アラフォー社畜のゴーレムマスター
第三十二話 目指すべきもの
「タケシ・マツダと申します。お名前を伺っても?」
「ああ、ハーレプスト・ワイトだよ。君が噂の鍛冶師を志すエルフ君か」
いたずらっぽい瞳の輝きがドルロイと違う。
顔は似ていても性格はかなり異なる兄弟のようだ。
「――――そんなにエルフが鍛冶師を志すのはおかしいでしょうか?」
ハーレプストは愉快そうに腹を揺らして笑った。
声にこそ出していないが、ドルロイとリンダも口を押さえて笑いをこらえているところを見ると、本気でおかしいことのようであった。
「そもそもエルフという種族は自然のものを加工するのを嫌がるからね。生活必需品ですら魔法で補いがつくならそちらを選択するよ」
だからエルフは魔法技術が突出して進んでいるのだが、反面生活レベルはひどく原始的で、錬金術や鍛冶の技術に乏しい。
「それに連中は火が嫌いなんだ。特に鍛冶の火がね」
そのあたりの線引きが非常に独善的で、自然を大事にする割には戦争で自然破壊をするのは問題なかったり、火の精霊とは仲良かったりするので、エルフは付き合いにくいと思われるようだ。
外見だけは松田もエルフなので、当然そういうものだと思われたようであった。
「連中ときたら火釜を見ただけで吐きそうな顔しやがるからな。そのくせ見栄えのいい秘宝は欲しがりやがる。すました顔しやがって、いらつく種族だぜ!」
うっ憤が溜まっていたらしく、思わず不満を口にしてしまったドルロイは慌ててパタパタと右手を振った。
「ああ、マツダのことを言ってるわけじゃないぜ? お前はゴーレムを使うし鍛冶にも嫌な顔をしなかったからな!」
「ええ、気にしてませんよ」
「――――本当に珍しいエルフだな。もしかしてはぐれかい?」
「おい! ハーレプスト、てめえ!」
横からドルロイが激高してハーレプストの胸倉をつかみあげた。
「そのはぐれっていうのはなんです?」
「やっぱりしらなかったか。基本的にエルフ社会は閉鎖社会で、連帯が強い代わりに身内でない者には同族であろうと差別的なのさ。なんらかの理由で、エルフ社会の外で育ったエルフを彼らははぐれと呼んでるんだよね」
「なるほど、そういう意味では確かに私ははぐれなのでしょうね」
厳密にはこの世界で育ってすらいないのだが。
「――――なんというか、本当に規格外な奴だな、お前は」
激怒されても仕方ないと覚悟していたドルロイは、拍子抜けしたようにどっかりと椅子に腰を落として言った。
「まっとうなエルフなら、はぐれ、なんて言葉を聞いた日には決闘騒ぎになるぞ? 連中にとっては獣と言われたに等しい言葉だからな」
「私にとっては今日初めて聞いた言葉ですからね」
「――――なるほど、これは面白い!」
そう言ってハーレプストは松田の肩を叩き、からからと笑った。
「僕も君に興味が湧いてきたよ。爺いたちには悪いけど、こっちのほうが面白そうだ」
「余計な口を挟むな! こいつは俺の弟子なんじゃからな!」
「いいのかい? 秘密が爺いにばれるかどうかは僕の胸三寸なんだよ?」
「ぐぬぬ…………」
ドルロイは歯噛みする。
間違っても緋緋色鉄のことを元老たちに知られるわけにはいかなかった。
