番外編:美術室の幸村さん「とある教師目線」
部活の時間
保健室で幸村と遭遇した同じ日の夕方ごろ。
生徒の皆がそれぞれ部活をしている時間、
俺はパソコンに向かっていた。
次の期末テストの問題を作成している。
どんな引っ掛け問題を入れようかな…?
しかし、少し疲れてきた。ジュースでも買いに行こう。
きりがいいところでイスから立ち上がり、自販機がある2階まで行く。
なにを買おうか。あそこの自販機は飲み物の種類が少ない。
階段を登り廊下に出たとき、奥の方に一人の女子生徒がいた。
幸村だ。
今日はよく会う日だなぁ。
そう思ったのもつかの間、特に用事があるわけでもないし、と自販機がある方へ曲がろうとした。
しかし彼女の様子が少しおかしい。
フラフラと壁に手をつきながら歩いている。そしてその背中は少し寂しそうな雰囲気をまとっている気がした。
声をかけようかかけまいか迷ったが、
「幸村、大丈夫か?」
一応、先生として、声をかけることにした。
動きがピタリ止まり、ゆっくりこちらに振り返る。
その顔はもう、ひどかった…。
大丈夫かこいつ…(汗)
今朝よりも具合が悪そうな顔だった。そんな状態でも部活をしているのか?
そういえば幸村は何部だったっけ?
彼女はそんな俺の思考なんて知らずに、
「…ああ、大丈夫、ですよ…。」
と、またもや力なく微笑む。
いや、絶対大丈夫じゃないだろ。
俺は幸村のところへ向かう。彼女も、それを察してか体をこちらに向き直す。
「お前今朝も保健室にいただろう。もう家に帰って休んだほうがいいんじゃないか?」
別に心配しているフリをして好感を得ようなんて考えていない。俺は純粋に生徒である幸村の体調を心配しているのだ。
「あはは…。まあ、たしかに体調やら色々ヤバイんですけどね…。部活には行きたくて。
どちらにせよ、もうこの時間だと帰りの汽車を待たないといけないですし…。」
喋る声も弱々しい。笑って見せているが、辛そうな表情は浮き出ている。
「そうか…。じゃあ、気をつけて帰れよ、あと今日はしっかり寝ろ。」
しかし俺には何もしてやることはできない。できるとするならば、優しい声かけてやるくらいだ。
そのあと幸村は、
「あはは、そうですね、ありがとうございます。」
とまた弱く笑いながら言い、では、とお辞儀をして去って行った。
あいつはいつも辛さを笑って誤魔化している。無理をしていないといいが。
思うことはあるが、目的地へと引き返す。
ジュースでも奢ってやれば良かっただろうか。
いや、それは少し不平等だ。一人の生徒にジュースを奢るなんて。
しかも女子生徒だ。何かを勘違いされたら困るのだ。
俺は昔から自慢できる顔だと自分でもわかっていた。
でも、そのせいで軽い男だと思われたくは無い。
もちろんイケメンだと言われるのが嬉しく無いわけではない。でもそのせいで言い寄って来る女も沢山いた。
俺が学生の頃、付き合ったとたんそれを自慢げに言いふらし、それが学校中に広まり面倒くさいことになったことを俺は今だ覚えている。
そんな俺から離れていく友達もいた。調子乗っている、と。そんなつもり無いのにだ。
自慢したいだけの関係ならいらない。
向こうの嫉妬基準で崩れる友情なら、いらない。
多分そこからだろうか。俺が冷めた人だと言われだしたのは。
悲劇のヒーローぶる気はない。
むしろあの後のほうが気は楽だった。その代わり一人で抱えることも沢山あったが…。
