問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-138 侵略5








初めはハルナ自らが、その火を消してもいいと言っていたがそれはサヤに止められていた。
まだハルナの存在を一部の者だけに留めておきたいという考えがサヤのなかにあった。
それは、自分たちはこの世界と違うところから来たため、この世界に関与することを極力避けたいという思いからだった。



その意見に、ステイビルもナルメルも賛成した。理由は、世界のバランスが崩れてしまうということだった。


この世界は他にも存在している各国から成り立っているが、統一して言えるのは、その全ての国々で四つの元素を操る神々であるということ。
基本的には自国の王よりもその地位は高いとされ、東の王国とも交流のない各国も同様の認識でいると聞いていた。



四つの元素を同時に扱うことができる者と、魔素や不思議な力を扱うできる者の存在がある。この世界で崇められている神々、ラファエルとモイスはその者たちの命に従い行動をしている。
その命は力の差によって従っているが、決してそれだけではなかった。
その神々は、二人の言動に対してこの世界を統べることのできるほどの安心感を抱きながら二人の命に従っていた。
そのような力を持つ者がこの世界に存在しているということは、力の大きさで崇めてきた存在の者たちの思考が混乱してしまうという理由も考えられた。
東の王国だけでなく精霊を信仰する者たちが、その強固な柱が倒される術があると知った場合に、どのような行動に出るのか……想像がつかない程の混乱が生じるのはその理由を考えるまでもないと、ステイビルとナルメルは告げた。


その理由を聞きハルナにも納得するところがあったのか、ハルナは今回の消火に関わる作業について自らが手を貸さないことで納得した。
その代わりに、被害は大きくならないようにとラファレルに頼んで他の神々をこの場所に集めてもらうようにお願いをした。そして特に火と水の力を持つ者たちをペアにして、消火活動を行ってもらうことを依頼した。
火の力で火力を抑えつつ、放水によってその火を鎮火させることとその周囲に籠った熱を冷ますための放水を提案した。
それはハルナが自身が行おうとしていた行動だったが、一人で行動するには複数の箇所の消火を同時に行えないため、今回ハルナの考えていた行動を神々が行うことで効率よく消火活動が行えた。





その様子を遠くから見ていた隊長はその神々の行動の的確さに関心の念を抱きつつ数秒間見入ってしまった。
だがすぐに自分の命じられたことを思い出し、男は周囲の者に命じた。


「……炎を絶やすな!それと同時にあの竜を何としてでも撃ち落とすのだ!!全軍出撃!!」



隊長の号令と共に、村の入口を見張っていた大勢の兵が、抵抗を受けた際に反撃するために決めれらていた各班の場所へと移動を開始する。

隊長は移動を開始する兵を見送り、村の中へもう一度目を向ける。
するとその視線の先には、探し求めていた人物が無防備の状態に見える姿で歩いてきた。
ステイビルとその後ろにはエルフとドワーフ……それと本来ならば自分が目にかかることのできない存在”風の大精霊”の姿がそこにあった。









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