3分小説

sudachi

2人部屋

この部屋を決めたのは俺だ。
4月からの新生活に向けて。

都心から数駅しか離れていないのに
この間取りでこの家賃。
しかもオートロック
申し分ない。

おまけに、駅から近いとなれば、文句のつけようが無かった。

この家が俺にとって便利かと言うと、
寧ろ不便になった。
今までは、通勤時間30分だったけど、ここなら1時間半以上かかるだろう。

でも、別にそれでいい。
彼女のためだ、全く問題ない。

彼女と初めて会ったのは、
去年の2月。
雪が降っていて、少し暖まろうと
たまたま入ったカフェに彼女は居た。

恥ずかしながら、一目惚れというやつだ。
結局、その日は話しかけれなかった。
俺は何度もその店に通った。

何度も何度も通ううちに、
お店に来る周期は何となくわかってきた。

よく、友達らしき人と一緒に来ているみたいだが、顔すら覚えていない。
あのお店では、彼女しか見えなかった。

彼女は3人兄弟の真ん中で、
兄と妹がいるらしい。
一人暮らしで、
最近、変な人につけられてる気がするらしい。
いつも夜走って帰るのは、そのためだろう。

たまに、家に一緒に入る男の人が居るが、
彼女のお兄さんかな?

きっと、彼女のストーカー被害を聞いて、
一緒に帰っているのだろう。
優しいお兄さんだ。



これからは、俺が守ってあげるからね。
引っ越しはいつにしようかな。

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