そうなればドルロイが自由に研究することなどできるはずがない。
仮にドルロイがドワーフ評議会を脱退したとしても、全力をあげて圧力をかけてくるはずであった。
ドワーフにとって緋緋色鉄とはそれほどの意味を持っているのだ。
「――――何か秘密があるんですか?」
「とりあえずお前は黙っとれ!」
どうにかして兄の目を欺いたものか。あるいはそのためには松田に注意を向けさせるのもアリかもしれない。
鍛冶師の腕では負ける気は毛頭ないが、錬金術師の腕では口惜しいことに兄のほうがやや勝る。
ゴーレムを使う松田とは相性がいいはずだった。
「ねえ君、いったいどうしてまたこんなむさい男に弟子入りしようなんて思ったんだい?」
好奇心満々でハーレプストは松田に尋ねた。
「はあ…………この通り身寄りもありませんし、ゴーレムを強化するのに鍛冶と錬金を教えていただこうと思いまして」
「ゴーレム? 君、ゴーレムを使うの?」
「えっ? ええ、私の唯一の取柄みたいなもんですから――召喚、ゴーレム!」
たちまちのうちにゴーレムを造り上げると、今度はハーレプストよりもドルロイのほうが驚いて息を呑んだ。
「こりゃあ…………俺が渡したミスリルのレシピを使いやがったのか!」
「拙いものではございますが」
コンコン、と指でゴーレムの鎧を叩き、その錬成具合を確認すると、ドルロイは深刻そうな顔で何度も何度も見つめなおした。
「信じられん。あのレシピだけでここまで再現させやがるとは……おい、お前本当にどこかで師事したことはねえのか?」
「ありませんよ! そもそもゴーレムを使えるようになったのだって、ついこの間のことなんですから!」
「――――なんだと?」
『主様! それはしゃべりすぎです!』
血相を変えたディアナの声に、松田は自分がかなりまずい発言をしてしまったことを理解した。
「冗談でしょ? こんなレベルのゴーレム、僕だってしばらくぶりに見るよ? マイナーで使う魔法士も限られるしね」
「そうだ。それにまだまだなっちゃいねえが、いくらなんでもレシピだけでここまで再現するのは尋常じゃないぞ!」
『…………そういえば主様、四十階層を出る前にレベルアップしてましたよね?』
何かを諦めたような冷たいディアナの声に、松田もたらりとこめかみから冷汗を流した。
そういえばあのときはゆっくり確認している余裕がなかった。
(世界の理に拠りて万物の始原をこの目に。情報開示)
松田毅 性別男 年齢十八歳 レベル3
種族 エルフ
称号 ゴーレムマスター
属性 土
スキル ゴーレムマスター表(ゴーレムを操る消費魔力が百分の一) 秘宝支配(あらゆるアーティファクトを使用可能) 並列思考レベル3(三百体のゴーレムを同時制御することができる) ゴーレムマスター裏(土魔法の習得速度三倍の代わりに土魔法以外の魔法が使用できなくなる) 錬金術レベル1(素材なしに魔力から錬金した物質を維持する消費魔力十分の一 位階中級まで)錬金術レベル2(レシピ理解、レシピさえあればなんでも再現できる。ただし性能はワンランク落ちる。位階中級まで)
『さすがにここまで壊れ性能だとは…………』
(いかんのか?)
