問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-137 侵略4










八つの方向から舞い上がる煙の中を、二つの竜は蓋に分かれ次々と森に広がろうとする炎を収めていく。
それはまるで”どちらが早く消せるか”を競争し合っているかのようだった。


共に上から大量の水をかけて回っている、と同時に別な力によって炎の力が奪われるように抑えられていった。
二つの影のひとつは、水の大竜神モイスと火の大精霊ミカエル。
もう一つの影は、火の大竜神シュナイドと水の大精霊ガブリエルだった。


それぞれの現場では、その炎が消えないようにと邪魔をする竜に向かって攻撃を仕掛けている。
だが、その攻撃は王都にモイスが出向いた時と同じく、王国の兵の攻撃は大きな存在にとってはまるで意味がなかった。


その様子を見て、作戦が失敗に終わりそうで激怒するものとホッとするものが兵士の中にはいた。
隊長の男は、表情には表さなかったがどちらかと言えば後者の方だった。


かといって、この作戦の指揮を任せられた隊長の役割として、このまま安心するわけには行かない。




「……炎を絶やすな!それと同時にあの竜を何としてでも撃ち落とすのだ!!全軍出撃!!」







『わはははは!!どうだ!!ガブリエル!!ワシの方が炎消す速度は速かろう!?』


『ちょっと、ちゃんと前をみて集中してくんないかな?アンタの背中に乗るのは初めてなんだし、座り心地も悪いんだよね?……ほら、モイスたちの方がボクたちよりも進んでるよ!』

『――むっ!?モイスの奴め!!こうしてはおれん!行くぞ、しっかりとつかまってワシの活躍を見るがいい!!』


『ちょっ!?アンタ、サヤ様の話聞いてた……火と水の力で二人でって……ぎゃあああああ!!』




背に乗せたガブリエルのことなど気にする様子もなく、シュナイドは高く舞い上がりそこから翼を畳み身身体の面積を小さくしてきりもみ回転をしながら急降下する。




「……ったくあのトカゲは何やってんだ!!」


「ガブリエルさん、かわいそう……あ、でもちょっとあれ乗ってみたいかも」



『申し訳ございません……サヤ様、ハルナ様』


「いや、アンタが謝る必要はないよ……ラファエル。それよりも、ちゃんと火は消えそうだから、これでアンタたちもいいだろう?」


「ありがとうございます……サヤ様」




ナルメルは、心からの感謝の気持ちをサヤに捧げた。


サヤは、爆発させて周囲からこの村を焼き尽くす作戦であると踏んでいた。
エルフたちはそのことに対し、今すぐにその危険を取り除くために行動するべきだと声を上げた。
だが、ステイビルがその行動を制してしまった。そこには、この村だけではなくエルフやドワーフたちの討伐のきっかけを作りかねないという考えからだった。

しかし、エルフたちからは黙って森が燃やされてしまうことには我慢ができないとの声が多かった。
そこでサヤは、ラファエルに頼んで全ての神々をこの場所に集めてもらうようにお願いをした。
それは火が付いた場合にすぐにでも、鎮火させることを神々にさせると言い聞かせたことによって、エルフたちの騒動は収まった。










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