問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

6-13 ハルナのちから






「――え!?」



サヤの言葉に、ハルナは驚いた。
だが、よく見るとあのコボルトの長やあの自然の恵み停のフライヤに付いていた黒いシミが腕や首などに出ていることを発見した。
サヤは、そのことをいち早く見抜いたのだと考えて確認をした。




「……うーん。まぁ、それもあるけど。最初に感じたのは臭いだね。カビ臭いというか……瘴気独特の臭いが鼻を刺激すんのよ」


「へぇ……そんな臭いが……」



ハルナはステイビルに顔を近づけ、スンスンと言われたような臭いを探してみる。
しかし、ハルナの嗅覚にはその臭いが感じられなかった。
ステイビルが瘴気に犯されているという状況については、もはや疑う余地はない。
ハルナ自身も、その現象は何度も目にしてきたことである。
だが、そこからたどり着いた思考は、”その先に施す術がない”ということだった。


あの時にはフウカの力があったため、瘴気によって犯されていた肉体からそれらを消し去ることができた。
実際にハルナは何もやっておらず、フウカ任せの能力ではあった。





「でも……さ。このままじゃ、こいつ死ぬね……アンタもそれじゃ困るっていうか……いい気がしないんじゃないの?」


「え!?ステイビルさん……し、死ぬの?いま、そんな状態!?」





呆れるサヤは、ハルナに説明をする。
ステイビルの顔は赤黒く染まり始め、指先の爪もわざと輪ゴムで血液を止めたような色をし始めていた。
これは酸欠の状態であると、サヤはハルナに説明をする。
意識がない状態でも咳を繰り返し、目が覚めないことに対してサヤは相当意識レベルが低下をしている状態であると説明した。




「ほぇ……サヤちゃん……すごいねぇ。なんでそんなお医者さんみたいなこと知ってるの!?」


「バカか!?……こんなの、常識だよ!!……でもアタシもよく覚えてたよね、そこに驚くわ……って、そんなこと言ってる場合じゃないね」




そういうとサヤは、ステイビルの身体に付いている瘴気をある程度ならばサヤの身体に取り込むことができると言った。
だが、サヤの能力は魔素を瘴気として造り出し相手を攻撃する方法しか知らなかった。

サヤの話では人間の身にも、多少なりとも瘴気を纏っているものもいるという。
それはその人間の持つ特性であり、特性を持つ者にはある程度の瘴気を含んでいても大きな害はないという。

だが、それを持たずともこれだけの多量な瘴気を体内にため込んでいれば、普通の人間であればその命は危険に曝されるとサヤは言った。




「で……どうすれば、ステイビルさんは助かるの!?」


「アンタって、アタシの話し聞いてるの!?……って、まぁいいわ。結論から言うと、アタシが瘴気の量を減らすから、アンタは完全に消しなさい」


「で……でも、あれはフーちゃんが……」


「あの精霊を”使っていた”のは、アンタなんだよ!本当なら精霊自身は、そんなスキル持ってないんだ。アンタの中にあるモノを参考にして精霊たちは学習しているんだよ!!ってことは、アンタも本当はそういうのが使えるの!!」




その言葉を聞き、ハルナは困り果てていた。
サヤから聞かされる情報は今まで考えたこともなく、ハルナにとっては飲み込み辛い情報だった。







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