僕のシリウス
アルファルド
フワリと優しい風が香る。
それはまるで、古本のように芳ばしさにインクのようなツンとした匂いが混じった香りだ。
僕にはなぜかその香りに優しい懐かしさを覚えた。
鼻をくすぐるたびに心臓が言うことを聞かなくなり、身体には熱を帯びる。
僕はその香りを纏った少女に視線を奪われ足が動かなくなっていた。
おかしい、おかしいじゃないか。
初めて出会う彼女にこんな事。
ありえない、ありえるはずがない。
それだけ頭で考えたって身体の異常は治ることはなく、むしろ意識したことにより変な汗まで出てきた。
最悪だ。
目を奪われ見つめてしまったせいで、彼女がこちらを見た際にノータイムで目があってしまった。
顔が真っ赤に熱ってしまうのが自分でわかった。
あぁどうしよう。何か言わないと。
彼女の夜空の様に漆黒の長い髪はふわりふわりと風に煽られ揺れ、メガネのレンズ越しの瞳はキラキラと一番星の様に輝いていた。
「や、やあ。はじめまして」
彼女は驚いた表情をしたのち、柔らかく優しく笑う。
その表情はどこか悲しげにみえた。
「そりゃ……そ、、、な……。」
ボソリと何か呟いたのち数回頬を掻き僕を強く見据える。
「何年せ……」
「私は進藤星奈。転校生だ。学年はそうだな……君と同じ二年生と言った所じゃないか?」
淡々と続く言葉に思わず聞き入ってしまう。
女性にしては低い声に混じる可愛らしい高い声。
少し男っぽい話し方にはギャップを感じてしまい心臓が高鳴ってしまう。
巷で聞くギャップ萌えも、なんだか分かる気がした。
返事もせずにそんな事をグルグルと考え、彼女の声を初めて聞けたと言う事にしか意識が言ってなかった僕はハッとし返事を考える。
ゆっくりと噛み砕き、咀嚼し、飲み下す。
名前は進藤星奈。
転向してきたばっかで、学年は僕と同じ……ぼくとおなじ?
「なんで僕の学年を……?」
彼女は短く息を吐き視線を巡らせ一歩近づく。
古本の様な優しい香りが強くなる。
ああ、どうしよう。
クラクラして呼吸がし辛い。
逃げてしまいたい。
小さく笑い彼女は僕の胸元に手をやる。
コツン、と小さい音がし身体に軽い振動が伝わる。
彼女を見ていられなくなり視線を落とせばその小さな手は僕のネームプレートを突いていた。
「こ、こ」
もう少しで触れてしまえそうな距離に近づいた彼女に上目遣いで見つめられ、小さな唇が短く揺れ音を紡ぐ。
もう僕は唇にしか目が行かなくなり、思わず彼女の肩を掴み身体を引き剥がす。
その時肩に触れてしまっている自分に気づき声にならない声を出し、しゃがみ込む。
彼女の柔らかい身体に触れてしまった。
「~~~~~っ!」
顔を隠してしまったせいで顔は見えないが彼女はきっと驚いた顔をしているだろう。
「くっ、はは、」
堪えた様な笑い声が聞こえ顔を腕の隙間から覗かせれば、楽しそうに笑う表情が眼前に見えた。
せっかく笑ってる顔が見れたのに。こんなの……。
涙ぐみそうになるのを我慢していると、少し低い柔らかい声が耳をくすぐった。
「よろしくな!駆。」
これが星奈ちゃんとの出会いだった。
それはまるで、古本のように芳ばしさにインクのようなツンとした匂いが混じった香りだ。
僕にはなぜかその香りに優しい懐かしさを覚えた。
鼻をくすぐるたびに心臓が言うことを聞かなくなり、身体には熱を帯びる。
僕はその香りを纏った少女に視線を奪われ足が動かなくなっていた。
おかしい、おかしいじゃないか。
初めて出会う彼女にこんな事。
ありえない、ありえるはずがない。
それだけ頭で考えたって身体の異常は治ることはなく、むしろ意識したことにより変な汗まで出てきた。
最悪だ。
目を奪われ見つめてしまったせいで、彼女がこちらを見た際にノータイムで目があってしまった。
顔が真っ赤に熱ってしまうのが自分でわかった。
あぁどうしよう。何か言わないと。
彼女の夜空の様に漆黒の長い髪はふわりふわりと風に煽られ揺れ、メガネのレンズ越しの瞳はキラキラと一番星の様に輝いていた。
「や、やあ。はじめまして」
彼女は驚いた表情をしたのち、柔らかく優しく笑う。
その表情はどこか悲しげにみえた。
「そりゃ……そ、、、な……。」
ボソリと何か呟いたのち数回頬を掻き僕を強く見据える。
「何年せ……」
「私は進藤星奈。転校生だ。学年はそうだな……君と同じ二年生と言った所じゃないか?」
淡々と続く言葉に思わず聞き入ってしまう。
女性にしては低い声に混じる可愛らしい高い声。
少し男っぽい話し方にはギャップを感じてしまい心臓が高鳴ってしまう。
巷で聞くギャップ萌えも、なんだか分かる気がした。
返事もせずにそんな事をグルグルと考え、彼女の声を初めて聞けたと言う事にしか意識が言ってなかった僕はハッとし返事を考える。
ゆっくりと噛み砕き、咀嚼し、飲み下す。
名前は進藤星奈。
転向してきたばっかで、学年は僕と同じ……ぼくとおなじ?
「なんで僕の学年を……?」
彼女は短く息を吐き視線を巡らせ一歩近づく。
古本の様な優しい香りが強くなる。
ああ、どうしよう。
クラクラして呼吸がし辛い。
逃げてしまいたい。
小さく笑い彼女は僕の胸元に手をやる。
コツン、と小さい音がし身体に軽い振動が伝わる。
彼女を見ていられなくなり視線を落とせばその小さな手は僕のネームプレートを突いていた。
「こ、こ」
もう少しで触れてしまえそうな距離に近づいた彼女に上目遣いで見つめられ、小さな唇が短く揺れ音を紡ぐ。
もう僕は唇にしか目が行かなくなり、思わず彼女の肩を掴み身体を引き剥がす。
その時肩に触れてしまっている自分に気づき声にならない声を出し、しゃがみ込む。
彼女の柔らかい身体に触れてしまった。
「~~~~~っ!」
顔を隠してしまったせいで顔は見えないが彼女はきっと驚いた顔をしているだろう。
「くっ、はは、」
堪えた様な笑い声が聞こえ顔を腕の隙間から覗かせれば、楽しそうに笑う表情が眼前に見えた。
せっかく笑ってる顔が見れたのに。こんなの……。
涙ぐみそうになるのを我慢していると、少し低い柔らかい声が耳をくすぐった。
「よろしくな!駆。」
これが星奈ちゃんとの出会いだった。
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