『レシピだけで再現できるならこの世界の錬金術師は廃業ですよ』
松田が先週ミスリルゴーレムをした時点では、おそらくはそれはただのなんの変哲もないミスリルであったろう。
ところが今のミスリルゴーレムは違う。
正確にはドルロイが、独自の加工を施したミスリルを再現してしまっている。
もちろんドルロイが造る本物よりはワンランクどころかツーランクは劣化しているが、独自技術を再現してしまったのは間違いない。
少なくともディアナの知る限り、そんな錬金術は存在しない。
ドルロイが驚愕するのはむしろ当然であった。
「…………僕は恐ろしくなってきたよ。君はその力で何をしようとしているのかな?」
もしかしたら松田は、現在ドワーフのなかで五本の指に入るドルロイの技術を統べて受け継いでしまうかもしれない。
最初はドルロイの気まぐれでエルフの面倒を見るくらいにしか思っていなかったが、松田が五槌を継承するとなるとこれは大問題だ。
場合によってはドルロイの怒りを買っても、ここで松田を止めなくてはならないかもしれなかった。
「ああ、それなんですけど――――できる限り人間にそっくりなゴーレムを造るにはどうすればいいですかね?」
「んんん? 今君すごくいいことを言ったね。もう一度言ってごらん?」
「おいおい、マツダ、貴様もこの馬鹿と同じ趣味か?」
「私がハーレプストさんと?」
もしかしてハーレプストも絢爛たる七つの秘宝の主なのか、と思わず松田は目を丸くした。
「貴様も人形が人間より好きなのかと言っておるのだ!」
「人形はいいよ? 人形はいい……永久に変わらない。不平不満もなく静止した不変の美しさを持つ彼女たちこそが至高の美さ」
なるほど、ハーレプストはそういう趣味の人であったか。
確かに松田のいた日本でも、フィギュアに命を懸ける特殊な男たちは多数存在したものだ。
白磁人形や市松人形のコレクターもいたが、松田の求めているものはそこにはない。
「いいえ、私が申し上げているのは、感情や生命活動も含めて可能な限り人間に近づかせたいのです」
松田の言葉が本気であることを見てとったドルロイとハーレプストは互いに顔を見合わせた。
「それは…………新しい種族を生み出すことと変わらんぞ?」
「錬金術の到達する究極の境地――人造人間に君は挑むというのだね」
これはしてやられた、とドルロイは笑った。
まるで子供のころ、「僕は世界で一番の工匠になるんだ!」と気勢をあげた自分を見たような気恥ずかしさがある。
だがそれが決して不愉快ではなかった。
そしてハーレプストも、人形師などと呼ばれ内心で自惚れていた自分に忸怩たるものを覚えずにはいられなかった。
まだまだ人形たちには新たな美の境地があったはずなのだ。
期せずにて二人の兄弟は松田に問いかける。
「――――貴様の造るゴーレムの外見は?」
「とりあえずスレンダー貧乳で」
「ならばよし!」
「それもよし!」
男たちはわかりあった。よくわからないが、熱いものでわかりあったのだ。
「おう、男ども、てめえら命はいらねえんだな?」
『主様! 私はまだ認めたわけではありませんよ~~~~!』
リンダの鉄拳制裁を食らい、松田たち三人は這う這うの体で店の外へと蹴りだされたのであった。
「ああ、ハーレプスト・ワイトだよ。君が噂の鍛冶師を志すエルフ君か」
いたずらっぽい瞳の輝きがドルロイと違う。
顔は似ていても性格はかなり異なる兄弟のようだ。
「――――そんなにエルフが鍛冶師を志すのはおかしいでしょうか?」
ハーレプストは愉快そうに腹を揺らして笑った。
声にこそ出していないが、ドルロイとリンダも口を押さえて笑いをこらえているところを見ると、本気でおかしいことのようであった。
「そもそもエルフという種族は自然のものを加工するのを嫌がるからね。生活必需品ですら魔法で補いがつくならそちらを選択するよ」
だからエルフは魔法技術が突出して進んでいるのだが、反面生活レベルはひどく原始的で、錬金術や鍛冶の技術に乏しい。
「それに連中は火が嫌いなんだ。特に鍛冶の火がね」
そのあたりの線引きが非常に独善的で、自然を大事にする割には戦争で自然破壊をするのは問題なかったり、火の精霊とは仲良かったりするので、エルフは付き合いにくいと思われるようだ。
外見だけは松田もエルフなので、当然そういうものだと思われたようであった。
「連中ときたら火釜を見ただけで吐きそうな顔しやがるからな。そのくせ見栄えのいい秘宝は欲しがりやがる。すました顔しやがって、いらつく種族だぜ!」
うっ憤が溜まっていたらしく、思わず不満を口にしてしまったドルロイは慌ててパタパタと右手を振った。
「ああ、マツダのことを言ってるわけじゃないぜ? お前はゴーレムを使うし鍛冶にも嫌な顔をしなかったからな!」
