問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
6-232 隠し事
ステイビルは、ハルナの話を途中に割り込むこともせず、ただハルナの言葉を黙って聞いていた。
エレーナとマーホンにとっては、反対に話を聞いたステイビルの反応が意外だった。
二人はステイビルがハルナを溺愛していると考えていたため、事情を知らないステイビルにとっては裏切られていたうな状況にも思える。
そのことに対して通常ならば、王であるステイビルを騙したということになり、極刑にもなりかねない状況だった。
だが、れでもステイビルは表情を変えずに、ただハルナの話を黙って聞いていた。
そしてハルナの話しは、終わりを迎えた。
「……ということなんです」
ステイビルの表情は相変わらずのままだが、特に感情が揺れ動いた様子もない。
ハルナとしては、その無反応なステイビルの表情が大変怖く思えていた。
しばらくステイビルは何かを考えこむように、腕を組んで目を閉じていた。
一分近い静寂が続き、ステイビルの口から”ふぅ……”と、ため息にも似た息が吐き出された。
「そうか……オスロガルムと対峙した後、ハルナはこことは違う世界に行き、また再びこの世界へ戻ってきた……そういうことだな?」
「……は、はい」
ハルナは、今までのいきさつをステイビルに話した。
この世界と同じような世界だが、その世界ではハルナのことを知る者がいなかったこと。
エレーナやステイビルたちに違う未来が訪れていたこと……何が発端になったのかわからないが、元の世界に戻ってこれたこと。
今回は、自分に関わっていた全ての者がそろっているため、最初にエレーナたちには話していなかった
、あちらの世界で詳細を全て話した。
エレーナの子供が生まれていたところについては、初めてそのことを聞くエレーナ自身も驚いていた。
「……ふぅ。なんということか」
「あの……その……すみません」
「いや、ハルナが謝ることではない……なんというか……」
「ステイビル様は……ハルナのことを怒ってはいないのですか?」
全ての話を聞き終えて、エレーナがその感想をステイビルに問いかける。
「怒ってはいない……少々寂しい気持ちではあるが……な」
そう言ってステイビルはソファーに背もたれて、空間を見つめてため息をつく。
その感情を察してか、ハルナの表情は申し訳ない気持ちで胸が一杯になる。
そんなハルナの様子を見て、ステイビルは慌ててこの状況を取り繕う。
「いや!?……ハルナはそんなことを気にしなくていい。悪いのは……私の方だ」
「え?……どうしてステイビルさんが……」
「それは……な」
そこからステイビルは、これまでのことを話し始めた。
――オスロガルムが片付き、ハルナはステイビルたちの元へと戻ってきた。
世界が滅びるという問題は解消され、ステイビルたちは再び残りの神々の加護を受けるために、旅を続ける。
だが、同行者の中に神々の力を与えられたハルナがいれば、残りの道程はあっという間だった。
その後、妃を娶るための騒動が起き、運良くこの事もステイビルの勝利で終わった。
ステイビルがこの場で明かしたのは、エレーナたちも知らないその後のことだった。
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