クラス転移したら俺だけステータスが現れた件
11話 初めての街《コマンス》2
外壁の周りには沢山の人が並んでおり、列が進むペースが遅かったので、中に入るのに時間が掛かると思っていた。
しかし、ハルマンが門番に話しかけると、何故か並ばずに中へ通してくれたのだ。
もしかして、ハルマンさんって凄い人?.......などと内心では思っていたりする。
「修斗殿たちは、これからどうするのかお決まりですか?」
「これから冒険者ギルドに行こうと思ってます。お金を稼がなきゃなので」
「.......なるほど」
ハルマンは顎に手を当てる。
どうしたのだろうか。
俺と春は無一文というわけではない。
教会から生活費を貰ったからだ。
しかし、そのお金も数日で無くなってしまう程度の額なので、働かなければならない。
まぁ、冒険者になりたいという願望もある。
「では、これを受付の方に渡してください。きっと役に立ちますよ」
と言って、胸ポケットから手紙を取り出した。
いつも、その中にいれているのだろうか。
「はははっ。これは私が気に入った人に渡すようにしているのです。受け取ってください」
検問所では特に取り調べ設けずに顔パスで入り、ギルドにはコネがあるような言い回し.......やっぱり、ハルマンは凄い人なのだろう。
俺は遠慮なく手紙を受け取り、お礼を言う。
「大して仕事もしていないのにありがとうございます」
「ありがとうございます!」
俺と春は頭を深く下げてお礼を言った。
そして、ハルマンと別れる時、俺は大事なことを思い出す。
「あ!そう言えば冒険者ギルドって何処にあります?」
「冒険者ギルドは、この大通りを真っ直ぐ行ったところにありますよ」
「了解です。ありがとうございます」
俺と春は2度目のお礼を言って、次こそハルマンと別れたのだった。
ハルマンに言われた通り、大通りを真っ直ぐ歩いて行く。
数分後、剣、盾、槍、弓が交差した看板が扉の上に堂々と飾り付けられている建物が見えてきた。
「あれが冒険者ギルドか.......」
柄にもなくワクワクしているのか、無意識のうちに口端が吊り上がっていた。
「すっごく大きな建物だね!」
俺たちは冒険者ギルドの大きさに圧倒されていた。
中からは、ここまで聞こえるほどの声が届いており、昼間っから酒を飲んでいるのか、品のない笑い声や会話が聞こえてくる。
「テンプレ要素満載だな!」
「ふふふ。修斗くん楽しそうだね」
「だって冒険者って言葉を聞くだけでワクワクするだろ!早く入ろうぜ」
「はいはい」
春は子供に向けるような優しい目をしながら、俺と一緒に冒険者ギルドの扉を開く。
そこには案の定、片手に酒を持ち仲間たちと騒いでいる者や、自慢の剣を抜いて武勇伝を後輩たちに語るなど、まさに荒くれ者の集まりという感じがした。
「ふっ.......ラノベでは、このあと洗礼と称してリンチされるんだよな。そして俺が返り討ちにする.......いや、この場合は春が返り討ちにするのか。俺は弱いし無理だわ」
ライトノベルでは、テンプレ中のテンプレである新人へのリンチを返り討ちにするというイベントを早々に諦めた。
だって、今の俺って弱いし.......本当にリンチされちまうよ。
春は【韋駄天】っていうチート能力と、異世界人ならではのハイスペックな身体能力を持ってるから大丈夫。
俺が絡んできた相手を返り討ちにするのは、また今度だな。
「はぁ.......どうせ修斗くんは先輩冒険者からの"洗礼"でも期待してるんでしょ。そんなのあるとは思えないんだけど」
「おいおい!ここはガキ共が来るとこじゃねぇよ!」
「お!来たぜ!」
「いや、あったし!」
物語で描かれていることが現実に起こることなど、ほとんど無いから春は呆れていたのだが、本当にガラの悪い冒険者に絡まれてしまった。
「お、おう。なんで、そんなに嬉しそうにしてんだ?」
俺がテンプレ展開に喜んでいると、ガラの悪い冒険者は驚きながら後ずさった。
おいおい.......そこは、「俺たちを無視するとはいい度胸じゃねぇか!先輩冒険者である俺たちがきょういくしてやるぜ!」と言って、殴り掛かってくるところだろうが!
