クラス転移したら俺だけステータスが現れた件
4話 祝福
これは異世界に召喚され、修斗が落ち着いた後の事.......。
「落ち着いたか?」
「はい.......すみません」
神父の男は哀れみの目を向けながら、俺のことを心配してきた。
つい先程、やばい騎士に目をつけられてしまったからだ。
俺の尻は何としてでも守らねば!
「それでは自己紹介から始めようか。私の名はベネストだ。姓は聖職者になってから捨てた」
神父の男、ベネストは姿勢を正して自己紹介を始めた。
穏やかな雰囲気を持っており、見た目通り優しそうなオッサンだ。
聖職者になったら苗字は捨てないといけないのだろうか?
「そして私の持っているスキルは【守護の盾】。最大で3つまで魔力の盾を生成することが出来る。ドラゴンブレスなら3発くらい防げるな」
などど、いきなり訳の分からない事を言い始めた。
《スキル》とは、この世界特有の力だろうか。
皆が困惑した表情をしているので、ベネストは実際に透明な盾を3つ生成した。
ドラゴンブレスなど見たことないので、どのくらいの強度か分からないが、見た目はカッコイイ。
ドラゴンブレスなどという大層な名前がつけられた攻撃を3発も防げるくらいだから、かなり強力な盾なのかもしれない。
【守護の盾】を実際に目にしたクラスメイトたちは、興奮して騒ぎ始めた。
自分たちにも特殊な力があると思ったのだろう。
「お察しの通り君たちにも能力がある。しかもスキルとは別にギフト.......祝福とも言うな。神々から与えられし特別な力を持っているはずだ」
ベネスト曰く、異世界人には《祝福》という特別な力を持っており、その力は例外なく全て強力であるらしい。
そして、その力は特殊な道具を使って調べることが出来るらしいが、時間と金がかかるので自覚する事から始めるようだ。
しかし、周りを見てみると既に能力を自覚している人がいる。
光磨だ。
光磨は自分の光り輝いている両手を見つめ、俺でも神聖な力のようなものを感じ取ることが出来た。
「ま、まさか.......その神聖な力は!」
ベネストは光磨の光を見て、プルプルと震えていた。
「最強のギフト.......【光の加護】ではないか!ははは!これで世界は救われるぞ!」
ベネストは、そんなことを言いながら騒ぎ始める。
また発狂し始めたぞ.......そんな凄い力なのだろうか。
確かに光磨はハイスペックであり出来ないことが少ないので、この世界でも主人公のような存在になるべき人なのかもしれない。
◇
「修斗は.......ギフトとスキルがないから」
春が気まずそうに言っている時、俺は一週間前のことを思い出していた。
俺は《ギフト》を貰えなかった無能力者と思われてしまったのだ。
クラスメイトたちは遅くても2、3日で力を自覚し、既に使いこなしているのだが、俺だけ何の能力も持っていない。
そのせいで、この世界の人たちから笑われたり邪険にされたりはしなかったが、クラスメイトの一部からは"クラス最弱"のレッテルを貼られ、バカにされている。
まぁ、確かに俺が1番弱いので文句を言いたくても言えない。
バカにされて何とも思わない訳では無いが、ひとりじゃないから大丈夫。
そんな俺でも見捨てずに仲良くしてくれる友人と、親切に接してくれる異世界の方々に感謝だな。
「別にギフトとスキルが無くても魔力はあるんだから努力すれば何とかなるだろ」
例えギフトとスキルを持っていなかったとしても、魔力は誰しも必ず持っているものなので絶望的ではない。
一応、魔力操作ならクラスメイト一であると自負している。
「くっくっく.......俺は既に身体強化の無属性魔法を使えるようになっているのだよ!」
俺は声高らかに言うが.......
「でも属性魔法使えないよね?」
悪気は無いのだろうが、光磨は遠慮なく俺が気にしていることを言った。
「うるせぇ!無属性だけで強いやつもいるって言ってただろうが!」
「まぁ、それはそうだけど……」
「僕も聞いたことあるよ。現在の聖騎士序列第1位の人は無属性魔法しか使えないらしいね」
この世界には《聖騎士》という選ばれた騎士たちが1000人ほどいる。
《聖騎士》には序列があり、10位以内の者には2つ名が与えられ、《勇者》と呼ばれるのだ。
そして、現在の第1位は無属性魔法だけで最強の名を手に入れたようだ。
「だから俺も努力すれば強くなれるはずだ!」
「ふっ.......そうだね。俺に出来ることがあるなら手伝うから言ってくれよ」
「僕も手伝うからね!」
俺は別に絶望しているわけではない。
この世界で出会った人は少ないが、今のところは良い人たちばかりで、幼馴染や親友もいるから安心することが出来るのだ。
「それに、まだ自覚してないだけで俺には力があるかもしれないだろ?」
「確かに.......大器晩成型なのかもしれないしね」
「それまでは僕が守るよ!」
光磨と春は俺に励ましの言葉を送り、これから力が覚醒することを心から願ってくれた。
「.......ごめんな」
俺は小さく呟く。
「ん?なんて言ったの?」
よく聞こえなかったのか、春が近づいてきた。
「いや、何でもない」
そして、光磨と春は首を傾げ、不思議そうにしていたのだった。
俺はひとつだけ2人に嘘をついた.......《祝福》を持っていないと。
「落ち着いたか?」
「はい.......すみません」
神父の男は哀れみの目を向けながら、俺のことを心配してきた。
つい先程、やばい騎士に目をつけられてしまったからだ。
俺の尻は何としてでも守らねば!
