問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-263 質問4
「それで、いまサヤちゃんはどうしているのですか?」
この世界に戻ってきたハルナは、それまで共に行動していた友人のことを気にかける。
別々の場所に飛ばされてきたとも考えていたが、ハルナはこの世界に戻ってきてから、探しに行くこともできない状況が続いてきた。
このタイミングで、世界の創造者である存在に教えてもらおうと考えた。
だが、その返答はハルナが期待していたものではなかった。
『その者のことは……わかりません。私たちが創り出したものたちであれば、その情報を検索することは可能です。ですが、あなたもそのサヤという人物も、私たちが関与していないため、検索することは不可能なのです』
「……そうです………か」
ハルナはその答えを聞き、力が抜けたようになる。
しかしこのままでは、済まされるはずもない。
なんとか自分の協力者であるサヤを見つけ出し、世界を救うために二人で力を合わせなければとハルナは奮い立たせる。
「わかりました……それで、どうすればこの世界の崩壊を止めることができるのですか?」
その質問に対して、創造者は静かに首を横に振る。
『……わからないことばかりでごめんなさいね。本当に判らないのよ……私はこの世界を創り出した時に、生き物たちを担当していたの。そして、もう一人の存在が、地形や空間などを担当していたのよ。だから、すべてハルナ……あなたにお任せしたいのです』
「――えぇ!?」
創造者の投げやりのような無責任な依頼に、ハルナの心の中に少しだけ怒りのような感情が湧く。
だが、それもすぐに収まっていく。
”……本当に世界が崩壊するのか?”
この考えが、初めてこの話を持ち掛けられた際に浮かんだ考えだ。
ステイビルたちにこのことを話しても、同じ考えを抱いていたが、そのことは考えるだけ無駄だという判断に至った。
そのことを疑ったとしても、本当にそうだとすれば、取り返しのつかないことになる。
であれば、実際に対応しつつ様子を見てみる方がよいと、あの場ではそう決まった。
『……もちろん、ハルナだけに全ての責任を負わせるということはしません。私も、手が出せる範囲でお手伝いをします。ですから……どうでしょうか?この世界を守るために、手を貸してはいただけませんか?』
そう告げた後、この部屋の中には何ひとつ物音がしない時間が流れていく。
創造者やラファエル、ステイビルたちの意識は、全てハルナの方へ向けられていた。
「……っ」
ハルナの中では、受けたい気持ちは充分にある。
だが、何をするべきか、どうすればこの問題が解決できるかもわからないまま、この依頼を受けることがどうしてもできないでいた。
そこに後ろから、ハルナの名を呼ぶ声がした。
「……ハルナ」
「……エレーナ」
「やってやりましょうよ。私たちがいるこの世界……助けてくれないの?」
「いや、助けてあげたいのは……助けたいんだけど。何をすればいいのか、全くわからない中で、こんな重大なこと決められない……」
「ハルナ……大丈夫だ。もちろん、ハルナだけにその責任は負わせるつもりは、我々もない。いつでも私たちは仲間だっただろ?今回も、大丈夫だ……きっと」
「ステイビルさん……」
「そうですよ、ハルナ様。私もできることは何でもします……と言っても応援することしかできませんが……それでも私はいつでもハルナ様のお傍にいます」
「あ、マーホン!?……わ、私だってハルナの力になるわ!今回も一緒よ!!」
「み……みんな……」
ハルナは今にも泣きだしてしまいそうだったが、ここはグッと堪えた。
そして創造者の方へ向き、この世界を救うために行動することを決めた。
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