それもあってか、俺は自分の意見や考えをしっかりと持てるようになったというのもある。
それに関してはありがたいと思っている。
今だに、俺は女子生徒にそういう目で見られるときがある。
なので、生徒全体的に一線を引くようにしている。
それもあってか、陰で面倒くさいなどと言われているそうだが、そんなことどうでもいい。
しかもそう言うやつほど、いざわからない所は無いか?と聞くと勢い良く寄って来るのだ。普段勉強に熱心でも無いのにだ。
その時点で少しばかり矛盾している。
先生である以上、きかれたら教えるが…。
そんな中、幸村はいつも一人外を見ていて。
俺は少しそれが珍しいと思ったのかもしれない。皆に流されず、高校生の割に少し大人びた言葉遣い。いつも感情を表に出さず何を考えているのかわかりにくいが、友達と話しているときの姿は本物の高校生だ。
変なやつ。
だから気になるのか?自分でもこの感覚が何なのかわからない。いや、答えを出したくない、と言ったほうが、ホントは当てはまるんだろうな。
ジュースを見つめながらモクモクと一人考えるのであった。
ーーーーーーーーーーー
ちょっぴり幸村目線
ーーーーーーーーーーー
心の中の幸村。
部活は好きだけど、先輩はやっぱり苦手だな。裏で陰口言ってるのが丸わかりだし。
しかもそれを先生は分かっていても、軽くしか注意できてないし。
唯一の同じ学年の子もバレー部に行っちゃったしなー。
ん?
この声は、槻島先生?
え、いま、さん付け、してなかったよね。。
名字呼び捨てだったよね嬉しい。
え、待って今推しにこの顔見られたくないんだけど…。めっちゃひどい顔してる自覚あるし。体調不良と精神的不安定と疲れで。
いや、声かけてくれたのすっごい嬉しいけどさ…、なんで今なのー。
え、心配してくれてるの?そんなに背中見ただけでも体調悪そうに見えるのかな私。
あちゃー、申し訳ないな、こんな疲れてますみたいな顔見せてしまって…。
先生のほうが普段から忙しいし疲れているだろうに。
とりあえず推しである先生が心配して声までかけてくれたんだ。ありがたき、そして嬉しい。
よし、今日は帰って早く寝よう。
素直に嬉しい幸村さんであった。
生徒の皆がそれぞれ部活をしている時間、
俺はパソコンに向かっていた。
次の期末テストの問題を作成している。
どんな引っ掛け問題を入れようかな…?
しかし、少し疲れてきた。ジュースでも買いに行こう。
きりがいいところでイスから立ち上がり、自販機がある2階まで行く。
なにを買おうか。あそこの自販機は飲み物の種類が少ない。
階段を登り廊下に出たとき、奥の方に一人の女子生徒がいた。
幸村だ。
今日はよく会う日だなぁ。
そう思ったのもつかの間、特に用事があるわけでもないし、と自販機がある方へ曲がろうとした。
しかし彼女の様子が少しおかしい。
フラフラと壁に手をつきながら歩いている。そしてその背中は少し寂しそうな雰囲気をまとっている気がした。
声をかけようかかけまいか迷ったが、
「幸村、大丈夫か?」
一応、先生として、声をかけることにした。
動きがピタリ止まり、ゆっくりこちらに振り返る。
その顔はもう、ひどかった…。
大丈夫かこいつ…(汗)
今朝よりも具合が悪そうな顔だった。そんな状態でも部活をしているのか?
そういえば幸村は何部だったっけ?
