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景空

第1話

刀を振るいグリズリーのような巨獣を一刀両断する
男は刃をおさめつぶやく
「10年か・・・」

10年前のあの日、繁栄を極めたかのようであった世界は突然その礎を失った
エネルギー変換の上限の発生
言葉にすればその一言であった
エネルギー自体は発生する、しかしそれが別の形態のエネルギーに変換されない。正確に言えばある一定の量を超えては変換されない。
それだけで近代文明はすべてを喪った
通信・移動・生産、すべてが巨大なエネルギーに依存していた世界
そこに突然訪れたカタストロフィーであった
さらに追い討ちを掛けるように現れた怪物たち
それらの怪物達はその強大な力と不死の肉体をもって無慈悲なまでに人を襲い蹴散らしそして喰らった
大型火器はエネルギー変換の障害により使用不可、かろうじて使用可能な携帯兵器類はそれらに無力であった
いや、大型火器が使用可能であってもはたして有効であったかどうか・・・
通信インフラさえ稼動できない人類は組織的な抵抗もできず逃げ惑うのみであった
これはそんな絶望の中で必死に生き延びようとする人々の物語

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