犬のきもち

ほろよいさん

友人2

彼の名前はジェムというみたいだ。
ジェムと一緒の檻にいた犬たちはみんな新しい飼い主の元に行ったらしい。ジェム曰く、
「相手が純血種だから負けたんだ!顔は俺のほうがイケメンだったんだけどな~」らしい。
確かにジェムはイケてる顔をしている、だが問題はそこじゃないと思う。一番の問題は

「おい!ポチ!来たぞ新しい飼い主候補だ俺の特技を見せつけてやるぜ!」
そう言い片足を上げおしっこを出しハートを書き始めそのハートの真ん中に座った

「これで俺が人懐っこく愛に溢れた名犬だってことが伝わるはずだぜ!」

決まったとばかりにドヤ顔こちらに見せてくる。やはりというべきか引きつった顔をし、来た人間はどこかへ行ってしまった。
そうこれがジェムに新しい飼い主が見つからない一番の理由なのである。
と心のなかでナレーションを言っていたらまたジェムが騒がしそうにしている。

「ポチ!また来たぞ!今度はポチの芸術みせてやれよ!人間の心つかんじゃえよ!」

「やるわけないだろ!?そんなこと、そもそも俺は新しい、飼い主なんて、、」
そう俺は誰かの飼い犬になるつもりなんてないのだ。

「おい!ポチ!一直線にこっちに向かってきてるぞ!急げ急げ!早く!」

「っえ!?ちょっと焦らせんなって!」

「もうくるぞ!早く早く!!」

「ちょっ!もぅ!やってやるよぉー!すげぇーのみせてやっかんなぁ!」
やべぇ早くしないとこっち来るぞ出してるところだけは絶対に見られたくないからな
さっさと書いちまうぞ!って、なんか早歩きでこってきてない!?
見ながら書いてる場合じゃない!感覚だ感覚でいってやる!!うぉおおお!
そしてここら辺に座る!!これでどうだ!!!間に合ったぞ!

なぜか見に来た親子はどこかにそそくさといってしまった。なぜだろう。

「ぷっふぁーっ!おい!それじゃポチのいちもつがめちゃくちゃでかいみたいに見えんぞ!ははっ!!女の子皆ドン引きしてるぞははっ」

自分の真下を見てみたら股間から伸びるように長いしみができていた。おまけといわんばかりに根元には二つの丸ができていた。
めちゃくちゃ恥ずかしい。あの時来ていた隣の檻にいるかわいい子までもが目をそらしている。いや別にその子を意識してるわけではないがシンプルに恥ずかしい!

「いやー笑ったわ~今日はこの辺にして寝て過ごすか~」

「おい!ジェムまだ寝るには早いだろいつもならあと二人くらいは来るはずだ!まだまだ一発芸やってもらうからな!」

「一発芸ってなに!?俺真面目にやってたんだけど!?一発芸だと思われてたの!?」

「いいからやるぞ!俺もやるからジェムもだぞ!ここまで来たら二人で大恥かくぞ!!!」

俺の中でなにかかがはじけた瞬間だった。

「よ、よくわからんがやるか!!おおー!」

そのあと二組が俺たちの檻の前までき、ジェムが初めて娘に洗濯物分けて洗濯してといわれたお父さんの真似をし、ポチは独身アラフォーの夜の泣き真似をし夜を迎えるのであった。


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