「それでは自己紹介から始めようか。私の名はベネストだ。姓は聖職者になってから捨てた」
神父の男、ベネストは姿勢を正して自己紹介を始めた。
穏やかな雰囲気を持っており、見た目通り優しそうなオッサンだ。
聖職者になったら苗字は捨てないといけないのだろうか?
「そして私の持っているスキルは【守護の盾】。最大で3つまで魔力の盾を生成することが出来る。ドラゴンブレスなら3発くらい防げるな」
などど、いきなり訳の分からない事を言い始めた。
《スキル》とは、この世界特有の力だろうか。
皆が困惑した表情をしているので、ベネストは実際に透明な盾を3つ生成した。
ドラゴンブレスなど見たことないので、どのくらいの強度か分からないが、見た目はカッコイイ。
ドラゴンブレスなどという大層な名前がつけられた攻撃を3発も防げるくらいだから、かなり強力な盾なのかもしれない。
【守護の盾】を実際に目にしたクラスメイトたちは、興奮して騒ぎ始めた。
自分たちにも特殊な力があると思ったのだろう。
「お察しの通り君たちにも能力がある。しかもスキルとは別にギフト.......祝福とも言うな。神々から与えられし特別な力を持っているはずだ」
ベネスト曰く、異世界人には《祝福》という特別な力を持っており、その力は例外なく全て強力であるらしい。
そして、その力は特殊な道具を使って調べることが出来るらしいが、時間と金がかかるので自覚する事から始めるようだ。
しかし、周りを見てみると既に能力を自覚している人がいる。
光磨だ。
光磨は自分の光り輝いている両手を見つめ、俺でも神聖な力のようなものを感じ取ることが出来た。
「ま、まさか.......その神聖な力は!」
ベネストは光磨の光を見て、プルプルと震えていた。
「最強のギフト.......【光の加護】ではないか!ははは!これで世界は救われるぞ!」
ベネストは、そんなことを言いながら騒ぎ始める。
また発狂し始めたぞ.......そんな凄い力なのだろうか。
確かに光磨はハイスペックであり出来ないことが少ないので、この世界でも主人公のような存在になるべき人なのかもしれない。
◇
「修斗は.......ギフトとスキルがないから」
春が気まずそうに言っている時、俺は一週間前のことを思い出していた。
俺は《ギフト》を貰えなかった無能力者と思われてしまったのだ。
クラスメイトたちは遅くても2、3日で力を自覚し、既に使いこなしているのだが、俺だけ何の能力も持っていない。
そのせいで、この世界の人たちから笑われたり邪険にされたりはしなかったが、クラスメイトの一部からは"クラス最弱"のレッテルを貼られ、バカにされている。
まぁ、確かに俺が1番弱いので文句を言いたくても言えない。
バカにされて何とも思わない訳では無いが、ひとりじゃないから大丈夫。
そんな俺でも見捨てずに仲良くしてくれる友人と、親切に接してくれる異世界の方々に感謝だな。
「別にギフトとスキルが無くても魔力はあるんだから努力すれば何とかなるだろ」
例えギフトとスキルを持っていなかったとしても、魔力は誰しも必ず持っているものなので絶望的ではない。
一応、魔力操作ならクラスメイト一であると自負している。
「くっくっく.......俺は既に身体強化の無属性魔法を使えるようになっているのだよ!」
俺は声高らかに言うが.......
「でも属性魔法使えないよね?」
悪気は無いのだろうが、光磨は遠慮なく俺が気にしていることを言った。
「うるせぇ!無属性だけで強いやつもいるって言ってただろうが!」
「まぁ、それはそうだけど……」
「僕も聞いたことあるよ。現在の聖騎士序列第1位の人は無属性魔法しか使えないらしいね」
この世界には《聖騎士》という選ばれた騎士たちが1000人ほどいる。
《聖騎士》には序列があり、10位以内の者には2つ名が与えられ、《勇者》と呼ばれるのだ。
そして、現在の第1位は無属性魔法だけで最強の名を手に入れたようだ。
「だから俺も努力すれば強くなれるはずだ!」
「ふっ.......そうだね。俺に出来ることがあるなら手伝うから言ってくれよ」
「僕も手伝うからね!」
俺は別に絶望しているわけではない。
この世界で出会った人は少ないが、今のところは良い人たちばかりで、幼馴染や親友もいるから安心することが出来るのだ。
「それに、まだ自覚してないだけで俺には力があるかもしれないだろ?」
「確かに.......大器晩成型なのかもしれないしね」
「それまでは僕が守るよ!」
光磨と春は俺に励ましの言葉を送り、これから力が覚醒することを心から願ってくれた。
「.......ごめんな」
俺は小さく呟く。
「ん?なんて言ったの?」
よく聞こえなかったのか、春が近づいてきた。
「いや、何でもない」
そして、光磨と春は首を傾げ、不思議そうにしていたのだった。
俺はひとつだけ2人に嘘をついた.......《祝福》を持っていないと。
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