「ええ、気にしてませんよ」
「――――本当に珍しいエルフだな。もしかしてはぐれかい?」
「おい! ハーレプスト、てめえ!」
横からドルロイが激高してハーレプストの胸倉をつかみあげた。
「そのはぐれっていうのはなんです?」
「やっぱりしらなかったか。基本的にエルフ社会は閉鎖社会で、連帯が強い代わりに身内でない者には同族であろうと差別的なのさ。なんらかの理由で、エルフ社会の外で育ったエルフを彼らははぐれと呼んでるんだよね」
「なるほど、そういう意味では確かに私ははぐれなのでしょうね」
厳密にはこの世界で育ってすらいないのだが。
「――――なんというか、本当に規格外な奴だな、お前は」
激怒されても仕方ないと覚悟していたドルロイは、拍子抜けしたようにどっかりと椅子に腰を落として言った。
「まっとうなエルフなら、はぐれ、なんて言葉を聞いた日には決闘騒ぎになるぞ? 連中にとっては獣と言われたに等しい言葉だからな」
「私にとっては今日初めて聞いた言葉ですからね」
「――――なるほど、これは面白い!」
そう言ってハーレプストは松田の肩を叩き、からからと笑った。
「僕も君に興味が湧いてきたよ。爺いたちには悪いけど、こっちのほうが面白そうだ」
「余計な口を挟むな! こいつは俺の弟子なんじゃからな!」
「いいのかい? 秘密が爺いにばれるかどうかは僕の胸三寸なんだよ?」
「ぐぬぬ…………」
ドルロイは歯噛みする。
間違っても緋緋色鉄のことを元老たちに知られるわけにはいかなかった。
そうなればドルロイが自由に研究することなどできるはずがない。
仮にドルロイがドワーフ評議会を脱退したとしても、全力をあげて圧力をかけてくるはずであった。
ドワーフにとって緋緋色鉄とはそれほどの意味を持っているのだ。
「――――何か秘密があるんですか?」
「とりあえずお前は黙っとれ!」
どうにかして兄の目を欺いたものか。あるいはそのためには松田に注意を向けさせるのもアリかもしれない。
鍛冶師の腕では負ける気は毛頭ないが、錬金術師の腕では口惜しいことに兄のほうがやや勝る。
ゴーレムを使う松田とは相性がいいはずだった。
「ねえ君、いったいどうしてまたこんなむさい男に弟子入りしようなんて思ったんだい?」
好奇心満々でハーレプストは松田に尋ねた。
「はあ…………この通り身寄りもありませんし、ゴーレムを強化するのに鍛冶と錬金を教えていただこうと思いまして」
「ゴーレム? 君、ゴーレムを使うの?」
「えっ? ええ、私の唯一の取柄みたいなもんですから――召喚、ゴーレム!」
たちまちのうちにゴーレムを造り上げると、今度はハーレプストよりもドルロイのほうが驚いて息を呑んだ。
「こりゃあ…………俺が渡したミスリルのレシピを使いやがったのか!」
「拙いものではございますが」
コンコン、と指でゴーレムの鎧を叩き、その錬成具合を確認すると、ドルロイは深刻そうな顔で何度も何度も見つめなおした。
「信じられん。あのレシピだけでここまで再現させやがるとは……おい、お前本当にどこかで師事したことはねえのか?」
「ありませんよ! そもそもゴーレムを使えるようになったのだって、ついこの間のことなんですから!」
「――――なんだと?」
『主様! それはしゃべりすぎです!』
血相を変えたディアナの声に、松田は自分がかなりまずい発言をしてしまったことを理解した。
「冗談でしょ? こんなレベルのゴーレム、僕だってしばらくぶりに見るよ? マイナーで使う魔法士も限られるしね」
「そうだ。それにまだまだなっちゃいねえが、いくらなんでもレシピだけでここまで再現するのは尋常じゃないぞ!」
『…………そういえば主様、四十階層を出る前にレベルアップしてましたよね?』
何かを諦めたような冷たいディアナの声に、松田もたらりとこめかみから冷汗を流した。
そういえばあのときはゆっくり確認している余裕がなかった。
(世界の理に拠りて万物の始原をこの目に。情報開示)
松田毅 性別男 年齢十八歳 レベル3
種族 エルフ
称号 ゴーレムマスター
属性 土
スキル ゴーレムマスター表(ゴーレムを操る消費魔力が百分の一) 秘宝支配(あらゆるアーティファクトを使用可能) 並列思考レベル3(三百体のゴーレムを同時制御することができる) ゴーレムマスター裏(土魔法の習得速度三倍の代わりに土魔法以外の魔法が使用できなくなる) 錬金術レベル1(素材なしに魔力から錬金した物質を維持する消費魔力十分の一 位階中級まで)錬金術レベル2(レシピ理解、レシピさえあればなんでも再現できる。ただし性能はワンランク落ちる。位階中級まで)
『さすがにここまで壊れ性能だとは…………』
(いかんのか?)
