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山口 犬

6-315 ハルナがいなくなった日8








「とういことは、その環境に応じて魔物……だけでなく生き物は変化していったということですか」


「そのとおりだ、ステイビル。アレもそんなに考えが足りぬ者でもない、自身が作り出した要因以外のモノが影響し新たな能力を持つ存在が生まれることを考慮しておったのだろう。それが、お主たちにとっては良くない結果となってしまったようだが」


その言葉にエレーナは、再びハルナが来る前の辛い時期を思い出す。
今では解決しているはずなのだが、あの理不尽な攻めはエレーナの心にトラウマを背負うには十分だった。


そういいつつも剣の創造者は、そのことに対してステイビルたちに詫びるような態度は見せていない。
あとで気付くことになったが、その存在のおかげで各種族内や種族間で結束し、自分たちが個では敵わない強い魔物に対しても太刀打ちできるようになっていた。


「私たち人間も、精霊の力を得ることができた……」


「私が知る限り、この世界において元素の力を扱えたのはお前たちの祖先であると認識している」


「……セイラとエイミの話し?」



エレーナが記憶に残る名が口から漏れると、その名が間違っていないと剣の創造者も反応を見せた。



「偶然ではあったが、あの者たちが元素の濃度が濃く、ラファエルと最も近い場所だったため精霊の力を身に付けることができたのは、後の世においても人間という種族にとっては有益な事象であったのでないか?」



しかし、剣の創造者の説明には、エレーナも納得がいくところがある。
偶然にも東と西の王国の祖先の者が、この世界で最初に精霊と契約を結ぶことができた。
これによって、この国の女性たちも活躍する場ができ、武器と防具だけの戦いだった状況から元素の力を用いて、国や家族のために役に立つことができるようになった。

今では、主にエルフやドワーフたちだけが扱う魔法や、魔物が使う瘴気の力にも、人間が対抗できる術を手に入れることができたのは、人間という種族が他の存在に蹂躙されることなく対抗できる手段として、大きな意味があり幸運だったとエレーナはこの国の建国に関する歴史を聞いてそう思っていた。



「ということは、様々な力の差がある魔物を創りだしたことも、その盾の創造者のお考えであったと?」


「そうなるだろう……な」


「どういうことですか?ステイビル様」



今の言葉の意図がわからなかったエレーナの質問に、ステイビルに変わりアルベルトがその答えを説明する。



「魔物を生み出したが、仮に全てオスロガルムのような強さを持った魔物であったら……どうなると思う?」


「そ、それは……この世界の生き物全てが……」


「そう、いともたやすく蹂躙され尽くしてしまうだろう?だけど、コボルドのアンデッドのような弱い者もいるだろ?弱い魔物が必要だと思うか?」


「ま、まさか……」


「意図的に力の差がある魔物を生み出し、”倒せるくらいの強さ”にしていることもあるのではないかということだ」




最期はアルベルトの言葉を引き継ぎ、今まで思っていた説明が間違いでないことをステイビルが証明した。











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