俺は理不尽な怒りを露わにして、ガラの悪い冒険者を睨みつける。
「何か用ですか?」
「あ、いや.......えっと、お前たちみたいな子供が冒険者になるのは危ないから返そうと思ってだな.......なんか気に触るようなことしたら謝る」
「あはは.......この人は目付きが悪いだけなので気にしなくて良いですよ」
ガラの悪い冒険者が狼狽えていると、春は乾いた笑みを浮かべながら返事をした。
そして、俺の脇腹に肘を入れてくる。
痛いんだけど。
「まぁ、そんくらい目付きが悪い方が丁度いいかもな。見ての通り俺たちは荒っぽい奴らの集まりだからよ」
目の前にいる冒険者は悪人面だが、中身は優しいオッサンだった。
睨んじまってすまんなオッサン。
俺は心の中で謝罪する。
「お前たちは今日この街に来たばっかなのか?」
「えっと、そうですね。さっき来たばかりです」
どうやら、悪い人ではなかったので、表情を普通に戻したあと返事をした。
すると.......
「おい!てめぇら!新人が来たぞ!」
オッサンが周りの冒険者たちに声を掛け、ニヤッと優しげな笑みを浮かべる。
「へへっ。今回のガキは見所あるな」
「隣の子、めっちゃ可愛くねぇか?」
「バカ野郎。あれは隣の小僧の恋人だろ」
「あら!なかなか可愛い坊やじゃない。私と遊ばない?」
自分の仲間たちと騒いでいた冒険者らは俺達に視線を向け、それぞれの感想を口にした。
最後のお姉さん.......後でお茶でもしましょう!
いててっ.......なんで俺の耳つねってんだよ。
「まぁ、こんな感じで騒がしいのばっかだが.......取り敢えず、これは言わなきゃだよな」
そして、冒険者や受付嬢たちは一斉に俺と春に向かって言う。
『ようこそ!コマンスの冒険者ギルドへ!』
こうして、俺たちの冒険は本格的に始まったのだった。
名前:結城 修斗 レベル:4
職業:なし
称号:なし
MP:40/40
筋力:6
耐久:3
速度:6
感覚:3
知能:3
《パッシブスキル》
【神々の試練】
《アクティブスキル》
【索敵】【隠密】
《耐性》
《適正魔法》
ステータスポイント:3
スキルポイント:4
必要経験値:0/4000
《旅立ちの日》
英雄となり得る者の始まりの日。
クリア条件・・・魔王討伐
クリア報酬
・『ステータスポイント1000』
・『スキルポイント1000』
・『願い事を一つ叶えられる』
しかし、ハルマンが門番に話しかけると、何故か並ばずに中へ通してくれたのだ。
もしかして、ハルマンさんって凄い人?.......などと内心では思っていたりする。
「修斗殿たちは、これからどうするのかお決まりですか?」
「これから冒険者ギルドに行こうと思ってます。お金を稼がなきゃなので」
「.......なるほど」
ハルマンは顎に手を当てる。
どうしたのだろうか。
俺と春は無一文というわけではない。
教会から生活費を貰ったからだ。
しかし、そのお金も数日で無くなってしまう程度の額なので、働かなければならない。
まぁ、冒険者になりたいという願望もある。
「では、これを受付の方に渡してください。きっと役に立ちますよ」
と言って、胸ポケットから手紙を取り出した。
いつも、その中にいれているのだろうか。
「はははっ。これは私が気に入った人に渡すようにしているのです。受け取ってください」
検問所では特に取り調べ設けずに顔パスで入り、ギルドにはコネがあるような言い回し.......やっぱり、ハルマンは凄い人なのだろう。
俺は遠慮なく手紙を受け取り、お礼を言う。
「大して仕事もしていないのにありがとうございます」
「ありがとうございます!」
俺と春は頭を深く下げてお礼を言った。
そして、ハルマンと別れる時、俺は大事なことを思い出す。
「あ!そう言えば冒険者ギルドって何処にあります?」
「冒険者ギルドは、この大通りを真っ直ぐ行ったところにありますよ」
「了解です。ありがとうございます」
俺と春は2度目のお礼を言って、次こそハルマンと別れたのだった。
ハルマンに言われた通り、大通りを真っ直ぐ歩いて行く。
数分後、剣、盾、槍、弓が交差した看板が扉の上に堂々と飾り付けられている建物が見えてきた。
「あれが冒険者ギルドか.......」
柄にもなくワクワクしているのか、無意識のうちに口端が吊り上がっていた。
