最強の殺戮少女を泣かせる事が出来るのは、異世界に転生した平凡で毒舌美少女だけなので平凡少女が最強だと思います。

Sei

殺戮少女を泣かせる平凡美少女

香波雫かなみしずくは、僅か17歳にして交通事故で人生を奪われてしまった。
 死ぬ間際雫は、私の人生って本当に詰まらなかったなと思いながら、どうせ生きててもこの先面白い事があるとも限らないし、別にいいやと思いながら死んでいった。
 そんな雫を女神様は不憫に思い、雫にもう一度新たな人生を送らせてあげようと思い、雫を天界に招いた。
 「貴女には、もう一度異世界にて新たな人生を送ってもらいます。一つ好きなスキルをあげましょう」
 「そんな漫画みたいなの要りません」
 「で、ても.......必要だと思うけどなぁ~」
 「だから要りません」
 「ほら、何かあった時に便利だしぃ~折角だから貰ってよぉ~」
 「しつこいですね。しつこい女は嫌われますよ」
 「そこまで言わなくてもいいのに.......うぐっ.......えぐっ.......うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん」
 面倒くさい女神様だなと思いながら、異世界とやらにさっさと送ってよと思う雫だった。
 「本当に.......えぐっ.......要らないの?」
 「ハァ~さっさと送ってよ!女神様モテないでしょ?そして好きな男に執着して、騙されて捨てられるタイプだよね」
 「ど、どどどどうしてわかるの?」
 それだけしつこかったら、私じゃなくてもわかるよと思う。
 「取り敢えず、チートスキルとか要らないので、私別に異世界で成り上がりたい訳でも、モテモテになりたい訳でもないので」
 「でも、お姉さん的にあった方がいいと思うんだけどなぁ~」
 「どうせ一度死んでるんだから、新しい世界で死んだって同じだし、女神様の点数稼ぎに協力出来なくて申し訳ありませんが、さっさと送って下さい」
 どうせ生きてても、いい事あるとは限らないしと前世で特にいい事のなかった雫は、新しい世界にも新しい生活にも特に希望など持っていなかった。
 「わかったよぉ~でも困ったら助けてぇぇぇ女神様ぁぁぁぁぁぁぁぁ~って呼んでね。助けるから」
 「絶対に呼びません」
 女神様は、雫ちゃんってクール少女だね。可愛いのにと言うと、雫を新たな世界へと転送する準備をする。
 「新しい世界は、エルスター王国と言います。戦争は下火にはなってますが、十分気をつけて下さいね」
 そう言うと雫を転送する。
 何で、そんな世界に転生するのよ!泣き虫女神使えないと思いながら、雫はエルスター王国へと転送された。


エルスター王国の、山奥にある小屋に一人の少女が住んでいた。
 名をイズミといい年は、まだ15歳だったが何処で生まれ母親が誰なのかもわからない、謎多き少女だったが、エルスター王国をはじめ近隣諸国から最強の殺戮少女として一目置かれる存在だった。
 イズミに掛かれば数万の大軍もゴミ同然だった。
 どこの国の軍隊にも所属しない、孤高の殺戮少女イズミを各国は、こぞって我が軍にとイズミに使者を送るが、イズミはあたしは誰とも組むつもりなんてないからと使者を追い返していた。
 大国エルスター王国の申し入れすらも断っていた。
 普通ならエルスター王国から、要請があれば喜んで申し入れを受けるのだが、イズミだけはどんな報酬にも#靡__なび__#くことはなかった。
 イズミは、今日も一人小屋で昼寝をしていた。


