美術室の幸村さん

紡灯時園

いつの間にか部長になってました。

「あ、明日からワタシ部活こんけ〜。」
え?
「あ、はい。」
時は5月下旬、突如先輩にそう言われた。
そう……引退だ…!!
  


まずここまでの美術部を振り返ってみよう。
去年の4月下旬ごろだろうか。
私、幸村彩雲(ゆきむら さくも)は美術部に入部した。一番の理由は土日祝日が休みだからだ。
他にも上げるとするのなら、
一応部活に入っておきたい、
絵を描くのは嫌いではない、
できれば人が少ないところがいい、という感じだ。
要するになんとなく入ったに過ぎない。

その頃は3年の先輩が二人。二年の先輩が二人。そして一年が一人と、私。
合計6人だった。

3年の先輩は文化部だけの発表会、というイベントが終わるとすぐに引退した。たしか6月ごろだっただろうか。
しかも同じ頃、私ともう一人の一年はバレー部のマネージャーをしたいと言って退部してしまったのだ…。

その時点で半減し部員3人。

そこから2年の先輩はほぼ毎日部活をサボる。私は永遠とスケッチブックに絵を描く。

別に一人が寂しいとは思わない。先輩はあまり好きでも無かったので、サボってくれる方がありがたかった。

かれこれそのまま私も2年になり、先輩も3年になった。

今年はいろんな理由が重なり引退イベントもないまま、先輩Aはああ言った。


そして現在にいたる。

そして一週間後。
ホントに来なくなった先輩A。
もう一人はというと、黒板に1つのメッセージ
「いままでありがとう♡」
。。。
…つまりこれはもう来ないということか??

先輩Bもいつの間にか来なくなっていた。

………………

え、私、部長…?

一人椅子に座り、広い美術室を眺める。
今日は先生がいない日だ。
いつも先輩たちがサボっていたので、この空間には慣れているはずなのに

なぜだろう、すっごく寂しい…。

せめて誰か一人でもいればいいのに。
新入部員はというと、実は一人も入ってくれていない。

え、ガチで廃部危機やんけ。

さて、どうする新部長。

つづく。

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