彼女はそんな俺の思考なんて知らずに、
「…ああ、大丈夫、ですよ…。」
と、またもや力なく微笑む。
いや、絶対大丈夫じゃないだろ。
俺は幸村のところへ向かう。彼女も、それを察してか体をこちらに向き直す。
「お前今朝も保健室にいただろう。もう家に帰って休んだほうがいいんじゃないか?」
別に心配しているフリをして好感を得ようなんて考えていない。俺は純粋に生徒である幸村の体調を心配しているのだ。
「あはは…。まあ、たしかに体調やら色々ヤバイんですけどね…。部活には行きたくて。
どちらにせよ、もうこの時間だと帰りの汽車を待たないといけないですし…。」
喋る声も弱々しい。笑って見せているが、辛そうな表情は浮き出ている。
「そうか…。じゃあ、気をつけて帰れよ、あと今日はしっかり寝ろ。」
しかし俺には何もしてやることはできない。できるとするならば、優しい声かけてやるくらいだ。
そのあと幸村は、
「あはは、そうですね、ありがとうございます。」
とまた弱く笑いながら言い、では、とお辞儀をして去って行った。
あいつはいつも辛さを笑って誤魔化している。無理をしていないといいが。
思うことはあるが、目的地へと引き返す。
ジュースでも奢ってやれば良かっただろうか。
いや、それは少し不平等だ。一人の生徒にジュースを奢るなんて。
しかも女子生徒だ。何かを勘違いされたら困るのだ。
俺は昔から自慢できる顔だと自分でもわかっていた。
でも、そのせいで軽い男だと思われたくは無い。
もちろんイケメンだと言われるのが嬉しく無いわけではない。でもそのせいで言い寄って来る女も沢山いた。
俺が学生の頃、付き合ったとたんそれを自慢げに言いふらし、それが学校中に広まり面倒くさいことになったことを俺は今だ覚えている。
そんな俺から離れていく友達もいた。調子乗っている、と。そんなつもり無いのにだ。
自慢したいだけの関係ならいらない。
向こうの嫉妬基準で崩れる友情なら、いらない。
多分そこからだろうか。俺が冷めた人だと言われだしたのは。
悲劇のヒーローぶる気はない。
むしろあの後のほうが気は楽だった。その代わり一人で抱えることも沢山あったが…。
それもあってか、俺は自分の意見や考えをしっかりと持てるようになったというのもある。
それに関してはありがたいと思っている。
今だに、俺は女子生徒にそういう目で見られるときがある。
なので、生徒全体的に一線を引くようにしている。
それもあってか、陰で面倒くさいなどと言われているそうだが、そんなことどうでもいい。
しかもそう言うやつほど、いざわからない所は無いか?と聞くと勢い良く寄って来るのだ。普段勉強に熱心でも無いのにだ。
その時点で少しばかり矛盾している。
先生である以上、きかれたら教えるが…。
そんな中、幸村はいつも一人外を見ていて。
俺は少しそれが珍しいと思ったのかもしれない。皆に流されず、高校生の割に少し大人びた言葉遣い。いつも感情を表に出さず何を考えているのかわかりにくいが、友達と話しているときの姿は本物の高校生だ。
変なやつ。
だから気になるのか?自分でもこの感覚が何なのかわからない。いや、答えを出したくない、と言ったほうが、ホントは当てはまるんだろうな。
ジュースを見つめながらモクモクと一人考えるのであった。
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ちょっぴり幸村目線
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心の中の幸村。
部活は好きだけど、先輩はやっぱり苦手だな。裏で陰口言ってるのが丸わかりだし。
しかもそれを先生は分かっていても、軽くしか注意できてないし。
唯一の同じ学年の子もバレー部に行っちゃったしなー。
ん?
この声は、槻島先生?
え、いま、さん付け、してなかったよね。。
名字呼び捨てだったよね嬉しい。
え、待って今推しにこの顔見られたくないんだけど…。めっちゃひどい顔してる自覚あるし。体調不良と精神的不安定と疲れで。
いや、声かけてくれたのすっごい嬉しいけどさ…、なんで今なのー。
え、心配してくれてるの?そんなに背中見ただけでも体調悪そうに見えるのかな私。
あちゃー、申し訳ないな、こんな疲れてますみたいな顔見せてしまって…。
先生のほうが普段から忙しいし疲れているだろうに。
とりあえず推しである先生が心配して声までかけてくれたんだ。ありがたき、そして嬉しい。
よし、今日は帰って早く寝よう。
素直に嬉しい幸村さんであった。
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