クラス転移したら俺だけステータスが現れた件

S・R

7話 初クエスト《旅立ちの日》3

 ゴブリンとの戦闘後、この場で休憩するにした。
 だから、他の魔物たちが寄ってこないように、ゴブリンに砂をかけて血の匂いを薄くし、地面に埋めた。

「ふぅ.......体は疲れてないけど精神的に疲れたなぁ」

 そう言いながら、木に背を預けながら地面に腰を下ろす。

「ふふふ。最初は僕もだったよ。今でも血を見ると気分が悪くなるくらいだしね」

 春は優しい性格をしているので、余計に生き物を傷つけることに抵抗があるのだろう。
 俺は.......あんまり無いな。

 まぁ、そんな事より気になる事がある。

《旅立ちの日》
 英雄となり得る者の始まりの日。
 クリア条件
・『魔王討伐』
 クリア報酬
 ・『ステータスポイント1000』
 ・『スキルポイント1000』
 ・『願い事を一つ叶えられる』

 チュートリアルをクリアした直後、新しいクエストが発生したのだ。
 しかも、初っ端から難易度がクソ高い気がするし、この世界は色んな意味で理不尽なのでは無いだろうか。

「はぁ.......魔王ってアレだよな。魔族を纏めるラスボス」

 そんなことを呟いていると、春が話しかけてきた。

「そんな怖い顔してどうしたの?」
「なんでもねぇよ。ただ、これから何をするか迷ってるだけ」
「僕は修斗が何処に行こうと着いていくよ!」
「ありがとよ」

 俺が迷ってるのは次の目的地ではない。
 これを見て悩んでいるのだ。

名前:結城 修斗 レベル:2
職業:なし
称号:なし
MP:20/20
筋力:0
耐久:0
速度:0
感覚:0
知能:0
《パッシブスキル》
【神々の試練】
《アクティブスキル》
【索敵】
《耐性》

《適正魔法》

ステータスポイント:21
スキルポイント:11
必要経験値:0/2000

 そう、見ての通りゲームに出てくるステータスである。

 俺が召喚された後、シスターに自室へ案内され、ベッドに飛び込んだらブゥンという効果音を鳴らして出てきたのだ。
 いきなり現れた時は戸惑ったが、俺は歓喜した。
 ゲーム好きにはピッタリな能力だったからだ。

「ふむ.......スキルポイントが11.......これは転移した翌日に使ったからだろうな」

 騎士たちの好意で、異世界に召喚された翌日に訓練に混ざった。
 その時、とあるホモ騎士に【索敵】は持っていた方が良いと言われたので、訓練したフリをして、ポイントを使って取得したのだ。

「ステータスポイントは21。初期値よりも11増えたぜ」

 恐らく、10増えたのはチュートリアルをクリアした報酬で、残りの1はレベルアップしたからであろう。
 つまり、レベルを上げれば上げるほど、スキルポイントとステータスポイントが1増えて、俺は強くなり続けるということだ。
 まぁ、レベル上限があるかもしれないけど、今そんなことを気にしていても意味は無い。

「そろそろステータス上げるか」

 俺は半年間、一切ステータスポイントに触れていない。
 戦闘スタイルも見つけていないし、一度使ったら戻せない可能性があるからだ。
 案の定、使用したスキルポイントは元に戻せなかったので、ステータスポイントも一度きりだろう。

「なぁ、春さん」
「なんだい?修斗くん」
「戦闘に役立ちそうな俺の得意な事って何だと思う?」
「いきなりどうしたの?」
「いや、自分の得意なことは自覚した方が良いだろ?」
「確かに、そうだね」

 スポーツでも何でも、自分の得意な事を自覚して、それを生かした方が上手くいくもんだ。
 俺は自分自身のことをよく理解していないので、いつも一緒にいる春に聞くことにした。

「んー、そうだなぁ.......判断力と運動神経は優れてると思うよ。騎士の人たちも才能あるって言ってたし.......」
「おぉ.......俺って才能あったのか」

 自分に才能があると初めて知った。
 昔は格ゲーを現実でやってる感覚で、総合格闘技をやっていたが、今では暇さえあればゲームをやっている。
 そんな俺に戦う才能があるとは思わなかった。

「でも、もう少し危機感を持ちながら戦った方がいいかな」
「あ、はい」

 まさか、べた褒めした後にダメ押しされるとは思わず、なぜか申し訳ない気分になる。

「教えてくれてありがとな」
「ううん!役に立てたのなら嬉しいよ」

 春は誰もが見惚れるほど美しい笑みを浮かべ、機嫌良く返事をした。
 くそっ.......なんで春は男なんだよ!いや、いっそ男でもいいから告ろうかな。
 思わず、春の笑顔に夢中になりながら、あと少しで引き返せないところまで思考を進めてしまった。

「よし.......こんなもんかな」


名前:結城 修斗 レベル:2
職業:なし
称号:なし
MP:20/20
筋力:6
耐久:3
速度:6
感覚:3
知能:3
《パッシブスキル》
【神々の試練】
《アクティブスキル》
【索敵】
《耐性》

《適正魔法》

ステータスポイント:0
スキルポイント:11
必要経験値:0/2000

 取り敢えず、『筋力』と『速度』を他よりも高めに上げた。
 俺的には、攻撃など当たらなければ意味が無いと思うからだ。
 しかし、防御力が無いと心配なのも事実なので、『耐久』にステータスポイントを3使用し、残りは『感覚』と『知能』という、よく分からない項目に割り振った。
 使ったら何か変わるかもしれないしな。

「次はスキルポイントだな」

 そう呟きながら、『スキル』と書かれている項目を押すのだった。




《旅立ちの日》
 英雄となり得る者の始まりの日。
 クリア条件
 ・『魔王討伐』
 クリア報酬
 ・『ステータスポイント1000』
 ・『スキルポイント1000』
 ・『願い事を一つ叶えられる』

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品