本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
所有者に決定権があり、お断り出来ません。【3】
「お風呂頂きました…」
「遅い。待っている間に一仕事終わったからな…!まぁ、早く帰る為に持って帰って来た仕事を後々済ませようと思っていたから、いつやろうと同じだが…。腹が減ったから先に食べた」
食べながらノートパソコンで持ち込みの仕事をしていたらしく、テーブル上の料理は残り半分位になっていた。
気付けば40分はお風呂に入っていて、支配人は待ちくたびれたみたい。
その後の流れを恥ずかしいながらに期待もしている私は、身だしなみをチェックしたり、心の準備をするのには必要な時間だった。
「この他にビーフシチューとガトーショコラもあるんです。食べます?」
「勿論、食べる。しかし、どんだけ作ったんだよ?」
「ビーフシチューの残りは明日の朝にパンと一緒に食べられるかなって。ガトーショコラは支配人が甘い物好きだから…。今、温めて来ますね!」
おつまみとして作った料理だったが、今日はワインのボトルも開けず、他のお酒も飲まずに食器を片付けた後はデザートタイムに移る。
支配人が自ら紅茶を入れてくれて、今日一番の自信作のガトーショコラを食べる。夜中に甘い物は太るけれど、今日だけ特別。
「甘さ控えめで上手い。料理上手だから、良い奥さんになれるな」
「ふふっ、有難う御座います!」
支配人がガトーショコラを頬張りながら、幸せそうな微笑みを浮かべる。
長年の寮暮らしで、予定のない休みの日はほぼ自炊していたので、支配人と同じで料理は苦ではない。褒められると照れくさいな。
「…なんなら、ココに住んでもいいぞ。食器も寝具も揃えたし、ないのはお前の生活用品ぐらいだな?それに…子供は双子が産まれるかもしれないぞ?」
「な、な、何でっ、付き合っていたかも曖昧だって話をさっきしたばかりなのに、そうなるんですかっ!?ふ、双子って…!?」
唐突過ぎる話は、結婚を通り越して子供の話にまでなっていた。
「いつも言ってるだろ?嫌なら断われ、と」
「…そうですけど。嫌じゃないですけど…でも…」
突如として振られた話に戸惑いを隠せない。
「俺はお前が好きだから、一緒に居たいと思ったんだ。仕事に一生懸命なところも、すぐ照れるところも…とにかく、可愛くて仕方ないんだ…、離したくない位に…」
右手に握っていたフォークを置き、ギュッと力強く抱きしめられる。
「わ、私も…好き、ですけど…。よく良く考えたら、社内恋愛って…しかも、支配人と…まずくないですか?」
内側に押し込められた腕で支配人の胸を跳ね除けようとしたが、逆効果で両腕を左手で掴まれ、右手は私の頭の後ろ側を支えて、ドサリとソファーに倒される。
「支配人が社内恋愛をしたらいけないと言う規則はない。俺は独身だし、問題ない。
一流のサービススタッフなら、何事もないように社内恋愛も隠し通せ」
「…は…い」
理屈なのか、屁理屈なのか分からない言葉に丸め込まれた。
上から見下ろされ、目を合わせる事が出来ずに右横を見て返事をすると…無理矢理に上を向かされて、唇が重なり、長いキスをする。
「…ほら、そーゆー無防備な顔を社内で見せるなよ」
長いキスの後、トロトロに蕩けてしまいそうな位に熱を帯びている私にむけて、からかうように言い、フワリと抱き抱えてベッドまで移動する。
「……部屋に来たって事は覚悟出来てるんだろ?…先に言っとくが、途中で中断する気はないからな」
コクン、と静かに頷く。
とてつもなく緊張する。
自分の胸の前でキュッと拳を握り、覚悟を決める。
「…恵里奈、愛してる」
「…私も好きです」
初めて名前を呼ばれて、おでこにキスをされた事が何だか、くすぐったく感じる。
「恵里奈も名前で呼んでみて?」
「…っ、い、ぶき…さんっ」
見下ろされ、直視されている中での初めての名前呼びは恥ずかし過ぎて、顔を両手で覆った。
「…不合格だけど、まぁ、いっか。今から嫌でも名前呼ばせてやるし…な?」
久しぶりに見た不敵な笑みと艶っぽい流し目に完全に蕩けてしまいそう。
「…やっぱり、止めます!中断したい、です…」
「無理。お前の所有者は俺だ。決定権は俺にある」
「……じゃあ、返品不可ですよ?」
「あぁ、責任持って、時期が来たら入籍するから安心しろ。…というか、もういい加減、黙れ!…明日は俺も公休にしたが、どこにも連れてってやれなくなる」
時刻は夜中の1時過ぎ。
寝起きの悪い貴方と眠ったら、きっとお昼近くまで寝てしまいそうな気がする…。
そうだ、それよりも…。
「…あの、」
私の首筋にキスが落とされた時、どうしても気になってしまい、つい聞いてしまった。
「何だ?」
「……私は一流のサービススタッフになれるでしょうか?なれないと支配人の彼女になる資格がないんですっ」
「はぁっ。今する質問じゃないだろ、それにその彼女の基準は何なんだ?俺自身がお前を好きなんだから資格も何もいらない。…お前さぁ、今から何するか本当に分かってる?」
「分かってます。もう黙ります…」
"話をこれ以上するな"と言わんばかりな、息つく暇もない荒々しいキスを皮切りに甘い夜が始まる。
支配人に所有されているからこそ、私自身も輝きを放たなければならない。