エルスター王国に転生させられた雫は、山の中を一人歩いていた。
 あの泣き虫女神は、なんでこんな山奥に転送するのよ!あのグズ女神が!と一応女神様なのに、女神とも思わずに悪態を吐きながら歩いていると、一軒の小屋が見えたので、少し休ませてもらおうと思い小屋に向かう。
 どうせ誰もいないでしょ、こんな山奥の小屋になんてと思い扉を開けると、一人の少女がいた。
 「お前は誰だ?あたしを殺しに来たのか?」
 「違います。今転生させられたばかりです」
 イズミは、最強の殺戮少女と恐れられるイズミを前にしても恐れる事なく、平然と違いますと言った少女が気にいった。
 「お前面白いな!あたしと一緒に来い」
 「嫌です。どうして貴女と一緒に何処かに行かないと行けないのですか?意味がわかりません」
 あっさりと、はっきりと断られてイズミはえっ?一緒に行かないの?と思う。
 「だからあたしと一緒に.......」「嫌です」
 食い気味にはっきりと断られてしまう。
 「そんな事いわ.......」「だから嫌です。しつこいですね」
 そこまで言わなくてもいいのにと、イズミはもう泣きそうである。
 今まで、誰かの前で泣いた事なんてないのに、何故かこの少女に断られると悲しくなってしまう。
 「あのいっ」「嫌です。本当にしつこいですね。しつこい女は嫌われますよ」
 我慢の限界だった。
 「そんな事言わないで一緒に来てよぉぉぉぉ~うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん」
 雫は、目の前の少女もあの泣き虫女神と同じタイプだと思うと、げんなりしてしまう。
 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん!一緒に行こうよぉぉぉぉ~うわぁぁぁぁぁぁぁぁ~ん」
 イズミを知る人物が見たら、雫の事を最強の殺戮少女を泣かせた最強少女と思う事間違いないのだが、目の前の少女がこの世界で最強の殺戮少女なんて知らない雫は、どうして私にはこんなのばかり寄って来るのと思いながら、この世界の事を知らないし取り敢えず雨露凌げればいいやと思い、目の前で号泣している少女に声を掛ける。
 「私は、この世界に転生させられたばかりだから、何も知らないし行く所もないからあなたと一緒にいてあげます」
 本来なら、ここに置いて下さいと言うのが筋なのに雫はここに居てあげてもいいわよと、何故か上から目線で言う。
 「ほんじょうに?」
 取り敢えず涙と鼻水拭いたらと思いながら、雫は本当よと言うと、少女はやっと泣き止んで自己紹介を始める。
 「あたしはイズミ、取り敢えず最強の殺戮少女と言われてるよ」
 最強の殺戮少女?この泣き虫の幼児体系が?と思うけど、取り敢えず自己紹介してくれたので雫も自己紹介する。
 「雫よ。前の世界で死んでこの世界に転生させられたのよ」
 「雫って呼んでもいい?」
 「好きにしたら」
 「あたしの事は、イズミでいいよ♪よろしくね雫」
 「よろしくイズミ」
 取り敢えず雨露凌げる場所確保したし、目の前の少女は最強の殺戮少女とか、意味不明な事言ってるけど、私には関係ないしとあっさり状況に適応した雫だった。
 「そう言えば、さっきあたしと一緒に来いとか言ってたけど旅でもするの?」
 「そうだねぇ~これ以上勧誘がしつこければね」
 「勧誘?」
 「このエルスター王国も近隣諸国も、あたしを欲しがってるんだよ」
 こんな泣き虫の幼児体系を欲しがる?頭大丈夫なの?エルスター王国も近隣諸国のお偉いさんも、脳味噌腐ってんじゃないの?と、かなり失礼な事を雫は考えてしまう。
 「もしかして疑ってる?」
 「別に、ただ興味がないだけよ」
 本当は思い切り疑ってるけど、また泣かれたら面倒だと思い雫は濁した。
 「本当に最強の殺戮少女なんだからね!」
 「わかりましたよ」
 どうしてあの女神と言い目の前の少女と言い、こうもしつこいのかしらと、雫は思うけど取り敢えず小屋から追い出されても困るのでわかったよ、イズミは最強の殺戮少女だねと言うと、イズミは何故か嬉しそうにしてたので、これでゆっくり休めると思い安心する雫だった。
 「取り敢えずお腹空いたから、何か食べさせてよイズミ」
 「お腹空いてるの?今作るから待っててね」
 出会って一時間もしないで、最強の殺戮少女を顎で使う雫は、ある意味最強の平凡少女だった。
 雫は、前世でも平凡少女だった。毒舌な部分を抜かしてだけど、頭も普通、運動も普通だけど顔だけは美少女だったから、取り敢えず男女問わずモテモテだったけど、恋愛なんて面倒なだけと亡くなるまでに男女合わせて軽く100人は振ったけど、当の雫は何とも思ってなかった。
 何事にも興味を示さない少女だった。
 「ご飯出来たよ!」
 「美味しくなかったら泣かせるから!」
 「そんな事言わないでよぉ~」
 こうして最強の殺戮少女は、平凡で無気力な毒舌美少女雫に泣かされながら、顎で使われながらも雫を守りながら、雫と暮らして行く事になった。

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