問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』

山口 犬

5-130 ハルナとフウカ1








「はい、これでお終い!」




『はぁ……はぁ…この短期間で……よくこんなにも……上達され……』


『ふぅ、ふぅ‥…そんなこと言っても、様になってないわよミカエル』


『ハルナ様……これで、合格です。我々を相手によくぞここまで……』


「えっへっへへへ……ガブリエルさん、ありがとうございます!」





ハルナは光の繭の中から目覚めると、ラファエルの思惑通りに四つの属性を扱えることに成功した。
ただ、ラファエルが4属性を扱えていた時と異なるのは、複数の属性を同時に扱うことができなかったということだった。

四つの属性を一人の人間が扱えるだけでも通常ならば優位なことなのだが、オスロガルムやサヤと対峙することを考えるならば、それらが同時に扱えなければ目的を果たすことはできないと考えた。


まずは、入力系統を増やすことができないか試すことになった。
ハルナはフウカから取り込んだ元素を受け取り、その力を発揮している。
だからフウカが、その取り込み口を増やすことができないか……各大精霊たちは案を出し合い、フウカに指導を重ねた。

フウカはエレーナや他の精霊使い達に付いている精霊たちよりも、優秀な存在であるとハルナは考えていた。
”親の欲目”ではないかと思っていたが、今までのことを見てもフウカの能力は相当高いと思っていた。
だからこそ、フウカはこの要望も簡単にこなすものだろうとハルナは考えていた。



しかし、この場でその考えは崩れ落ちた。
でも、それは決してフウカが悪いわけではなかった。
四体の大精霊が一つの精霊にに対して、自分と同じこと……今の大精霊たちができるかどうかもわからないことを小さなフウカに要求していた。



「……ちょっと休みませんか?……その、フーちゃんも疲れているようなので……そ、それに一気に詰め込みすぎても、ナンですから。あの……落ち着いて……そう!個人練習みたいな時間も必要じゃ……ないですか……ね?」



ハルナからの言葉に気付いた、土の大精霊のウリエルが我に返ったようにハルナに返した。


『そ……そうですわね?ハルナさんのおっしゃる通りですね。ちょっと休憩にしませんか!?』

ウリエルは慌てて他の大精霊たちに呼びかけ、一旦休憩にすることに決めた。



「大丈夫……フーちゃん?」

「う……うん。平気……でも、ちょっと休ませて……」


そういうと、フウカはハルナの胸元の中に消えていきその姿を消し眠りについた。
時々、ハルナの中にフウカが泣きそうになっている感情を押さえつけて我慢しているのを感じた。


(フーちゃんがこんなに頑張ってるのに……私……何もしてやれない……なんて)



ハルナは反省をする。
今まで精霊の力が扱えたことは、フウカがハルナに元素を送ってくれていたことだということを忘れてしまっていた。
それくらい二人は近い存在だったのだが、動力のような役割をしてくれていたフウカが困っているときに助けてあげられない。
そんな自分が情けなくなり、ハルナは両手を組んで自分のことを責めた。


すると――

ハルナの指に嵌めた指輪が温かくなるのを感じ、その熱は血管を通して全身に広がっていった。












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