その為には努力を惜しまず、実力行使。
いつの日か、『二人はお似合いだね』と祝福されますように───……
「遅い。待っている間に一仕事終わったからな…!まぁ、早く帰る為に持って帰って来た仕事を後々済ませようと思っていたから、いつやろうと同じだが…。腹が減ったから先に食べた」
食べながらノートパソコンで持ち込みの仕事をしていたらしく、テーブル上の料理は残り半分位になっていた。
気付けば40分はお風呂に入っていて、支配人は待ちくたびれたみたい。
その後の流れを恥ずかしいながらに期待もしている私は、身だしなみをチェックしたり、心の準備をするのには必要な時間だった。
「この他にビーフシチューとガトーショコラもあるんです。食べます?」
「勿論、食べる。しかし、どんだけ作ったんだよ?」
「ビーフシチューの残りは明日の朝にパンと一緒に食べられるかなって。ガトーショコラは支配人が甘い物好きだから…。今、温めて来ますね!」
おつまみとして作った料理だったが、今日はワインのボトルも開けず、他のお酒も飲まずに食器を片付けた後はデザートタイムに移る。
支配人が自ら紅茶を入れてくれて、今日一番の自信作のガトーショコラを食べる。夜中に甘い物は太るけれど、今日だけ特別。
「甘さ控えめで上手い。料理上手だから、良い奥さんになれるな」
「ふふっ、有難う御座います!」
支配人がガトーショコラを頬張りながら、幸せそうな微笑みを浮かべる。
長年の寮暮らしで、予定のない休みの日はほぼ自炊していたので、支配人と同じで料理は苦ではない。褒められると照れくさいな。
「…なんなら、ココに住んでもいいぞ。食器も寝具も揃えたし、ないのはお前の生活用品ぐらいだな?それに…子供は双子が産まれるかもしれないぞ?」
「な、な、何でっ、付き合っていたかも曖昧だって話をさっきしたばかりなのに、そうなるんですかっ!?ふ、双子って…!?」
唐突過ぎる話は、結婚を通り越して子供の話にまでなっていた。
「いつも言ってるだろ?嫌なら断われ、と」
「…そうですけど。嫌じゃないですけど…でも…」
突如として振られた話に戸惑いを隠せない。
「俺はお前が好きだから、一緒に居たいと思ったんだ。仕事に一生懸命なところも、すぐ照れるところも…とにかく、可愛くて仕方ないんだ…、離したくない位に…」
右手に握っていたフォークを置き、ギュッと力強く抱きしめられる。
「わ、私も…好き、ですけど…。よく良く考えたら、社内恋愛って…しかも、支配人と…まずくないですか?」
内側に押し込められた腕で支配人の胸を跳ね除けようとしたが、逆効果で両腕を左手で掴まれ、右手は私の頭の後ろ側を支えて、ドサリとソファーに倒される。
「支配人が社内恋愛をしたらいけないと言う規則はない。俺は独身だし、問題ない。
一流のサービススタッフなら、何事もないように社内恋愛も隠し通せ」
「…は…い」
理屈なのか、屁理屈なのか分からない言葉に丸め込まれた。
上から見下ろされ、目を合わせる事が出来ずに右横を見て返事をすると…無理矢理に上を向かされて、唇が重なり、長いキスをする。
「…ほら、そーゆー無防備な顔を社内で見せるなよ」
長いキスの後、トロトロに蕩けてしまいそうな位に熱を帯びている私にむけて、からかうように言い、フワリと抱き抱えてベッドまで移動する。
「……部屋に来たって事は覚悟出来てるんだろ?…先に言っとくが、途中で中断する気はないからな」
コクン、と静かに頷く。
とてつもなく緊張する。
自分の胸の前でキュッと拳を握り、覚悟を決める。
「…恵里奈、愛してる」
「…私も好きです」
初めて名前を呼ばれて、おでこにキスをされた事が何だか、くすぐったく感じる。
「恵里奈も名前で呼んでみて?」
「…っ、い、ぶき…さんっ」
見下ろされ、直視されている中での初めての名前呼びは恥ずかし過ぎて、顔を両手で覆った。
「…不合格だけど、まぁ、いっか。今から嫌でも名前呼ばせてやるし…な?」
久しぶりに見た不敵な笑みと艶っぽい流し目に完全に蕩けてしまいそう。
「…やっぱり、止めます!中断したい、です…」
「無理。お前の所有者は俺だ。決定権は俺にある」
「……じゃあ、返品不可ですよ?」
「あぁ、責任持って、時期が来たら入籍するから安心しろ。…というか、もういい加減、黙れ!…明日は俺も公休にしたが、どこにも連れてってやれなくなる」
時刻は夜中の1時過ぎ。
寝起きの悪い貴方と眠ったら、きっとお昼近くまで寝てしまいそうな気がする…。
そうだ、それよりも…。
「…あの、」
私の首筋にキスが落とされた時、どうしても気になってしまい、つい聞いてしまった。
「何だ?」
「……私は一流のサービススタッフになれるでしょうか?なれないと支配人の彼女になる資格がないんですっ」
「はぁっ。今する質問じゃないだろ、それにその彼女の基準は何なんだ?俺自身がお前を好きなんだから資格も何もいらない。…お前さぁ、今から何するか本当に分かってる?」
「分かってます。もう黙ります…」
"話をこれ以上するな"と言わんばかりな、息つく暇もない荒々しいキスを皮切りに甘い夜が始まる。
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