「すっごく大きな建物だね!」
俺たちは冒険者ギルドの大きさに圧倒されていた。
中からは、ここまで聞こえるほどの声が届いており、昼間っから酒を飲んでいるのか、品のない笑い声や会話が聞こえてくる。
「テンプレ要素満載だな!」
「ふふふ。修斗くん楽しそうだね」
「だって冒険者って言葉を聞くだけでワクワクするだろ!早く入ろうぜ」
「はいはい」
春は子供に向けるような優しい目をしながら、俺と一緒に冒険者ギルドの扉を開く。
そこには案の定、片手に酒を持ち仲間たちと騒いでいる者や、自慢の剣を抜いて武勇伝を後輩たちに語るなど、まさに荒くれ者の集まりという感じがした。
「ふっ.......ラノベでは、このあと洗礼と称してリンチされるんだよな。そして俺が返り討ちにする.......いや、この場合は春が返り討ちにするのか。俺は弱いし無理だわ」
ライトノベルでは、テンプレ中のテンプレである新人へのリンチを返り討ちにするというイベントを早々に諦めた。
だって、今の俺って弱いし.......本当にリンチされちまうよ。
春は【韋駄天】っていうチート能力と、異世界人ならではのハイスペックな身体能力を持ってるから大丈夫。
俺が絡んできた相手を返り討ちにするのは、また今度だな。
「はぁ.......どうせ修斗くんは先輩冒険者からの"洗礼"でも期待してるんでしょ。そんなのあるとは思えないんだけど」
「おいおい!ここはガキ共が来るとこじゃねぇよ!」
「お!来たぜ!」
「いや、あったし!」
物語で描かれていることが現実に起こることなど、ほとんど無いから春は呆れていたのだが、本当にガラの悪い冒険者に絡まれてしまった。
「お、おう。なんで、そんなに嬉しそうにしてんだ?」
俺がテンプレ展開に喜んでいると、ガラの悪い冒険者は驚きながら後ずさった。
おいおい.......そこは、「俺たちを無視するとはいい度胸じゃねぇか!先輩冒険者である俺たちがきょういくしてやるぜ!」と言って、殴り掛かってくるところだろうが!
俺は理不尽な怒りを露わにして、ガラの悪い冒険者を睨みつける。
「何か用ですか?」
「あ、いや.......えっと、お前たちみたいな子供が冒険者になるのは危ないから返そうと思ってだな.......なんか気に触るようなことしたら謝る」
「あはは.......この人は目付きが悪いだけなので気にしなくて良いですよ」
ガラの悪い冒険者が狼狽えていると、春は乾いた笑みを浮かべながら返事をした。
そして、俺の脇腹に肘を入れてくる。
痛いんだけど。
「まぁ、そんくらい目付きが悪い方が丁度いいかもな。見ての通り俺たちは荒っぽい奴らの集まりだからよ」
目の前にいる冒険者は悪人面だが、中身は優しいオッサンだった。
睨んじまってすまんなオッサン。
俺は心の中で謝罪する。
「お前たちは今日この街に来たばっかなのか?」
「えっと、そうですね。さっき来たばかりです」
どうやら、悪い人ではなかったので、表情を普通に戻したあと返事をした。
すると.......
「おい!てめぇら!新人が来たぞ!」
オッサンが周りの冒険者たちに声を掛け、ニヤッと優しげな笑みを浮かべる。
「へへっ。今回のガキは見所あるな」
「隣の子、めっちゃ可愛くねぇか?」
「バカ野郎。あれは隣の小僧の恋人だろ」
「あら!なかなか可愛い坊やじゃない。私と遊ばない?」
自分の仲間たちと騒いでいた冒険者らは俺達に視線を向け、それぞれの感想を口にした。
最後のお姉さん.......後でお茶でもしましょう!
いててっ.......なんで俺の耳つねってんだよ。
「まぁ、こんな感じで騒がしいのばっかだが.......取り敢えず、これは言わなきゃだよな」
そして、冒険者や受付嬢たちは一斉に俺と春に向かって言う。
『ようこそ!コマンスの冒険者ギルドへ!』
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名前:結城 修斗 レベル:4
職業:なし
称号:なし
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筋力:6
耐久:3
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