『レシピだけで再現できるならこの世界の錬金術師は廃業ですよ』
松田が先週ミスリルゴーレムをした時点では、おそらくはそれはただのなんの変哲もないミスリルであったろう。
ところが今のミスリルゴーレムは違う。
正確にはドルロイが、独自の加工を施したミスリルを再現してしまっている。
もちろんドルロイが造る本物よりはワンランクどころかツーランクは劣化しているが、独自技術を再現してしまったのは間違いない。
少なくともディアナの知る限り、そんな錬金術は存在しない。
ドルロイが驚愕するのはむしろ当然であった。
「…………僕は恐ろしくなってきたよ。君はその力で何をしようとしているのかな?」
もしかしたら松田は、現在ドワーフのなかで五本の指に入るドルロイの技術を統べて受け継いでしまうかもしれない。
最初はドルロイの気まぐれでエルフの面倒を見るくらいにしか思っていなかったが、松田が五槌を継承するとなるとこれは大問題だ。
場合によってはドルロイの怒りを買っても、ここで松田を止めなくてはならないかもしれなかった。
「ああ、それなんですけど――――できる限り人間にそっくりなゴーレムを造るにはどうすればいいですかね?」
「んんん? 今君すごくいいことを言ったね。もう一度言ってごらん?」
「おいおい、マツダ、貴様もこの馬鹿と同じ趣味か?」
「私がハーレプストさんと?」
もしかしてハーレプストも絢爛たる七つの秘宝の主なのか、と思わず松田は目を丸くした。
「貴様も人形が人間より好きなのかと言っておるのだ!」
「人形はいいよ? 人形はいい……永久に変わらない。不平不満もなく静止した不変の美しさを持つ彼女たちこそが至高の美さ」
なるほど、ハーレプストはそういう趣味の人であったか。
確かに松田のいた日本でも、フィギュアに命を懸ける特殊な男たちは多数存在したものだ。
白磁人形や市松人形のコレクターもいたが、松田の求めているものはそこにはない。
「いいえ、私が申し上げているのは、感情や生命活動も含めて可能な限り人間に近づかせたいのです」
松田の言葉が本気であることを見てとったドルロイとハーレプストは互いに顔を見合わせた。
「それは…………新しい種族を生み出すことと変わらんぞ?」
「錬金術の到達する究極の境地――人造人間に君は挑むというのだね」
これはしてやられた、とドルロイは笑った。
まるで子供のころ、「僕は世界で一番の工匠になるんだ!」と気勢をあげた自分を見たような気恥ずかしさがある。
だがそれが決して不愉快ではなかった。
そしてハーレプストも、人形師などと呼ばれ内心で自惚れていた自分に忸怩たるものを覚えずにはいられなかった。
まだまだ人形たちには新たな美の境地があったはずなのだ。
期せずにて二人の兄弟は松田に問いかける。
「――――貴様の造るゴーレムの外見は?」
「とりあえずスレンダー貧乳で」
「ならばよし!」
「それもよし!」
男たちはわかりあった。よくわからないが、熱いものでわかりあったのだ。
「おう、男ども、てめえら命はいらねえんだな?」
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