以心伝心

うみかぜ

第十一話 協力者

『ピンポーン』とインターホンがなった。
由美が「はーい」とインターホンに出る。
「夜上仁人さんはいらっしゃいますか?」
「いませんよ?」

由美は気を利かせ、仁人がここにいるということを隠蔽しようとした。
「嘘をつかないでください。こちらは全部分かっているのです。今、夜上仁人さんがここにいるのも、夜上仁人さんが未来から来たことも。」
「!?」
二人とも息を殺して驚いた。
「安心してください。脅しに来た訳ではありません。むしろ、あなた達のサポートをしたのです。」
まだ、状況を理解できてない二人だが、ひとまず、その人と話をする事にした。
由美が玄関に出ようとする。しかし、それを仁人が止めた。
「待ってください。ここは俺が行きます。どんな危険があるか分かりません。それに相手は俺の名前しか知らなかった。」
一瞬迷った由美だが、
「分かった……。」
由美は一旦下がった。仁人が玄関に向かう。
ドアに手を当て、ゆっくりと重たいドアを開く。
そこには、女性にしては長身。背はすらーと高く、ロング黒髪がその味を出している。見た目は、高校生から大学生くらい。美人だった。
「夜上仁人さんですね。」
「なるほど。容姿までバレバレって事か……。俺はあなたの事を一切見た記憶がないのだけど、何故?」
「そんなの玄関でする話じゃないでしょ?」
と由美が割って入ってきた。
「え?みーさん。中にいてって言ったのに。」
「気になるから来ちゃった。やっぱり、私も気になるし。上がっていいですよ。」
「ありがとうございます。」
由美は謎の女性を部屋に上げた。

皆が席につくと、
「申し遅れました。私、高瀬 美沙たかせみさと申します。」

「それで、高瀬さん。俺に何の用事が?」
単刀直入に聞く、仁人。すると準備していたかのように、すぐに返事が返ってきた。
「直也くんを救いにきました。」
「!?」
驚きを隠せない、仁人と由美。
「ということは……未来から来たと、そういうことですか?」
由美は気になり、仁人より早く話を進めた。
「もちろんです。」
「ちなみに年齢は?」
「17歳です。」
「俺と同い年か……。」
仁人がタイムリープできるなら、ほかにもできる人がいても、確かにおかしくはない。今頃、そう思った。

「彼を助けてあげましょう。この3人で。」
「まだ、よく分からないけど、目的は同じみたいだしとりあえず、同盟って事で。」

仁人と由美は助っ人を手に入れた。

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