問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-304 あの日の出来事3










ハルナの言葉に、剣の創造者はその返答に戸惑いを見せる。
そして少し考え込むような沈黙があった後、サヤの姿と声だが本当のサヤに戻っていた。



「……それは、こいつのせいじゃないよ。騙されたアタシが悪かったんだ」


「えっと……あなた、サヤちゃん?」


「アンタにも話したかもしれないけど、アタシはアンタがこの世界に来るよりもずっと前にこの世界に来たことは……知ってるよね?」


ハルナはその言葉を聞き、サヤがこの世界に来てから――この世界では通用しないが――自分たちが習っ
た歴史の本になるくらいの長い時間を過ごしていたことを思い出した。今この場にはいないが、冬美やユウタよりも先にサヤはこの世界にたどり着いていた。

そこからサヤは、ハルナの質問に応えるべく、これまでのことを語りだした。
”あの”事故の後に、偶然にも同じ世界に一番最初に飛ばされたサヤは、偶然出会ったラファエルの力によって、瀕死だった状態から一命をとりとめていた。

その時に、サヤの記憶が逆流してきたラファエルの頭の中には、これから起こるこの世界の崩壊という信じられない情報を得てしまうことになり、全てはそこから始まったとも言える。
次にはオスロガルムも、サヤの身体の組織を取り込んだことにより、その情報を得ることになったがオスロガルムは特にそれについて対策はとらなかった。


「……だけどさ、これっておかしくない?」


「え?……何が?」


ハルナはサヤの説明に、その真偽を問いかけられた。だが、ハルナは今までにそれらを体感しており、その記憶をただ負っているだけにしか聞こえなかった。




「アンタって……まぁいいや。だってさ、よく考えたらおかしいんだよ。アンタにもわかりやすく簡単に言うとさ、何で”アタシが知らない世界の記憶が頭の中にあるのか”ってことよ」


「……」


「……ったく。ここまで言ってわからないのか!?」


「ご、ごめんなさい!?」



自分に何が足りないのかわからないまま、サヤの怒りを受け入れている。そのこと事態は、失礼なことであるとはわかっているが、何がわからないかすらも判らないハルナにはただ謝ることしかできなかった。



「っとにさぁ。で、話を進めるけど、アンタもアタシも東京にいた時のことは覚えてるよね?それって、”嘘”だって考えたことある?」


「嘘?……この記憶が?でも風ちゃんの話しも……」


「あぁ、そうだよ。あの時の話しは、アタシもアンタも……実際には見ていなかっただろうけど、同じことを覚えていたよね?」


「だから、人間は体験したこと以外は覚えていないか、それは別の問題じゃないかってことなんだよ」


「えっと……よくわかりません!」


先ほどもわからないままサヤに詫びたハルナは、ここがチャンスと考えて素直にサヤに問いかけることにした。


「はぁ……まったく。なら”フォールスメモリー”って言葉は聞いたことおありですか?」


「うん、知ってる。確か、思い込みにも似た”誤った記憶があたかも、自分が体験した記憶になる”……ってことだっけ?」


「ホント、アンタの知識って偏ってるよね……昔っからさ」


サヤは、ハルナの対応に呆れながらも、いつも通りだと即座に諦めた。









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