いつ会えますか?」
「最近はなかなか休みが合わないから、恵里奈が休みの前日になったら部屋においで」
「……はい」
深みにハマっていく自分が怖い。会えない間は我慢出来るのに二人きりになった瞬間に一颯さんに触れたいと思うのは何故だろう?
シャワーの音が聞こえなくなって、どちらからともなく身体を離す。高見沢さんがシャワー室から出てくる前に一颯さんは立ち上がって髪の毛を乾かす為に洗面台に向かった。
「俺達は宿直室に泊まらせて貰うから篠宮はいつも通りにここを使って。じゃあ、おやすみ」
一颯さんは別れ際に冷蔵庫からお茶のペットボトルとサンドイッチを取り出して私に手渡し、部屋を後にした。高見沢さんが居たのに私の頭を撫でてから行った。そんな一颯さんを見ていた高見沢さんは私の事を睨んでから、
「穂坂  一弥から連絡が来たら直ぐに連絡してよ。分かった?」
と言ってデコピンをした。
「…いたっ!…わ、分かりました。何も起こらないと良いですね…」
「さぁねー?おやすみ~」
高見沢さんは軽い感じで私に別れを告げると一颯さんの後を追うように急いで着いて行った。
一颯さんの温もりが次第に消えていく。
少しだけ会えただけでも幸せなのに足りないと思ってしまう。勤務中扱いなのに…寂しい。こんなんじゃ駄目だ。
頂いたサンドイッチを食べながら一颯さんの事を思い出す。私は一颯さんの彼女としての自覚が足りないな。一颯さんに釣り合う為には寂しいとか言っていられないんだ。
一颯さんが用意してくれた最高のステージとして、バトラーとしての頂点を目指さなくては。例えば、それがサービスマンとしての私の行き着く先だとしても───……
───午前2時05分。
サンドイッチを食べた後に連絡を待ちつつ、何となくテレビを眺めていたのだけれども…いつの間にか寝てしまい、ホテル専用の携帯の着信音に驚き飛び起きた。
「お疲れ様です。スイートルームのお客様が篠原さんをお呼びです。至急、行けますか?」
「……お疲れ様です。今すぐ向かいます」
宿直からの連絡だった。ホテル専用の私宛の携帯の番号を渡したのに掛けてこなかったのは何故だろう?多少、身なりを整えてから部屋に向かった。
「失礼致します。穂坂様、如何なさいましか?」
ノックをしてから問いかけると、虚ろな目をした穂坂様がドアを開けて出て来た。
「お酒、まだある……?ウィスキーでもジンのボトルでも何でもいーんだけど?」
「……御座いますが、穂坂様、かなり酔われていらっしゃいますよね?これ以上は止めといた方が良いのではないですか?」
「お前…、俺に…さか、らう…気かぁー!」
私は胸元のスカーフを掴まれ、息苦しく声が出せない。
「まぁ、いい…。お前…が、あ…すみの…代わりになれば…いい」
スカーフを離した後、私の腕を掴み乱暴にベッドまで連れて行き押し倒される。スカーフを抜かれ、乱暴にジャケットとブラウスのボタンを引きちぎられる。
もう喉元を抑えられてないので声を出せるはずなのに…恐怖感でいっぱいで少しも出す事が出来ない。あれだけ連絡が来たら電話しろと念を押されたのに、遅い時間だし寝てるかな?とか穂坂様は良い人そうだから大丈夫だよね?とか考えてしまって連絡を怠ったのは後の祭りだった。成人男性の握力には勝てはしない。振り払おうとしても、両腕を掴まれていて逃げる事が出来ない。
どうしようか……?
どうしたら良いのだろうか…?
その時、穂坂様の目から涙が私の顔に落ちて来た。穂坂様はボロボロと泣き出して、来るはずだった女性の名だろうか?…「あすみ…あすみ…」と何回も唱え続けた。
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