犬のきもち

ほろよいさん

恋人4

どれほど泣いていたのだろうか長く泣いていたような気もするので恥ずかしい気持ちでいっぱいだましてや誰かの前でなくなど初めてな経験だ余計どうしていいかわからなくなる。とりあえず普通にしてみよう。

「話を聞いてくれて助かった。礼を言おう」

「あら?さっきまでわんわん泣いていたのに、また胸貸そうか?」

「努めて普段っぽくしようとしてるんだからほりかえさないでくれよ!恥ずかしいだろ!!」

「ははっごめんなさいあなた見てるとついついいじめたくなっちゃって」

「そ、そういえば、俺はまだ君の話を聞かせてもらってないぞ!俺も話したんだ君の話もきかせてくれてよ!」

「そうね、いいわよ私のことも知ってほしいし、あと私の名前は君じゃなくてアンジュよ!」

「俺の名前はポチだ、アンジュの話きかせてくれるか?」

「ポチ私わね、私もあなたと同じよう幸せな家庭で育ったわもうこれ以上がないくらしあわせなね、でもある日突然お父さんがリストラにあったの、それでも家族みんな力を合わせて乗り切ろうとしたのでもね限界が来たんだ家も売ってアパートぐらしになったのそれでみんな私と一緒でも住めるようなところを探してくれたわそれもほどなくして終わりが来たの家族は私を橋のしたに捨てたの少しでもいいとこに拾ってもらえるように毛もブラッシングしてくれてでも皆泣いて私から離れようとしないから自分から離れて行っちゃったわ。皆の辛い顔見てらんなくて、だって痛いほどに伝わってくるんだもん愛されているんだなってさ」

何も言えなくなっていた。愛する者との別れは言葉で表現できるようなものではない。それにこれは彼女にどうこうできる問題ではないし、彼女にだって言いたいことはあるはずだ普通ならなんで私をすてるんだと!そんなに愛しているならなんでと癇癪をおこしたくなるはずだ。俺には彼女の愛する者に裏切られる気持ちはわからない。俺は最初から最後まで大切にされてきたからだ。彼女はどれほど辛かったのだろうか。

「そしてねたまたま私を拾ってくれてた人がいたのそこもいいところだったわだけどやっぱり馴染めなくてね。それにやっぱり悲しくてずっとそっけない態度ばかりをとっていたわ、外で娘さんが遊んでたのよく見たら蛇にかまれてて泣いていたんだ腕から血が出てていて急いで駆け寄って蛇を追い払ったのそれを遠くで見てたお父さんが私が噛んだと思ったみたいで、ここに連れてこられたの、普段の私の態度が悪かったってのもあるけどね」

そう少し笑って見せた。それも俺の胸を締め付けるなぜだ!なんで助けたのに濡れ衣を着せられこんな仕打ちを受けなくてはいけないんだ!悲しみと同時に怒りもわいてくる。

「アンジュ、ゆるせない、助けたのになんでだ」

アンジュは笑顔をむけながら

「いいのよ!娘さんを思ってのことだし、私の家族もずっと見てきたんだからこうするしかなったのはわかってるしむしろ遅すぎたくらいよ?もっと早く捨ててれば楽だったのにもう十分愛されててたわ」

「でも、アンジュだってかな、」

「それに!!これからはあなたが私を愛してくれるんじゃないの?ん?」

「っう!ああそうだよ!俺がこれから一生死ぬまで愛すよ!」

「じゃあきまりね幸せにしてよね?」

「ああ!」

こうも綺麗な目で言われたら答えはきまってるよな、彼女の中では本当に遺恨なく収まっているのだろう。本当に強いな過去に辛いことがあったのにこんなにも前を向けるなんてましてや俺まですくいとられちゃってこれはもう一生頭が上がんないや。


絶対に幸せにするからな

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