問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-288 戦闘開始








「アンタがね……ここに来た時点でアンタはアタシと戦う以外ないんだよ!!!」




サヤは手のひらをハルナの方へ向けると、何もない空間から黒い瘴気の塊が無数に襲い掛かってくる。

しかしそれらの攻撃は、ハルナが元素の力で防ごうとするよりも先に、見えない壁に弾かれるように音を立てて消えていく。
この音は、先ほどハルナが背後から攻撃を受けた際に弾けた音と同じものだった。



「やっぱり、その盾……ハルナ、本気で行くよ?」


「ちょっと待っ……!?」




ハルナは、サヤに説得をしようと声を掛けようとした。
だが、それはサヤに届くことはなく……いや、きっと届いているのだろうが、サヤはそれを無視しながらハルナに向かって突進する。




「――っ!?」




ハルナは、サヤがいつ瘴気の攻撃をしてくるのかと待ち構えながらそれに対して対応しようと考えていた。
……が、その予想は大きく外れることになった。
サヤは上手く魔素を使い、普通の人間では出せない速度で向かってきている。
ハルナはその攻撃が瘴気のものではないと感じたのは、前傾姿勢のサヤが腕を十字に重ねて一秒以内にハルナと接触する距離となったときだった。



「でぇええええぇぃ!!!」




自動車にはねられるような速度で、サヤはハルナに体当たりをする。
ハルナは、とっさに高濃度の風とその裏に水の壁を創り出し、自分の身体を衝撃から守ろうとした。



「ぐぅっっっ!!!」




ハルナはとっさに出した壁に、ある程度の衝撃は抑えられたはずだったが、完全に無にすることもできなかった。
そのため、ハルナは衝突しても突進してくるサヤに跳ね飛ばされ、地面に打ち付けられて転がる。




「……いつも使ってた力が役に立たないんだから、肉弾戦が手っ取り早いんだよね」


そう言いながら、サヤはハルナを打ち付けた腕を擦りながら、少し離れた位置から地面に転がるハルナをやや顎を上げて見下ろす形をとる。




「サヤちゃん……なんで私たち、戦わなきゃならないの?この前まで、仲良くやってたじゃない!?」



ハルナはゆっくりとその場から立ち上がり、前からの衝撃には壁で防いでいた。だが、地面に打ち付けた衝撃は何の対策も取っていなかったため、打ち付けた背中の痛みをこらえながら立ち上がった。
その間に攻撃されたらと考えていたが、サヤは余裕の態度で自分のことを見ていたため、ハルナは助かった。




『ハルナ。本気であの者と戦わなければ、あなたの身に危険が……来ますよ』


これから先どう対処をすればいいか戸惑うハルナに、盾の創造者は本気でサヤと向き合う様に忠告をする。
そのこと知っていたのか、サヤはハルナの気持ちが固まらないうちに畳みかけてしまおうと再びハルナに向かって攻撃を仕掛けた。


「――あっ!?」



ハルナは再び突進してくるサヤに対し、とっさに足元から突き上げるように土の壁で自分の身体を上に持ち上げた。
その勢いでハルナは空中へとはじき出され、先ほどと同様の勢いでぶつかったサヤは壁に激突をする。
身体を突き上げて空中に浮かぶハルナにはダメージはないが、土の壁はサヤと衝突した衝撃の強さに、元素へと還っていった。
空中から見た壁にぶつかったサヤには、何のダメージも負っていない様子が見れた。
しかしハルナな自身も、空中に浮いたままでこれからどうするべきか迷っていた。












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