以心伝心
第五話 呼び名
仁人は落ち着かないでいた。それは女子大生の一人暮らしの部屋に入り込んでしまったからだ。
「あのー。俺なんて知らない人、部屋に入れちゃって大丈夫だったんですか?」
「大丈夫でしょ。だって君より、私の方が強そうだし。」
悔しい。悔しくて堪らないが、その通りだと唇を噛み締めた。
「あっ、そう言えば、名前言ってなかったね。私は朝倉 由美。よろしくー!」
「夜上仁人です。」
「仁人ね!」
「いきなり名前呼びですか。馴れ馴れしいですね。」
「だって、夜上って言いづらいじゃん?それとも夜上って呼ばれたい?」
「仁人でいいです。」
「おっけー!」
この人と会話する時は絶対、無駄口は挟まない方がいいと今更ながら思った。
「俺はなんて呼びましょう?」
「朝倉の方が長いし、由美でいいよ。」
「下の名前でいいんですか?」
「何ー?下の名前呼ぶの恥ずかしい?」
「そんな事ないですよ。ゆ、ゆ、ゆ……。」
「アッハハハ。じゃあ、昔から『みーちゃん』って呼ばれてるから、それでいいよ。」
「『ゆーさん』ではないんですね。」
「『ゆー』だと結構被る人が多くてさ、だから『みー』」
「なるほど。じゃあ、みーさん……。」
「おっけー!」
話が落ち着いたところで、作業を再開し、気づけば夕方になっていた。
「よーし、終わった。お疲れ様!」
「はい……。無事終わってよかった……。」
入院生活をしていた仁人からすると、かなり体力を使うものだった。しかし、仁人は体そのものというより、精神的なものから体に影響が出たという方が正しいので、動くは問題はない。
「じゃあ、俺はそろそろ、この辺で帰ります。」
「おっけー!」
「ん?帰る?」
帰ると行っても、どこへ……。行く場所がないことに気づいてしまった。
「言いづらいですが、帰る場所がなかったです。」
「アッハハハ。確かに未来から来たなら帰る場所なんてないもんね。じゃあ、うちに泊まる?」
「ええ!?」
「だってそれしかないじゃない?」
確かに、野宿なんて絶対したくないし、今は由美に頼るしかなかった。
「みーさん。お言葉に甘えていいですか?」
「おっけー!」
「ありがとうございます!」
仁人はひとまず、寝床を確保した。
「じゃあ、ご飯作るね。」
と言ってしばらく。カレーライスが出てきた。
「ごめんね。まだ、こんなものしか作れないけど。」
「いやいや!十分です。」
少し煮込んだだけなのに、お肉がとろけそうだ。カレーが輝いて見えた。
しかし、
『やばいな。薬が……。』
仁人の症状はストレスが胃にきてしまい、食欲がない、食べられない。という事があり、完全に薬に頼っていた。しかし、薬は未来に置いてきてしまった。
「ごめんなさい。とても美味しいのですが、薬を飲まないとまともに食事ができないんです。」
「そうなの?大丈夫?」
「大丈夫です。また食べれそうな時に食べるので、これ、冷蔵庫にしまっておきます。」
「分かった。」
ほとんど食べなかったカレーを、申し訳なさそうにラップをし、カラカラの冷蔵庫に入れた。
「あのー。俺なんて知らない人、部屋に入れちゃって大丈夫だったんですか?」
「大丈夫でしょ。だって君より、私の方が強そうだし。」
悔しい。悔しくて堪らないが、その通りだと唇を噛み締めた。
「あっ、そう言えば、名前言ってなかったね。私は朝倉 由美。よろしくー!」
「夜上仁人です。」
「仁人ね!」
「いきなり名前呼びですか。馴れ馴れしいですね。」
「だって、夜上って言いづらいじゃん?それとも夜上って呼ばれたい?」
「仁人でいいです。」
「おっけー!」
この人と会話する時は絶対、無駄口は挟まない方がいいと今更ながら思った。
「俺はなんて呼びましょう?」
「朝倉の方が長いし、由美でいいよ。」
「下の名前でいいんですか?」
「何ー?下の名前呼ぶの恥ずかしい?」
「そんな事ないですよ。ゆ、ゆ、ゆ……。」
「アッハハハ。じゃあ、昔から『みーちゃん』って呼ばれてるから、それでいいよ。」
「『ゆーさん』ではないんですね。」
「『ゆー』だと結構被る人が多くてさ、だから『みー』」
「なるほど。じゃあ、みーさん……。」
「おっけー!」
話が落ち着いたところで、作業を再開し、気づけば夕方になっていた。
「よーし、終わった。お疲れ様!」
「はい……。無事終わってよかった……。」
入院生活をしていた仁人からすると、かなり体力を使うものだった。しかし、仁人は体そのものというより、精神的なものから体に影響が出たという方が正しいので、動くは問題はない。
「じゃあ、俺はそろそろ、この辺で帰ります。」
「おっけー!」
「ん?帰る?」
帰ると行っても、どこへ……。行く場所がないことに気づいてしまった。
「言いづらいですが、帰る場所がなかったです。」
「アッハハハ。確かに未来から来たなら帰る場所なんてないもんね。じゃあ、うちに泊まる?」
「ええ!?」
「だってそれしかないじゃない?」
確かに、野宿なんて絶対したくないし、今は由美に頼るしかなかった。
「みーさん。お言葉に甘えていいですか?」
「おっけー!」
「ありがとうございます!」
仁人はひとまず、寝床を確保した。
「じゃあ、ご飯作るね。」
と言ってしばらく。カレーライスが出てきた。
「ごめんね。まだ、こんなものしか作れないけど。」
「いやいや!十分です。」
少し煮込んだだけなのに、お肉がとろけそうだ。カレーが輝いて見えた。
しかし、
『やばいな。薬が……。』
仁人の症状はストレスが胃にきてしまい、食欲がない、食べられない。という事があり、完全に薬に頼っていた。しかし、薬は未来に置いてきてしまった。
「ごめんなさい。とても美味しいのですが、薬を飲まないとまともに食事ができないんです。」
「そうなの?大丈夫?」
「大丈夫です。また食べれそうな時に食べるので、これ、冷蔵庫にしまっておきます。」
「分かった。」
ほとんど食べなかったカレーを、申し訳なさそうにラップをし、カラカラの冷蔵庫に入れた。
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